
ハビエル・カマレナは新時代のオペラ界のスーパースター。メトロポリタン歌劇場(MET)で、3つの異なる演目でアンコールに応えた唯一の歌手であり、2019年の『連隊の娘』では、過去75年で一番長いアンコールを記録し、圧倒的な存在感を世界に示した。伝説的なテノール ルチアーノ・パヴァロッティの称号でもあった“キング・オブ・ハイC”を継ぐにふさわしいと言える彼が、初のソロ・コンサートを日本で行う。
「大きな名誉であり、同時に大きな責任でもあります。特にテノールの声というのは、技術と進化の過程が最も複雑です。通常、軽い声はよりリリカルで暗くなる傾向があるため、レパートリーも声と共に進化していくものだからです」
今回披露するプログラムには『連隊の娘』や『ランメルモールのルチア』など、テノールのオペラ・アリアの名曲が並ぶ。
「非常に挑戦的なものとなりました! 今、私は多くの役を手放し、新しい役を迎え入れている段階にあります。例えば、ドニゼッティの『連隊の娘』は、もうオペラの舞台では歌わない役の1つです。しかし今回、日本のオペラ愛好家のみなさまのため、再び取り上げることにしました」
カマレナといえば、やはり最長のアンコールを記録したMETでの『連隊の娘』について尋ねないわけにはいかないだろう。
「私の人生で最も美しくエキサイティングな公演の1つでした。『連隊の娘』は、おそらく私が最も愛するオペラですね。プロとしてのデビュー作であり、また、歌手として最大の認知をもたらしたものです。そのMETでのマチネ公演は、キャスト全員が燃えるように素晴らしいパフォーマンスをしました。私自身も、この素晴らしい役が私の心にもたらす喜びを楽しみましたし、それが劇場の観客や世界中の放送で正確に受け取られたことは大きな喜びでした」
今回のリサイタルでは、今最も重要なレパートリーや、今後オペラで演じたい役のアリアも含まれているという。
「グノーの『ロメオとジュリエット』は今最もお気に入りのオペラであり、この役を舞台で演じる機会がある度にとても興奮しています。そしてマスネの『ウェルテル』、グノーの『ファウスト』は将来挑戦したい役となっています」
今回の公演が、ハビエル・カマレナの魅力を存分に味わいつつ、今後への期待がさらに膨らむものとなることは間違いない。
(取材・文:長井進之介 撮影:J.Cornejo)

プロフィール

ハビエル・カマレナ
メキシコ出身のテノール。2004年、『連隊の娘』トニオ役でオペラ・デビュー。メトロポリタン歌劇場(MET)では、3つの異なる演目でアンコールに応えた唯一の歌手。2019年、『連隊の娘』で、過去75年で一番長いアンコールを記録。同劇場の歴史の中で、パヴァロッティ、フローレスに続き、オペラ上演中にもう一度同じアリアを歌った3人目の歌手となった。2021年、国際オペラ・アワードで年間最優秀男性歌手に選出。以来、順調にキャリアを重ね、現在は世界でもっとも優れた男性歌手の1人と言われる。2024 年6月に英国ロイヤルオペラハウスの来日公演『リゴレット』マントヴァ公爵役で来日した。
公演情報
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ハビエル・カマレナ 21世紀の”キング・オブ・ハイC” 日本初ソロコンサート
日:2025年5月15日(木)19:00開演(18:30開場)
場:東京オペラシティ コンサートホール
料:S席18,500円 A席15,500円 B席11,000円
C席8,000円(全席指定・税込)
HP:https://r-t.jp/camarena
問:楽天チケット
tel.050-5893-9366(10:00~17:00)