山田うんを迎え、Noism のダブルビル新作発表 金森穣が語る、他者と繋がるための境界

山田うんを迎え、Noism のダブルビル新作発表 金森穣が語る、他者と繋がるための境界

 NoismCompanyNiigataのプロフェッショナルカンパニー・Noism1、プロフェッショナル選抜カンパニー・Noism0のダブルビル公演。今回は山田うんとNoism を率いる金森穣の2人が「境界」をテーマに新作を発表する。

 「振付家同士の境界、作品同士の境界、そしてNoism0/1 の境界。似ていたり、違っていたり、繋がっていたり、影響し合っていたり。そういったNoism の多様性、舞踊の多様性をお見せすることが目標です。以前うんさんと対談した際、それまで私がうんさんの作品や活動から受けていた印象とは異なると感じました。カンパニーの代表として意外と似た所があるなと。だから普段とは異なる環境に身を置くことで、うんさんの中にある未だ発しきれていない芸術性が発揮され、それがNoism にとっても刺激になるのではないかと考えました」

 そう語る金森氏は、今回は更にバロック音楽という要素も用いて挑戦を行う。

 「私は創作において必ず自らに制約を課すのですが、その時、初めてのことに挑戦することを大事にしています。今回はそれがバロック音楽のみでの創作です。文化的に遠い国、遠い時代の音楽から受ける感動を通して、新しい自分、すなわち最も近くて最も遠い存在でもある私という他者を発見すること。その謎に全身体的に挑むこと。それが私にとっての創作です」

 金森氏は一貫した挑戦を常に新たな形で追究している。コロナ禍はそれを変えただろうか。

 「私にとって踊ることは生きることであり、観る/観られることは他者と生きる(繋がる)ことです。それは私にとっての日常でした。しかしコロナは日常を剥ぎ取ってしまった。踊ることも観られることも、非日常になってしまった。それは不安や悲しみや葛藤を強いますが、いつの時代でも、日常が最初から日常であったことはない。そして困難な状況においてこそ、人は人生においてかけがえのないものに気付くのです。だからこそ、この世界的な苦境においても私は踊り、舞台に立ち続けます。私が私であるために。他者と繋がるために」

 彼にとって境界とは、他者を隔てるのではなく繋ぐものであろう。

 「私たちは踊り、舞台に立ち続けます。生きていることを確認するために。是非観にいらしてください。生きていることを共有するために」



(取材・文:關 智子)


プロフィール

金森 穣(かなもり・じょう)

演出振付家、舞踊家。りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館舞踊部門芸術監督、Noism 芸術監督。モーリス・ベジャール等に師事し、20 歳で演出振付家デビュー。2004 年よりりゅーとぴあ舞踊部門芸術監督に就任し、日本初となる公共劇場専属舞踊団Noismを立ち上げる。平成19 年度芸術選奨文部科学大臣賞、平成20 年度新潟日報文化賞、第60 回毎日芸術賞ほか受賞歴多数。令和3 年紫綬褒章。

公演情報

Noism0 / Noism1「境界」

日:2021年12月24日(金)~26日(日)
場:東京芸術劇場 プレイハウス ※他、新潟公演あり
料:6,000円 U25[25歳以下]3,000円
  高校生以下1,000円(全席指定・税込)
HP:https://noism.jp/
問:東京芸術劇場ボックスオフィス
  tel.0570-010-296(10:00~19:00/休館日除く)

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