さまざまな「愛」の形をコメディの中で描き出す 4人の作家陣によって紡がれるオムニバスストーリー

さまざまな「愛」の形をコメディの中で描き出す 4人の作家陣によって紡がれるオムニバスストーリー

 劇団かもめんたるを主宰し、お笑いだけでなく舞台作品も多数手掛ける岩崎う大、俳優・声優・脚本家・演出家と幅広く活躍する池田テツヒロ、2021年の「キングオブコント」王者でもある空気階段の水川かたまり、大倉孝二との演劇コンビネーション「ジョンソン&ジャクソン」でも活動するブルー&スカイ、という4人の作家のオムニバスストーリーで贈る、ハジケ・るポップコーン一座『テイ・る オブ ナイトメア』〜不思議の国の給仕係〜。相葉裕樹を主演に迎え、3つの個性豊かなストーリーとオープニング・エンディングで、「愛」をテーマに作品を紡ぐ。相葉と、同じく出演する横山賀三に本作への意気込みを聞いた。


―――この作品のお話を聞いたときのお気持ちを教えてください。

相葉「(本作の企画・製作の)る・ひまわりさんからオムニバスの作品をやりたいとお聞きしたのが最初です。こうして鬼才と呼ばれる素晴らしい脚本家の方々が集まってくださり、より楽しみになりました。キャスト陣も豪華で、少数精鋭。本当に個性豊かで、スペシャリストな方々ばかりなので、とても面白いものが作れるのではないかと思います。
 演出の加藤啓さんとはこれまでにも2度共演していますが、演出を受けるのは初めてなので、どんな形になるのだろうと楽しみです。物腰が柔らかくて、優しい先輩です。(共演した)シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る 革命『もえ・る 剣』の劇中のコントは啓さんが脚本を書いて演出してくださいました。伝え方も丁寧で優しく、もちろん役者としての気持ちも汲み取りながら一緒に作ってくださる印象があったので、きっと今回もそうした演出をしてくださるのだと思いますし、カンパニーの空気もほんわかしたものになるのではないかなと思っています」

横山「僕は、まず主演が相葉裕樹さんだと聞いて本当に嬉しかったです。3年前に共演させていただいて」

相葉「ミュージカル『ダブル・トラブル』で兄弟役を演じたんだよね」

横山「はい、いつかまたご一緒できたらと思っていたので、素直に嬉しいというのが最初の気持ちでした。僕は、る・ひまわりさん製作の作品に出演するのは今回が初めてなので、そうした楽しみもありますし、何より今回は脚本家の方が4名いらっしゃる。しかも、オムニバス形式で、日替わりのゲストの方もいらっしゃるというので、毎公演、何が起きるんだろうというドキドキ感もあって、役者として問われる作品だと思います。
 出演者も脚本家もお笑いの世界で生きている方やコメディの舞台をやってきた方など、いろいろなジャンルの方々がギュッと集まっているので、どんな化学反応が生まれるんだろうとすごく楽しみですし、ある意味で緊張しています」

相葉「緊張するんだ? 意外(笑)」

―――横山さんは相葉さんからは緊張しなそうなタイプに見えていたのですか?

相葉「そうですね。でも、すごく真面目です。『ダブル・トラブル』では、ジミーとボビーという兄弟を演じたのですが、誰よりも早くセリフを入れてきて、誰よりも早く段取りを覚えていたので、僕たちお兄さん組が『賀三、あそこはどうだったっけ?』と聞くことも多くて、すごく頼もしかったです。裏ですごく努力していることも伝わってきましたし、真面目でまっすぐでいい子だなと思いました。一緒に汗だくになりながら練習をして。ただ、公演回数はそれほど多くなかったよね?」

横山「そうですね。相葉さんとは2回しか本番でご一緒できなかったんですよ」

相葉「公演の後半だったから、久々に一緒に芝居をしたんだよね。それもあって緊張していない印象があったのかなと思います。今回、3年経って、さらにパワーアップした賀三の姿を見るのが楽しみですね」

―――横山さんから見た相葉さんはどんな方ですか?

横山「僕はもともとミュージカルが大好きで、相葉さんのことは出会う前からお客さんとしてもちろん知っていました。歌もうまくて演技もできて、表現力がある方で、声優のお仕事もされていたりして、幅が広くなんでもできる方だなと思っていました。ご一緒すると、自分も頑張らなくてはいけないという気持ちにさせてもらえます。一緒に舞台に立てることが光栄すぎて、3年前は本当に緊張していたんですよ(笑)」

―――『ダブル・トラブル』のときは、稽古をしていく中で、交流を深めていったのですか?

相葉「あのときは、本当に時間がなかったんですよ。稽古期間が短かったこともあって、セリフが全然覚えられなかった(苦笑)。賀三は稽古に入る前から台本を読んで覚えていたんだと思うけれど、僕はそのとき、本読みに入ってから『よし、覚えるぞ』という流れだったから全然覚えられなくて。セリフが恐ろしく大量にあったんですよ。だから、プライベートで仲を深めるなんてことをしている暇はなかったです(笑)。
 ただ、稽古中はタップを教えてもらったり、ステッキの使い方を聞いたりして、練習によく付き合ってもらいました。それほど頼りになっていたけれど、本番に入ったら緊張しているように見えて、それもまたかわいかったです。当時、まだ19歳だったんだよね?」

横山「そうです、まだ10代でした」

相葉「それだけ若くて、これほど歌えて踊れて芝居ができるってなかなかいないので、本当にすごいですよね」

―――今回、4人の脚本家が描くオムニバスストーリーになりますが、おふたりは脚本家の皆さんとこれまで交流はありましたか?

相葉「僕は、イケテツさん(池田テツヒロ)が手がけた『BACK STAGE』に出演させていただきました。その作品も宇宙人が攻め込んでくるというはちゃめちゃなコメディで楽しかったです。イケテツさんはとても優しい方で、役者もやりながら脚本家・演出家という何足もの草鞋を履いているので、役者の気持ちも分かりつつ演出してくださいます。一方的ではなく、きちんと伝わるように演出してくださるので、すごく気持ちよくお芝居ができてありがたかったです。
 う大さんはご一緒したことはないのですが、かもめんたるさんの動画やテレビで拝見していたので、『キングオブコント』でエッジの効いたネタが優勝するのを観て、すごく嬉しかったのを覚えています。今回、ご一緒できるのがすごく楽しみです。
 かたまりさんもテレビでしか拝見したことがないですが、シュールなお笑いを作られている方という印象です。ブルー&スカイさんとも初めてです。それぞれ笑いの方向性が違うので、今回、すごく贅沢だなと思います。自分がそれをどう体現できるのか、まだ未知なところが多いですが、新たな出会いに感謝しつつ、新たな扉を開ければと思っています」

横山「僕は、皆さん、初めてご一緒させていただくのですが、もちろんテレビなどで拝見している方ばかりです。相葉さんがおっしゃったように、きっとそれぞれの世界観があって、全く違ったものが生まれるんだろうなという予感はすでに感じています。それぞれの脚本に自分がどう関わっていくのか、今から楽しみですし、どんなものが生まれるんだろうというワクワクしかないです」

―――今回は、コメディ作品になるということですが、コメディと一口に言ってもいろいろなコメディがありますよね。

相葉「そうですね、シュールなものもあればブルー&スカイさんのようなナンセンスコメディもサスペンス要素のあるコメディもありますから」

横山「僕たちが演じる役柄もいろいろとありますよね。相葉さんはアリスなのかと思いきや……」

相葉「帽子好きの給仕係(笑)。でも、本当に大きく括るとコメディですが、バラエティ豊かなものになっていると思います」

―――オムニバスなので、皆さん複数の役柄を演じます。1つの作品の中で次々と違う役を演じていくということにも役者としてやりがいや楽しさ、難しさがあるのではないですか?

横山「『ダブルトラブル』のときも、1人で5役、2人で10役くらい演じましたね」

相葉「あれは、僕がこれまでやってきた中で一番大変だった(笑)」

―――ああ、なるほど。それを考えると、それぞれ物語が独立していて、役が違うというオムニバスは演じやすいですか?

相葉「どうですかね。同じ脚本家さんが書かれたお話の中で何役も演じるというのはよくあることなのですが、全てが独立した作品となると、世界観も作品の空気も全く変わると思うので大変だとは思います。僕はこれまでそうした作品に出演したことがなく、観たこともあまりなかったので、最終的に1つの作品としてどうなるのかすごく楽しみです。
 それぞれの作品で違ったニュアンスを出していかないといけないと思うので、啓さんを信頼してついていって、みんなの個性がそれぞれ輝いていけば、面白いものがチームとして完成するのではないかと思います」

横山「僕もオムニバスは初めてです。確かにエピソードごとに脚本と空気感が変わるので、それぞれを一つひとつ作品として固めていく作業をするのは、緊張感があると思います」

相葉「本当にどのエピソードも楽しみですね。特に、う大さんは独特な世界観があって。すごく不思議な世界観で、それをどこまで分かりやすく描いていくのかによって、お客さまの満足度も変わってくると思うので、ここからどうなるのか、僕自身も楽しみにしています。
 しかも今回は、日替わりでエンディングが変わるんですよ。啓さんからお伺いしたところによると、“ハッピーエンド”と“ミラクルエンド”があり、ゲストの方によって変わるそうです。ゲストの方には、重要なキーとなる役を演じていただくので、どんな化学反応が起こるのか、ぜひ楽しみにしていただければと思います」

(取材・文:嶋田真己 撮影:NORI 衣裳:西原梨恵 ヘアメイク:田中エミ)

お家でのんびり過ごすときのマストアイテムは?

相葉裕樹さん
「お家でのんびり過ごすときのマストアイテムは、リカバリーウェアです。最近ではこればかり着ていて、体が楽になる感覚がすっかり気に入っています。稽古がある日もない日も、リラックスしたいときに欠かせないアイテムです」

 

プロフィール

相葉裕樹(あいば・ひろき)
1987年10月1日生まれ、千葉県出身。2005年、ミュージカル『テニスの王子様』1stシーズン 不二周助役で舞台デビュー。2009年、『侍戦隊シンケンジャー』池波流ノ介/シンケンブルー役で人気を博す。主な出演作に、ミュージカル『レ・ミゼラブル』、『CROSS ROAD〜悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ〜』、『SONG WRITERS』、シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る 革命『もえ・る剣』など。

横山賀三(よこやま・かざん)
2002年9月30日生まれ、東京都出身。2013年、劇団四季ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』クルト役で舞台デビュー。2013~2016年には、ミュージカル『ライオンキング』でヤングシンバ役を務めた。主な出演作に、ミュージカル『ニュージーズ』、舞台『川越ボーイズ・シング』、『テラヤマキャバレー』、ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズンなど。

公演情報

Screenshot

ハジケ・るポップコーン一座『テイ・る オブ ナイトメア』~不思議の国の給仕係~

日:2025年3月21日(金)~30日(日)
場:I’M A SHOW
料:12,000円(全席指定・税込)
HP:https://tale-of-nightmare.com
問:る・ひまわり mail:info@le-himawari.co.jp

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