誰もが親しんだ人気の冒険活劇を、ダンス作品として世界初演 西方への旅を通じて師弟が学び合う姿を描きたい

誰もが親しんだ人気の冒険活劇を、ダンス作品として世界初演 西方への旅を通じて師弟が学び合う姿を描きたい

 コンテンポラリーと古典バレエを共存させた『ジゼル』、キャストに能役者を迎えた『宗達』など、意欲的な作品を発表し続けている大和シティー・バレエが今回挑むのは『西遊記』。過去何度も舞台化・映像化されているが、ダンス版は世界初演となる。ダンサーとしてドイツで活躍し、現在は振付家として頭角を現している竹内春美が演出・振付を担当。そしてドイツやチェコ、Noismでの活動を経て、現在はフリーで活躍する林田海里が主役の孫悟空を務める。林田が大和シティー・バレエの作品に参加するのはこれで4回目だ。

竹内「森優貴さんがNoismに振付けた作品で観た海里くんの踊りが印象に残っていました。彼は私がやってみたい身体的なものを具現化してくれる人で、そういうダンサーに初めて会ったんです。『ジゼル』のヒラリオンから始まり、立て続けにお願いしています」

林田「東京に出てきて以来、どの現場も割とドライな関係性のまま終わってしまうことが多く、公演が終わったらそれでお終いという感じでした。今回で4作目となる大和シティー・バレエさんとは積み重ねが出来ているので、僕としては嬉しいです。結果として僕が何を求められているか、という理解度も深まっていますから」

竹内「『西遊記』は海里くんありきの作品ですね。他のキャスティングは私からも推薦しましたが、性別よりも人を見て決めていますし、面白くなりそうなキャスティングを考えています。大和シティー・バレエには男性ダンサーがおらず、全て客演になりますが、ほとんどは何度か参加しているメンバーです」

 個性的なメンバーを揃えた『西遊記』。話の大筋はわかっているものの、ダンスでどう表現されるか、興味が尽きない。

竹内「もちろん孫悟空はスーパーな存在で格好いいですが、強さだけではなくて、三蔵法師との師弟愛を描きたいです。悟空はもちろん師匠 三蔵から学びますが、三蔵もまた悟空から学び一緒に成長していく。演出の佐々木(三夏)さんとも話していて、それこそ届けたいものだと思いました。格好良さを越えた表現に挑む海里くんを見たいですし。きっと魅せてくれるでしょう」

林田「プレッシャーだな(笑)。孫悟空はとてもチャーミングだし行動がすごくまっすぐ、と僕にはない部分を持ったキャラクターです。だからこそ憧れるので嬉しいです」

(取材・文:渡部晋也 撮影:平賀正明)

プロフィール

竹内春美(たけうち・はるみ)
12歳よりクラシックバレエを学ぶ。2003〜2005年、オーストラリア・ナショナルシアターバレエスクールへの留学中に、コンテンポラリーダンスと出会う。2010年、文化庁 新進芸術家海外研修制度により、ドイツ・ヘッセン州立劇場ヴィースバーデンバレエ/トス・タンツカンパニーにて研修。2012〜2019年、ドイツ・レーゲンスブルク劇場ダンスカンパニーにソリストとして所属。帰国後の2023年より大和シティー・ダンス(YCD)ディレクター/常任振付家として活動。

林田海里(はやしだ・かいり)
10歳よりクラシックバレエ、ジャズダンスを始める。17歳で単身ドイツに渡り、2014年にマンハイム音楽舞台芸術大学ダンスアカデミー修士課程を修了。その後、チェコ・The Ballet Company of South Bohemian Theatreに在籍し活躍。帰国後の2018年〜2021年は新潟・りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)を拠点に活動する、日本初の公共劇場専属舞踊団Noism1に所属。退団後、東京を拠点に大和シティー・バレエ、Organ Works他で活動している。

公演情報

Yamato City Ballet
Winter Concert 2025『西遊記』

日:2025年1月31日(金)18:00開演(17:15開場)
場:大和市文化創造拠点シリウス メインホール
料:+S席8,800円 S席6,600円 A席5,500円
  B席4,400円(全席指定・税込)
HP:https://www.ycb-ballet.com/2025winter
問:大和シティー・バレエ
  tel.050-1310-7318(10:00~19:00)

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