歴史の勉強ではなく、人生が響きあう熱さや感動を届ける物語 まずは気楽に、華やかさや色気、格好良さを楽しんで

歴史の勉強ではなく、人生が響きあう熱さや感動を届ける物語 まずは気楽に、華やかさや色気、格好良さを楽しんで

 劇団カムカムミニキーナ主宰の松村武が2008年に脚本・演出・出演を務めた『YooSoRo!~日本を変えたヤツらを変えたヤツら~』が、LEGENDSTAGEとタッグを組んで『よろしく候~BOTTOM OF HEART ~』としてリメイクされる。松村に今回の上演への想いを聞くと。

 「手応えがあった作品なので、改めて上演できるのが嬉しいです。稽古の中で今回のキャストの感性に触れるのが楽しみです」

 物語の舞台は黒船来航に揺れる幕末。松本利夫が演じる榎本釜次郎など、実在した人物も登場するが、堅苦しく考える必要はないという。

 「この作品で描いているのは、歴史にあまり名前が残っていないけれど文明の転換を体験した青年たち。蒸気船で働く彼らを歴史上の有名な人物たちが訪ねてくるという構造で、訪ねてくる男たちをあえて女性に演じてもらいます。閉ざされた船の中で鬱屈した思いを抱える青年たちと、別世界で歴史を動かす人たちの違いを見せたいなと。きっと面白くなるでしょうし、冒険でもあると思っています」

 LEGENDSTAGE とのタッグを機に一新した音楽や衣装、美術も大きな見どころだ。

 「昔からミュージカルや音楽ものが意外と大好きなんです。LEGENDSTAGE さんと組むことで、前回より派手なものをお見せできると思います」

 松村は作・演出に加えて、勝海舟役で出演もする。

 「出演していると新たな発見がある。今回は進行役的なポジションなので、若い人たちの勢いを先に繋いでいきたいです。出演もすると、役者にあれこれ言うくせにお前はどうなんだと言われてしまう危険もあるんですけど(笑)。弱みを見せることでいい現場になる時もあると信じて頑張ります」

 本作のキャラクターや物語の魅力についても改めて聞いた。

 「松さんが演じる釜次郎は旗本の家に生まれ、勝海舟の門下生として海軍で修行し、五稜郭で土方たちと共に戦い、生き残って大臣になる。ひ弱なボンボンが荒くれ者たちの中で逞しく成長し、船の中で起きたことを歴史に繋いでいくという軸を追うだけでも楽しめると思います。蒸気船に集まるのは船の操作に長けた一族、窯の扱いを熟知している鍛冶屋など、いろいろな背景を持つ若者。その中で一番危険で謎めいた人間が、(今江大地演じる)小六で、彼が抱える根本的な疑問が作品の大きなテーマになっています。若者たちのまっすぐな生き様が歴史上の人物たちに影響を与えて歴史が動いていく物語です。歌も踊りも得意な人が揃ったエンタメ作品なので、気軽に足をお運びください」

(取材・文:吉田沙奈 撮影:友澤綾乃)

駄菓子屋で、駄菓子を3つ買うなら何を買う?(選んだ理由もあれば)

「フエラムネ、どんどん焼き、キャベツ太郎。よっちゃんいかは実はあんまり好きじゃなかった。キャベツ太郎は今もよく買う。」

プロフィール

松村 武(まつむら・たけし)
1970年10月24日生まれ、奈良県出身。早稲田大学在学中の1990年、劇団カムカムミニキーナを旗揚げ。以降、劇団の全作品の作・演出を担当。外部作品での作・演出も多く、2010年に演出を努めた『叔母との旅』では、第18回読売演劇大賞 優秀作品賞に選ばれるなど4部門にノミネート。ミュージカルからストレートプレイ、商業演劇まで幅広く手掛ける。最近の演出作に、パルコ・プロデュース『腹黒弁天町』など。また俳優としてもNODA・MAP、阿佐ヶ谷スパイダース、ラッパ屋、KAKUTA などに出演。ストリンドベリ作『父』において、2018年度シアターサンモール選定賞 最優秀男優賞を受賞。最近の出演作に、パルコ・プロデュース『三十郎大活劇』、serial number07『Secret War -ひみつせん-』、『アカシアの雨が降る時』など。

公演情報

LEGENDSTAGE feat. カムカムミニキーナ
『よろしく候 ~BOTTOM OF HEART~』

日:2025年6月26日(木)~30日(月)
場:シアター1010
料:9,900円(全席指定・税込)
HP:http://legendstage.jp/yoroshiku/
問:レジェンドステージ
  mail:info@legendstage.co.jp

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