
全作品“生演奏”での上演を特色として話題作を次々と生み出し続けているサルメカンパニーが、株式会社クリオネとタッグを組み、プロデュース公演『12人のヒトラーの側近』を上演する。総統のヒトラーではなく彼の側近たちの半生を通じて、ナチス・ドイツが何故人類史上稀な戦争犯罪に突き進んだのかを問う新作だ。出演する國島直希、正木郁、そして作・演出・出演を務めるサルメカンパニー主宰の石川湖太朗が、それぞれの想いを語ってくれた。
石川「サルメカンパニーの5周年記念公演『スウィングしなけりゃ意味がない』で、チェコを舞台にナチスへのレジスタンス活動を描きました。その後、クリオネさんからプロデュース公演のお話をいただき題材を模索していて、今度は逆にナチス側からの視点で、彼らが何故蛮行に至ったのかを描こうと思いました。ヒトラーだけで全てが決まった訳ではなく、側近たちも一枚岩ではなかった中で、彼らがそれぞれどういう人間で何を思っていたのかを、敢えてヒトラー本人を登場させずに構成しています」
國島「副総統のルドルフ・ヘスを演じます。ひたすらヒトラーを崇拝していて、はじめこそカリスマ性はあるのですが、人とのコミュニケーションが得意ではなく、後年は精神を病んでしまう。あと、家庭ではとても良い父親なんです。そうした決して一面的ではない実在の人物を演じる責任を感じますし、観る方に何か1つでも新たな気づきを持ち帰っていただけるように、俳優人生の全てをかけて作品に向き合いたいと思っています」
正木「僕が演じるアルベルト・シュペーアは建築家で、ヒトラーのお気に入りというポジションを得ていくのですが、『それを言ったら極刑になる』という局面でも信念を曲げずに行動する人物なんです。僕も頑固な面がありますが、死と隣り合わせの状況でも自分を貫くのは並大抵の覚悟でできることではありません。そんな彼の潔さをきちんと表現したいです」
石川「國島さんのミステリアスな雰囲気や、正木さんの真っすぐなカッコ良さは役柄に求めていたものですし、僕は演じる方にあてがきをするので、更におふたりの個性が反映されていくと思います。僕自身は2人が生きた時代をつなぐ宣伝大臣のヨーゼフ・ゲッベルスを演じます。世界中で戦争やファシズムの暗いニュースが続き、日本人にもそれが身近に感じられる今だからこそ、8~9割の真実に1割の演劇的なフィクションを入れて、伝えたいメッセージをお届けします。是非劇場にいらしてください!」
(取材・文:橘 涼香 撮影:立川賢一)


國島直希さん
「最近、お香にハマってます。神社とかにあるお香の匂いが好きで、たまたま散歩してたらお香の専門店を見つけたのがきっかけでした。色んな種類があって、その日の気分に合わせて使っています。友達が来た時にも好評です。今のイチオシは沈香の香りです」
正木 郁さん
「ふかふかのソファと甘い飲み物です。僕は家で1番好きな場所がソファなのですが、ふかふかソファで足を伸ばしながら、カフェオレなんかを飲んでいる瞬間が最上級のリラックスタイムです。リラクシングミュージックがあるとなお良いですね。僕は好きな音楽やテンションの上がる曲を聴くよりも、自然音やクラシックなど、心落ち着ける音を聴くことが好きなので、ふかふかソファとドリンク、リラクシングミュージックを合わせると疲れが吹っ飛びます。そして大抵寝落ちしてます(笑)」
石川湖太朗さん
「お家でのんびり過ごす時のマストアイテムは、ズバリ眼鏡です。視力は良い方なので眼鏡は普段かけませんが、脚本を書く時や映画を観る時はブルーライトカットの眼鏡をかけます。あの眼鏡無しで台本を書こうものならすぐに頭が痛くなってしまうので必需品です」
プロフィール

國島直希(くにしま・なおき)
岐阜県出身。2013年、第26回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリ受賞。2014年、舞台『BLACK10』で俳優デビュー。主な出演作に、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ、舞台『7SEEDS 〜春の章〜』など。2025年5月、新宿FACEにて舞台『華の天羽組-羽王戦争編- powered by ヒューマンバク大学』前編に出演予定。

正木 郁(まさき・かおる)
埼玉県出身。2015年ゲーム&アニメ連動プロジェクト「青春!!!!! ユニットオーディション」で合格し、デビュー。主な出演作に、舞台『ヴィジュアルプリズン』主演、ミュージカル『フィーダシュタント』、ドラマ『ドゲンジャーズ』シリーズなど。

石川湖太朗 (いしかわ・こたろう)
静岡県出身。桐朋学園芸術短期大学を卒業後、サルメカンパニーを旗揚げ。脚本・演出・出演を担当。在学中、海外の演劇ワークショップに参加した経験を活かし、子ども・若手俳優向け演劇ワークショップの講師としても活動している。第6回公演『永遠チェリーボーイ』にて、佐藤佐吉演劇賞2021 最優秀演出家賞を受賞。
公演情報

サルメカンパニー&クリオネプロデュース
『12人のヒトラーの側近』
日:2025年4月12日(土)~15日(火)
場:吉祥寺シアター
料:前売6,500円 当日7,000円
(全席指定・税込)
HP:http://www.clioneinc.com/sal-cli/
問:インフォメーションセンター
mail:support@clioneinc.com