
不朽の名作『ハムレット』がこの秋、ルネサンス音楽劇を掲げ、上演される。片岡千之助が主人公・ハムレットを演じる本作は、彼の恋人・オフィーリア役を花乃まりあ、彼の母親・ガートルード役を朝月希和が勤める。ともに元宝塚歌劇団トップ娘役であり、同期生でもある2人に話を聞いた。
花乃「配役を伺った時、片岡さんはノーブルな魅力がある方ですし、主人公の力強くも繊細な役どころがお似合いになりそうだなと想像しました。私が演じるオフィーリアは、実は自分と結びつかないタイプの女性。少し驚きもあったのですが、念願のシェイクスピア作品に出演させていただけること、役者として新たな女性像に挑戦できることが本当に嬉しいです。あとは、宝塚の同期である希和ちゃんとの共演も嬉しい驚きでしたね。女性としてライフステージも変化する中、劇中で全く違う女性像をお互いにどう演じていくのか楽しみです」
朝月「名優の方々が演じてこられた『ハムレット』に出演できる嬉しさと、責任を痛感しています。過去に母親役を演じたことはあるものの、本作のように正面から息子との葛藤を描くような役作りは初めての経験。また、りお(花乃)との舞台共演は彼女が宝塚を退団した作品以来。また一緒に出来ることが嬉しいです! 信頼する仲間と同じ舞台に立てること、今のタイミングで母親役に挑戦できる喜びでいっぱいです」
演出は声楽家・彌勒忠史が務め、17世紀初頭前後の英国での初演時に親しまれたルネサンス音楽やバロック音楽を劇中音楽として生演奏で愉しめる。
朝月「ポスター撮影で彌勒先生とお会いした際に、『この作品には様々な解釈がある中で、今回のガートルードはまず母親であり、息子を愛していることを忘れないでほしい』とお声がけいただきました。ポスターからもバロックの美を大切にする姿勢を感じますし、舞台上でどのように表現されていくのか私も楽しみなんです。しっかりとお役の感情や物語に向きあい、丁寧に演じていきたいです」
花乃「私は歌唱シーンがあるのですが、今回使用する譜面はシェイクスピア活躍当時のものと伺っていて。彌勒先生が描く本作はシェイクスピアの原点に返るような魅力が詰まったものになるはず。お客様にも、新たな『ハムレット』を感じとっていただけると嬉しいです。精一杯勤めますので、是非観に来てください」
(取材・文:山田浩子 撮影:平賀正明)

プロフィール

花乃まりあ(かの・まりあ)
東京都出身。2010年、宝塚歌劇団入団。華やかな佇まいと表現力で早くから注目を集め、2014年に花組トップ娘役就任。2017年に『金色の砂漠』で退団後、俳優として舞台・映像など活動の場を広げる。主な出演作に、ミュージカル『ザ・ミュージックマン』、舞台『SHINE SHOW!』、ミュージカル『フランケンシュタイン』など。

朝月希和(あさづき・きわ)
東京都出身。2010年、宝塚歌劇団入団。2021年、雪組トップ娘役に就任。『CITY HUNTER』にて宝塚大劇場でのトップお披露目。2022年『蒼穹の昴』で退団後は、持ち前の演技力を武器に、俳優として多彩なジャンルの舞台作品に出演。主な出演作に、ミュージカル『シェルブールの雨傘』、『王様と私』、音楽劇『ライム・ライト』、『歌喜劇/〜蘇る市場三郎 冥土の恋〜』ではアカペラ歌唱も披露するなど、表現の幅を広げている。
公演情報

ルネサンス音楽劇『ハムレット』
日:2025年9月3日(水)~9日(火)
場:新国立劇場 小劇場
料:S席10,000円 A席8,000円(全席指定・税込)
HP:https://artistjapan.co.jp/hamlet2025/
問:アーティストジャパン
mail:info@artistjapan.co.jp