藤原歌劇団の新しいオペラ・シリーズがスタート! 第1弾は期待のソプラノ・米田七海がジュリエットを演じる

藤原歌劇団の新しいオペラ・シリーズがスタート! 第1弾は期待のソプラノ・米田七海がジュリエットを演じる

 日本で最も歴史のあるオペラカンパニー・藤原歌劇団。今日まで80作品(うち日本初演30作品)を超えるオペラを上演し、人々を魅了してきた。今回新たに「Teatro OPERA Collection」と題したオペラ・シリーズを開始。ステージ上にオーケストラを配置し、オペラをより分かりやすく、そしてより気軽に鑑賞できることを目的としている。演目はグノーの『ロメオとジュリエット』。今回は4月27日公演で
ジュリエットを演じる米田七海に意気込みを聞いた。

 「第1幕のアリア『私は夢に生きたい』は学生時代から何度も歌ってきましたが、第4幕のアリア『ああ、何という戦慄が』を含めた全幕を歌うのは初めてです。また、これまでイタリア・オペラを歌う機会が多く、フランス・オペラの舞台に立つこと自体が初めてでもあります」

 フランス・オペラへの出演は初めてだが、昨年、藤原歌劇団の『ファウスト』でアンダースタディを務めており、グノーの音楽にあらためて魅了されていたところだという。

 「グノーの音楽はオーケストレーションが非常に豪華で、序曲から物語の世界観へと強く誘ってくれます。また、ジュリエットのアリアを見ても前半は軽やかで煌びやかですが、後半は重々しい雰囲気になります。様々な色を出せる作曲家ですね」

 『ロメオとジュリエット』は全5幕の大きなオペラであり、演劇的要素も強く求められる作品だ。

 「ジュリエットは13歳の少女ですが、恋に目覚めたばかりの喜びに満ち溢れたところから、強い気持ちをもって死へと向かっていく……非常に心情的な成長が大きい役です。その変化を大切に、また丁寧にお客様に届けられるよう冷静さをもって演じていきたいですし、フランス語ならではの言葉の響きや表現も味わいながら歌いたいです」

 上演が行われるテアトロ・ジーリオ・ショウワは、昭和音楽大学および大学院の出身である米田にとって、学生時代からの思い出が詰まった大切な舞台だ。

 「オペラへの出演やあらゆる演目の“初めて”を経験したのがこの舞台です。指揮の園田隆一郎さんをはじめ、すばらしいキャストやオーケストラのみなさまとご一緒して大きな役に臨めることが本当に幸せです」

 期待のソプラノである米田をはじめ、注目の歌手がそろい、新たな試みも取り入れられた本公演は新しいオペラの在り方や魅力を届けてくれるものとなることだろう。

(取材・文:長井進之介 撮影:平賀正明)

プロフィール

米田七海(よねだ・ななみ)
昭和音楽大学卒業、同大学大学院修了。藤原歌劇団団員。2020年、昭和音楽大学オペラ公演『ドン・ジョヴァンニ』のツェルリーナでデビュー。2021年には昭和音楽大学オペラ公演『メサイア』のソプラノソロに抜擢されるなど、幅広いレパートリーを持つ。藤原歌劇団の公演では、2022年の『イル・カンピエッロ』のニェーゼでデビューし、2023年の『ラ・ボエーム』のムゼッタ、2024年の『ラ・チェネレントラ』のクロリンダ、2025年の『ファルスタッフ』のナンネッタで出演している。2023年にフランス・パリで開催されたOpera for Peace 主催「第2回オペラ・フォー・ピース アカデミーマスタークラス」へ参加。2024年、イタリア・ペーザロでのロッシーニ・オペラ・フェスティバルのアカデミー公演『ランスへの旅』でフォルヴィル伯爵夫人に抜擢されるなど、今後の世界的な活躍も期待される。

公演情報

藤原歌劇団公演 Teatro OPERA Collection
『ロメオとジュリエット』

日:2025年4月26日(土)・27日(日)14:00開演
場:テアトロ・ジーリオ・ショウワ
料:S席12,000円 A席10,000円 B席6,000円
  C席3,000円(全席指定・税込)
HP:https://www.jof.or.jp
問:日本オペラ振興会チケットセンター
  tel.03-6721-0874(平日10:00〜18:00)

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