
イエス・キリストが処刑される前夜、12使徒たちはどんな会話を繰り広げていたのか――。レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「最後の晩餐」を紐解いたコメディ『あるいは真ん中に座るのが俺』。2017年に初演され、今回が3回目の上演となる。
矢島「ゴッホやスーラなど画家たちの会話を紡いだ三谷幸喜さんの舞台『コンフィダント・絆』(2007年)が本当に面白くて。僕もああいう作品を作りたいと思ったときに、頭に浮かんだのが「最後の晩餐」でした。あの当時、何が起きていたのかは誰も分からないので、書籍を読みつつ面白おかしく書いているのですが、今回は今起きているイスラエルとパレスチナの問題も頭に入れながら、社会風刺も込めて演出していきたいと思っています」
初演・再演と出演している森一弥、そして今回初出演の及川奈央とアントーニオ本多に、本作への意気込みを聞いた。
森「12使徒を日本人、しかもほぼおっさんが演じているだけでも面白いのに、熟練された演劇おじさんたちがコメディに大切な緊張と緩和を見事に表現していて……笑いが絶えない稽古場でした。あまりに笑いが止まらないから、1回笑う度に1,000円の罰金制度も設けられたぐらいです(笑)。今回はキャストが大きく変わり、プロレス界隈など、普段あまり演劇を観ない人たちからもすでにリアクションがある。多くの人に観ていただきたいです」
及川「東京マハロさんの作品は初参加なので、とても楽しみにしています。脚本も入り込んで一気に読んでしまう面白さ。母性もありつつ、色気も出しつつ、もちろんコミカルな部分も見せつつ、いろいろな表情を出して、私なりの役作りができたらと思っています。ちなみに絶対に噛んではいけないセリフがあるので、頑張ります(笑)。演劇づくしだった2025年。この作品でいい締めくくりを迎えたいと思います」
本多「メル・ギブソンの映画『パッション』にも「最後の晩餐」の描写がありますが、暗いんですよね。一方、今回の作品はイエスが処刑されてしまうという流れの中でも、イエスの朗らかさみたいなものが描かれていて、それが珍しいなと思うし、私の好きなところです。私の役はちょっと飛び道具的な要素があって、私以上の適任はいないと思いました。人の脚本と演出で舞台に立つのがおよそ20年ぶりでご迷惑をかけると思いますが、この役を日本で1番よく演じられると思うので、頑張ります」
(取材・文:五月女菜穂 撮影:敷地沙織(平賀スクエア))


矢島弘一さん
「クジラのケチャップ煮。正直、特別好きだったかどうかは微妙ですが、思い出のある品だったことは間違い無いです。この仕事をしていると、いろんな世代、いろんな地域の人と接することが多く時々給食の話題になるんです。“クジラ”が出る地域って関東だけなんですかね? 今もなお、飲食店で“クジラ”を目にすると、給食に出たケチャップ煮を思い出します」
及川奈央さん
「1番に浮かんだのは、焼きそばに卵スープ。この組み合わせがご褒美のようで大好きでした。具だくさんの焼きそばにトロトロの卵スープ。唯一おかわりしたメニューかも。あとはわかめご飯もいつもの白米と違った特別感があって好きでした。余談ですが納豆を人生で初めて食べたのも給食でした。クラスメイトが当然のようにチューブ的なものから出してご飯に乗せて食べているのを見よう見まねで試したら、経験のない香りに驚愕したことをよく覚えています」
森 一弥さん
「ソフトめん、1択! 昭和生まれ給食世代の僕は忘れられない味。ソフトめんの日はワクワクして、誰か欠席者がいればもうおかわり争奪戦!! カレーソース麺になったり、ミートソース麺になったり、なんて変幻自在なトリックめん。ソフトめんを開ける時、力入りすぎてぶちまけ可能性があるので、まず袋のままフォークで半分にする裏技も。嗚呼、もう一度食べたいソフトめん」
アントーニオ本多さん
「切り干し大根。給食をすべて食べ終えるとおかわりが許される、という制度がありましたため、切り干し大根の煮物が出た日には必ず猛スピードですべて食べ終え、大量の切り干し大根をおかわりしました。しかしそもそもそんなに人気のあるメニューではなかったため、そんなに慌てて完食せずとも余裕で競争率低くおかわりできたとも思います」
プロフィール

矢島弘一(やじま・こういち)
1975年8月26日生まれ、東京都出身。劇団「東京マハロ」主宰・脚本・演出。2006年、「東京マハロ」旗揚げ。10周年の2016年には北九州芸術劇場で公演。TBS『毒島ゆり子のせきらら日記』の脚本で第35回向田邦子賞を受賞。NHK Eテレ「ふるカフェ系ハルさんの休日」では現在も脚本を手がけている。

及川奈央(おいかわ・なお)
広島県出身。主な出演作に、舞台『更地SELECT SAKURA Ⅵ』、『わたしが帰りたい家』、映画『HE-LOW THE FINAL』、『心のありか』など。

森 一弥(もり・かずや)
1974年1月24日生まれ、東京都出身。関根勤座長カンコンキンシアター「クドい!」に1999年から参加する他、山田ジャパン、東京マハロなどの舞台に多数出演。

アントーニオ本多(アントーニオ・ほんだ)
1978年1月2日生まれ、東京都出身。2005年、プロレスラーとしてデビュー。また一方で、2020年にPOPバンド「Daisetz」を結成し活動する他、監督・出演した映画を自主制作してDVDとして販売するなど、多方面で活躍中。
公演情報
.jpg)
東京マハロ リバイバル公演 by テッコウショ 第5弾
『あるいは真ん中に座るのが俺』2025
日:2025年12月17日(水)~25日(木)
場:赤坂RED/THEATER
料:一般6,500円
序盤割引[12/17~19]6,000円
U-22[22歳以下]5,000円
※U-22は要身分証明書提示
(全席指定・税込)
HP:https://www.tekkosho.jp
問:テッコウショ
mail:tekkosho.staff@gmail.com
