人気劇作家 アラン・エイクボーンの、胸がざわつく戯曲 役であることと役者であること、その境界線が曖昧になる物語

 今春、アラン・エイクボーンの戯曲『Private Fears in Public Places』が日本で初上演される。翻訳は小田島創志が手掛け、演出を務めるのは元吉庸泰だ。

元吉「現代人の心の動きや孤独、抱えている問題などを切り取って“Fears(恐怖)”という言葉に表したのが、まず面白いと思ったところ。本作は全54シーンあり、シーンの度に登場人物たちの会話や関係性が断ち切られます。その驚くべき挑戦に僕は演出家として勇気をいただき、本作を日本のお客様に届ける挑戦をしたいと思いました」

 登場人物は6人。全役ダブルキャストで、錚々たる顔ぶれが話題に。物語を担う核の1人、ダン役には駒田一と鈴木壮麻がキャスティングされた。

駒田「シーンがどんどん切り替わっていく台本で、映像作品のようだと思いました。どんな演出で魅せていくのか気になります。素晴らしい役者であるタマちゃん(鈴木)と同じ役をやれるのは非常に光栄ですし、一緒の稽古も楽しみ!」

鈴木「『僕の人生をどこかで見ていた⁉』と思うほど自分の経験と重なるものが多い内容です。それぞれが自らの体験をさらけ出さざるを得ない、そんな舞台になりそうだと感じています。どこまでさらけ出すか、その塩梅を元吉さんの演出で整えてもらうことになるのでしょう。元吉さんはフットワークが軽く、自ら動いて周りを引っ張っていってくれるので、安心して稽古場を託せる演出家です」

駒田「元吉さんはクエスチョンに対してのアンサーが早いところが、非常に素敵。役者を自由に泳がせてくれるし、気長に待ってくれる。とても居心地のいい稽古場を演出してくれます」

元吉「ダン役は、板の上で語れる役者さんでないと懊悩が伝わらないので、おふたりに演じていただけるのは心強いです」

 2004年にイギリスで初演された本作。イギリスが舞台の物語だが「こんなこと、自分にもあったかも」と胸を突かれるような物語が繰り広げられていく。

元吉「個人的な“Fears”を公的な場所であえてひけらかす、それが本作でのエイクボーンの仕掛け。だから物語の流れ自体は非常に淡白で、ラストも色々な解釈ができる作りになっています。役であることと役者であることの境界線が、これほど曖昧になる物語はないと思っていて。とても刺激的な稽古場になるだろうと、期待が膨らみます」

駒田「本番が1か月間、稽古を含めたら結構な時間、この世界に浸っていられるというのは、素晴らしく幸せなことだよね」

鈴木「本当に! 細かな表現が届きやすいコンパクトな空間で、芝居できるって贅沢です」

元吉「役者の方々が一番楽しく遊べる状況を作るのが、演出である僕の課題。観たときに『ここに演劇がある』と感じられる、そんな作品にしたいです」

(取材・文:木下千寿 撮影:間野真由美)

5/30は「国際ポテト・デー」! 好きなポテトの調理法を教えてください。

鈴木壮麻さん
「父の転勤で英国に数年間暮らした日々の中、通っていた小・中学校の給食の時に必ず登場したのがマッシュポテト。主食?って思うくらいの存在感だった。しかも美味。ローストビーフ、シェパーズ・パイ、シチュー等に主役を凌駕するほどに添えられていたけど、両者による相乗効果は最高だった! 『もう少し欲しい人〜⁉』なんて給食のおばさんの威勢の良い声が食堂中に響き渡ると、僕たちは一斉にお皿を持って列を成し、ミュージカル『オリバー!』さながら”Can I have some more?”ってもらいに行ってた。バターがちょっと多めのマッシュポテト、大好きです!」

プロフィール

駒田 一(こまだ・はじめ)
1964年生まれ、愛知県出身。いずみたく主宰のミュージカル劇団「フォーリーズ」に1990年まで在籍。2015年度、第41回菊田一夫演劇賞 演劇賞を受賞。2026年10月より、ミュージカル『ミス・サイゴン』にエンジニア役で出演予定。

鈴木壮麻(すずき・そうま)
1960年生まれ、東京都出身。1982年から1998年まで劇団四季に所属し、『オペラ座の怪人』、『美女と野獣』など大作に主演。退団後も、ミュージカル『エリザベート』、『レ・ミゼラブル』などを中心に多数出演。第23回読売演劇大賞 優秀男優賞を受賞し、実力派として知られている。映像、音楽活動も展開している。

元吉庸泰(もとよし・つねやす)
1982年生まれ、千葉県出身。舞台演出家・脚本家。近年の手掛けた作品に、舞台『鬼滅の刃』シリーズ(脚本・演出)、ミュージカル『白爪草』(演出)、『十二国記 ‐ 月の影 影の海‐』(脚本・作詞)などがある。

公演情報

『Private Fears in Public Places』by Alan Ayckbourn

日:2026年4月24日(金)〜5月24日(日)
場:シアター代官山
料:10,000円(全席指定・税込)
HP:https://private-fears-in-public-places.studio.site
問:サンライズプロモーション 
  tel.0570-00-3337(平日 12:00~15:00)

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