視覚と聴覚で紡ぐ時空を超えた音の旅 ピアニスト・畑野圭慧が仲間と共に贈る特別なコンサート

 自ら、情景を紡ぐ“Scenic Pianist”と銘を打ち、独自のスタンスで活動を展開している作曲家・ピアニストの畑野圭慧がコンサートを開催する。毎年11月にサントリーホール ブルーローズで開催してきたこのコンサートだが、今年は会場を銀座のヤマハホールに移すという。

 「新境地へのステップアップです。ブルーローズも素敵な会場でしたが、今回は音楽ホールの中でも音質に定評がある超一流の場所ですから。さらにステージ奥に映像を映し出す演出を用意して、五感で楽しめるコンサートを考えています」

 では、そんな会場に畑野はどのようなコンセプト、そして編成で挑むのか。

 「私は聴いていて情景が見える、感じられる作品を書いていますが、それには弦楽器は切っても切り離せません。今回はヴァイオリン2本とヴィオラ、チェロの4人編成を用意して、そこにパーカッションが加わります。さらに尺八と箏の和楽器が加わり、特別ゲストに二胡奏者のウェイ・ウェイ・ウーさんを迎えた9人編成になります。そして演奏の合間には私自身がストーリー・テラーとして語りを織り込み、1つの映画を観ているようなコンサートにしようと思っています」

 タイトルにある「シネマティックストリングス」というのは、そういうことなのだろう。

 「インストゥルメンタルの素敵なところは歌詞がない分、同じ曲を聴いても人によって違って感じるところでしょう。例えば演奏前の語りで“夕暮れの曲”とお伝えしても、ある人は懐かしいふるさとの夕暮れを、またある人はどこかの荒涼とした夕暮れを思い浮かべる。それはもう受け手の自由なんです。心を“コンコン”とノックする感じで色々な風景を引き出すような、そんな曲を書いています」

 コンサートのコンセプトはもちろん、語りや自らのビジュアルを含めて全てをセルフ・プロデュースしているという畑野。音楽だけでなく、言葉も選び抜いて演出しているという“畑野ワールド”にはどんな心持ちで足を運ぶべきなのか。

 「全てを通して何かのフィルムを観ているような気持ちで楽しんでいただきたいという思いが強いので、当日は心を空っぽにしてお越しいただけたら嬉しいです。曲毎に景色も全く違いますから、通して聴いていただいて、余韻を感じつつ帰っていただけたら良いなと思います」

(取材・文:渡部晋也 撮影:間野真由美)

プロフィール

畑野圭慧(はたの・よしえ)
1987年生まれ、山口県防府市出身。情景を紡ぐ”Scenic Pianist”。モード感漂うエッジの効いたビジュアルとは対照的に、一音一音魂の宿るようなあたたかく叙情的な演奏が特徴。かつ幅広いジャンルに通ずるポップでキャッチーな音楽性や、コンサート中に聴衆にダイレクトに訴えかけるトークは聴く人の心を掴んで離さない。2022・2023・2024年と3年連続でサントリーホール ブルーローズにてコンサートを行いソールドアウト。2024年9月には25名参加による5枚目のアルバム「Journey」をリリースし、全国10箇所でのツアーを開催。他にも、2023年、『ファイナルファンタジー』シリーズのアコースティックアレンジCD の中で、演奏・編曲家として参加。2024年、「プリンスアイスワールド」劇中音楽のレコーディング参加、2024年、ミュージカル『ヘタリア』keyboard1&conductor も務めるなど、さまざまな分野で活動の場を拡げている。

公演情報

『畑野圭慧 with シネマティックストリングス 2025 光響 -Echoes of Light-』

日:2025年11月17日(月)
  18:30開演(18:00開場)
場:ヤマハホール
料:SS席[1F前方3列/限定41席]15,000円 
  S席[1F4列目以降]13,000円
  A席[1F後方サイド]10,000円 
  B席[2F]8,000円(全席指定・税込)
HP:https://yoshiehatano-yoppysfam.bitfan.id
問:スネークミュージック
  tel.03-3260-8535(平日11:00~18:00)

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