西遊記の登場人物たちが神奈川県の伝説や昔話の世界に迷い込む!? 新作も上演! 神奈川の光と闇を行き来する冒険譚が再び

 長塚圭史が芸術監督就任当初から掲げる〈ひらかれた劇場〉を目指し、KAATで創作した作品を神奈川県内各地で巡演するプロジェクト。今回、2022年初演の『冒険者たち 〜JOURNEY TO THE WEST〜』が再演されるほか、新作『帰ってきた冒険者たち 〜闇に落ちたカナガワを救え!〜』が同時上演される。

長塚「『冒険者たち〜』は、孫悟空たちが時空を越えて神奈川県に紛れ込むという明るい作品でした。だから新作の方は、少し違う雰囲気で、毒の効いた感じにしたらどうかなと。県内を巡って神奈川県の“暗黒面”を探すことから始めて、海老名の民話『尼の泣き水』をモチーフに創作することにしました。“カナガワ”が三蔵法師を現代の神奈川へ連れ去り、囚われた彼を取り戻すために一行が立ち上がるというストーリーです」

 なんとも独特な世界観だ。カナガワ役の成河はこう話す。

成河「色々な役をやってきた自負がありますが、人ではない役が多いんですね。天使、ウイルス、馬や猫もやりましたし、ロボットの魂もありました(笑)。そんな中で“神奈川県”! さすが長塚さんですよ。リサーチを重ねて書かれているので、知らなかったことがたくさんある。その“厚み”を出せたら」

 2人の出会いは2005年、舞台『エビ大王』だとか。

長塚「知り合いが出ていたので観に行ったら、1人暴れている俳優がいて、それが成河だったんです。翌年、僕が演出の舞台に出演してもらったんですが、フィジカルも声も存在感も凄く熱っぽくて」

成河「当時は、“劇団で食っていく!”とギラギラしていて。何も知らないくせにギャンギャン言っていたと思いますが、圭史さんはそれを面白がりつつも、目線を合わせて話して下さって。僕としては、『春琴』のロンドン公演の時に留学中の圭史さんと現地のバーであれこれ話したことが忘れられないです」

 取材中も熱い“劇談”が続く。最後にメッセージを求めると。

成河「チケット代も含めて、演劇の敷居を下げつつ、面白さや豊かさも共存している作品です。普段演劇を観ない人を誘うにも打ってつけ。特に神奈川県出身・在住の人には観てほしい」

長塚「俳優のパフォーマンスもですが、音楽家も素晴らしい。『冒険者たち〜』はめでたい作りなので観劇はじめにもいいでしょうし、『帰ってきた〜』はスリリングでスペクタクルな作品になるはずです」

(取材・文:五月女菜穂 撮影:間野真由美)

プロフィール

長塚圭史(ながつか・けいし)
1975年5月生まれ、東京都出身。1996年に演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を結成。作・演出・出演の3役を担う。2017年に劇団化。2008年9月から1年間、文化庁・新進芸術家海外研修制度にてイギリスに留学。2021年4月からKAAT 神奈川芸術劇場芸術監督に就任。

成河(そんは)
1981年3月生まれ、東京都出身。2001年、劇団「ひょっとこ乱舞」の旗揚げに参加。2009年、ひょっとこ乱舞を退団。平成20年度文化庁芸術祭演劇部門新人賞、第18回読売演劇大賞 優秀男優賞、第32回読売演劇大賞 優秀男優賞、第57回紀伊國屋演劇賞 個人賞を受賞。多くの舞台作品のほか、NHK 大河ドラマ『鎌倉殿の13人』などにも出演。

公演情報

KAATカナガワ・ツアー・プロジェクト 第3弾
『冒険者たち ~JOURNEY TO THE WEST~』
『帰ってきた冒険者たち 〜闇に落ちたカナガワを救え!〜』

日:2026年2月11日(水・祝)~23日(月・祝)
場:KAAT 神奈川芸術劇場〈中スタジオ〉

日:2026年2月28日(土)・3月1日(日)
場:ヨコスカ・ベイサイド・ポケット

日:2026年3月3日(火)・4日(水)
場:川崎市アートセンター アルテリオ小劇場

日:2026年3月7日(土)・8日(日)
場:鎌倉芸術館 小ホール

日:2026年3月20日(金・祝)・21日(土)
場:藤沢市湘南台文化センター 市民シアター

※他、海老名公演あり

料:一般5,800円
  ※他、各種割引あり。詳細は下記HPにて
  (全席指定・税込)
HP:https://kaat.jp/d/boken2026
問:チケットかながわ
  tel.0570-015-415(10:00~18:00)

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