
グランワルツ代表の澤井秀幸と観月ゆうじがプロデュースする「グランワルツミュージカル」が4月15日、新国立劇場にて「Grand Waltz Musical Concert」と題し、ミュージカルとコンサートの2本立てで上演される。
第1部の『進め!空飛ぶチキチキ号』は、これまでの上演で好評を得てきた作品をもとに、グランワルツならではの視点で再構築したオリジナル舞台作品。第2部の『ミュージカルスイーツ2026』は、ミュージカルの名曲をメドレー形式でお届けする華やかなステージとなっている。
第1部『進め!空飛ぶチキチキ号』より、発明家ジェームスポット役の観月ゆうじ、ジェームスポットの妻・マリアンヌ役の瀧本瞳、ジェームスポットの息子・ビリー役の高梨元秀に話を伺った。
―――第1部のタイトルですが、これまで上演されてきた作品とは異なる『進め!空飛ぶチキチキ号』というタイトルにされた理由を教えてください。
観月「これまで上演してきた作品の魅力を大切にしながらも、今回は新国立劇場での公演、そしてカンパニー25周年という節目を迎え、グランワルツとして改めて“自分たちの表現とは何か”を見つめ直しました。そこで、既存の枠組みにとらわれず、グランワルツ独自の視点で作品世界を再構築し、新たなタイトルとして『進め!空飛ぶチキチキ号』と名付けました。
物語やキャラクター、演出の細部に至るまで、グランワルツならではのアプローチで創り上げています。また音楽面でも、新たに私と瀧本さんによるデュエット曲を加えるなど、ここでしかご覧いただけない作品となっています」
―――新国立劇場での公演は約2年ぶりになりますね。
観月「これまでいろいろな劇場に立たせていただいていますが、世界中の人たちが集まってくる劇場の“魂”を感じるんですよね。是非あの神聖な場所に来ていただけたらなと思いますし、第1部の最後に新国立劇場ならではの壮大な演出を用意しています」

―――瀧本さんと高梨さんは、ジェームスポットの妻と息子をそれぞれ演じますが、本作のオファーを受けたときの心境はいかがでしたか。
瀧本「今私には小さい娘がいまして、保育園に預けている間に出来るお仕事のみ受けているという形で芸能活動を少しセーブしている状況でして、舞台はずっとやりたいなとは思っていたんですけど、2017年の『レ・ミゼラブル』以降、舞台には出ていなかったんです。今回お声がけをいただき、状況は変わらないんですけど、澤井さんや観月さんから“ご家族最優先でも”ということで、お受けさせていただきました。私もできる限り稽古に参加しつつ、ちょっとお休みもいただきながら、稽古と子育ての両方とも頑張れる状況ではいます」
高梨「ビリー役ということでお話をいただいて、元々グランワルツさんの『チキチキバンバン』公演を観に行っているんですけど、キャラや声も当時演じていた方と僕とでは全然違うし、正直『僕でいいのかな?』と思って。原作のイメージを壊してしまうのではと、観月さんに相談させていただきましたが、観月さんから『元秀くんなりのビリーを演じて欲しい』と言ってくださいました。今は僕らしいビリーを追求して稽古に励んでいます」
―――観月さんと高梨さんは、昨年ミュージカル『カミヒト』で共演されていますが、この作品は、高梨さんが「原作・脚本・舞台美術・衣装・メイク・作曲・プロデューサー」を1人でこなし、先日「世界最年少で商業舞台を総合演出するアーティスト」としてギネスブックに認定されたんですよね。観月さんがオファーのタイミングはこの時でしたか。
観月「はい」
高梨「その時のことを覚えています。稽古の途中で『出て欲しい』と直接言っていただきました」
観月「ちなみに『カミヒト』の時は、元秀くん本人から僕に直接電話でオファーしてくれたんですよ(笑)。瀧本さんにも元秀くんにも同じことが言えるんですけど、キャスティングに関して、“このキャラクターだからこの人を選ぼう”というタイプじゃなくて、“出来る人・素敵な人・魅力ある人”は、キャスティングすれば絶対に化学反応が起こるという考えで、稽古をしていても、自分が想定していた空気感やパッション、それに阿吽の呼吸が出来ていて、これなら絶対に大丈夫だなというのを感じますね」
―――お話を伺っている時点では、稽古序盤とのことですが、瀧本さんと高梨さんは稽古に参加されて座組の雰囲気はどう感じていますか。
瀧本「舞台の稽古は久々だったこともあって、『わー、懐かしい!』と思いましたし、ノーツ(ダメ出し)をもらった時も『嬉しい』みたいな感じはしましたね。それに岡本明日香さんとは、一緒に『にこにこぷんがやってきた』のお姉さんをやっていて、今回何十年ぶりに共演出来ることが本当に嬉しくて。刺激にもなりますし、毎回稽古場に行くのが楽しみです。それに踊るのも久しぶりで……」
観月「踊りもバッチリでしたよ! 私と2人で踊るシーンがあるんですけど、タイミングの取り方もプロダンサー並みでしたし、9年のというブランクは全く感じませんでした。もちろん歌声も本当に素晴らしいです」
瀧本「ありがとうございます。私自身が子役時代から芸能活動をやっていて、大勢いるカンパニーの中には子供たちもたくさんいるんですけど、今と違って、子役上がりの俳優はよく思われてなかった時代があったんですよね。以前から子役を経て俳優を目指している道しるべになれたらとは思っていたので、今回参加している子供たちに私の姿を見せられたらいいなというのが少しあったりもします」

―――母親になって初めてのミュージカルということで、子役たちへの目線もだいぶ変化したのではないでしょうか。
瀧本「全然目線が変わりました。今までは“自分の子供だったら”という仮定の目線だったんですけど、母親としての目線で見るようになってからは、子役の頑張っている姿を観るだけですぐに泣いちゃうようになって」
(一同笑)
瀧本「母親になる前も分かっているつもりで演じていたんですけど、今を思えば本当に『つもり』だったんですね。だから歌のお姉さんがどんなにありがたい職業なのかも、母親になってから分かりました」
高梨「稽古初日はかなり緊張していました。グランワルツさんはダンスがメインのカンパニーですけど、僕自身、踊りが苦手で。だから、僕がダンスメインのカンパニーに入って大丈夫なのかなと思っていたんですけど、稽古を何回かやって気づいたことがありまして。観月さんはすごい優しい人で、観月さんの周りには、優しい人たちが集まってくるんだなというのを実感して、まるで稽古場が家族かのような雰囲気に包まれるんですよ。もちろん本番に向けての緊張感もあって、温かい目で見守ってくれる空気感とある程度の緊張感とのバランスが絶妙で、僕自身とても過ごしやすい稽古場だなと思いました」
―――『カミヒト』での稽古場と今回の稽古場とついつい比較してしまうのでは?
高梨「ありますあります!! 『カミヒト』では演出家側の方にいたんですよ。だから演出の難しさがよくわかっていて、観月さんと澤井さんが2人で話されている時は「めっちゃ大変だろうな」と感じています(笑)。『カミヒト』は僕が憧れている方やオーディションで『この人スゴイな』と思った方が集まった舞台で、プロとしての在り方というのを見せてくれた稽古期間でもあって、今回僕が役者として稽古をしていく上で、どのように周りの人たちと接していけばいいかというのを『カミヒト』での経験を活かすことが出来ればと思って稽古に励んでいます」

―――とても14歳とは思えないくらい堂々とされていますね。
高梨「いやいや、芸術以外のことは全然出来なくて(苦笑)」
瀧本「子供たちが本当にしっかりしていて、エマを演じる福田果音ちゃんはマリアンヌの娘ですけど、本当に頼り切っています」
高梨「僕も果音ちゃんについて行っています」
(一同笑)
―――第1部の『進め!空飛ぶチキチキ号』も楽しみですが、第2部の『ミュージカルスイーツ2026』も気になるところで、どのようなことをされるのか、言える範囲で教えていただけますか。
観月「第2部はコンサートになります。『ミュージカルスイーツ』の“スイーツ”は、“組曲”という意味で、ミュージカルの世界的ヒットナンバーを散りばめたショーケースになっています。それにかつて歌舞伎町にあったシアターアプルという劇場で『ミュージカルスイーツ』のパート1を上演したことがあって、その時に構成してくださったのが、舞踊ジャーナリストで最近お亡くなりになったてらむら・さとし先生で、追悼の意も込めて今回のタイトルにしました。ちなみに現時点では、34曲ぐらいのヒットナンバーを歌う予定です」
―――ちなみに瀧本さんも第2部に出演されますね。
観月「はい、『エリザベート』の『私だけに』を歌っていただく予定です。それに当日発表のサプライズ企画も用意していますので期待して下さい!」
―――サプライズ企画ですか! 当日が楽しみですね。では最後にこのインタビューをご覧になられている方に向けてメッセージをお願いします。
観月「今回をきっかけで、『Grand Waltz Musical Concert』のことを知ってくれる人もいると思いますし、全くミュージカルを観たことがない人や演劇に触れたことがない人、それに僕自身歌や演歌にも関わらせていただいているんですけど、そういったファンの方に、1人でも多く『Grand Waltz Musical Concert』を知っていただきたいです。
今世界でいろいろな争いごとが起こっていますが、そういう中でもエンターテインメントが出来ることに感謝したいですし、ミュージカルナンバーには必ずメッセージ性というものがあります。自分の人生の中で置き換えた時、今は足踏みしている状態だけど、この先乗り越えて羽ばたいていけるんだというメッセージが書いている大きい掛け軸の絵を観に来ていただけたらなと思います」
瀧本「第1部は、2時間半ぐらいある本編をギュッと縮めた感じですし、第2部もメドレーがテンポよく進むという感じで。とにかく飽きる暇がありません。本当に楽しいショーを観に来るような感じで、誰でも楽しんでいただけると思いますし、その中にいろいろな名曲がたくさんあるので、『こういう作品を観に行くからこう感じたい』というのではなく、いろいろなことが感じられるんではないのかなと思います。誰もが何かを感じて楽しめるような内容なので、本当にたくさんの人に観に来て欲しいです」
高梨「『進め!空飛ぶチキチキ号』は、年齢や観る人によって、全然見え方が違ってきたりすると思っていて、このストーリーのように自分が不可能だと思っていることも、全部可能に出来るんだなということを僕も稽古をやりながら、再認識できたきっかけでもあって、例えば悩んでいる人や孤独に感じている人たちにも、この作品を通じて不可能なことが何でも可能になることを信じてもらいたいなと思います」
(取材・文&撮影:冨岡弘行)

プロフィール

観月ゆうじ(みづき・ゆうじ)
7月14日生まれ、大分県出身。グランワルツカンパニー主宰。大阪芸術大学を経て劇団四季付属研究所入所後、劇団四季に所属。退団後、バレエダンサー、ジャズダンサー、ミュージカルアクターとして数々の舞台に立つ。主な出演作に、ミュージカル『SORIN』、ミュージカル『Big』、ブロードウェイミュージカル『おさるのジョージ』など。

瀧本 瞳(たきもと・ひとみ)
10月16日生まれ、神奈川県出身。1995年『笑顔をあげる』で歌手デビュー。NHK BS「にこにこぷんがやってきた」をはじめ、コンサート「ぐ~チョコランタンがやってきた!」や「モノランモノランがやってきた!」などで歌のお姉さんとして活躍。歌手・女優業の傍ら、洗足学園音楽大学の講師としても活動中。

高梨元秀(たかなし・げんしゅう)
2012年3月1日生まれ、東京都出身。アーティスト。
9歳からオリジナルミュージカルの創作を始め、過去3作の長編ミュージカル動画を制作。2025年上演のミュージカル『カミヒト』では、原作・脚本・演出・作曲・舞台美術までをを1人で制作し、「世界最年少で商業舞台を総合演出するアーティスト」としてギネスブックに認定。
公演情報

Grand Waltz Musical Concert 『進め!空飛ぶチキチキ号』
日:2026年4月15日(水)18:00開演(17:15開場)
場:新国立劇場 中劇場
料:S席8,800円 A席7,700円(全席指定・税込)
HP:https://www.sakado-entertainment.com
問:坂戸エンターテイメント tel.046-408-1620
