巨匠 モーリス・ベジャールが贈る、繊細な夢に満ちたファンタジー 豪華ゲスト&新キャストで魅せるベジャールの『くるみ割り人形』

巨匠 モーリス・ベジャールが贈る、繊細な夢に満ちたファンタジー 豪華ゲスト&新キャストで魅せるベジャールの『くるみ割り人形』

 東京バレエ団がベジャールの『くるみ割り人形』を7年ぶりに再演。子ども時代の思い出、亡き母への思慕とバレエへの憧憬が詰め込まれた自伝的ファンタジー。少年 ビム役の山下湧吾、母役の政本絵美に想いを聞いた。

政本「マジックキューピー役の飯田(宗孝)先生が逝去されたこともあり、『もう上演されないのかな……』と案じていたので、母役に再び挑めて嬉しいです。今回は先生へのオマージュでジル(・ロマン)さんが特別出演されるので、楽しみです」

山下「僕は飯田先生に師事していた時期があり、この作品でマジックをする先生を観て驚いた思い出があります(笑)。前回公演は入団前だったので、出演者となると作品を観る視点もだいぶ変わるなと感じています」

 世界的ダンサー ダニール・シムキンがフェリックス役で出演するのも大きな話題に。

山下「シムキンはベジャール作品のイメージが薄いので、どんな風に踊るのか興味深いです!」

政本「彼は私たちと同日キャスト。このミックス感が舞台上でどうなるか未知数ですが、また新しい顔が見られるのかなと」

 2人とも今は、託された役について考えを巡らせている。

政本「母役は、ベジャールさんのお母様を理想化・美化した女神のような存在だと考えています。“母”という枠に囚われず、自分の内から出てくるものを表していければ」

山下「自分の息子を見ていると母への絶対的な信頼を感じます。ビムの前に亡き母が現れたら、きっとその喜びや幸せに全身で浸るはず。そういった感情を、振りや表情の中で自然に見せていけたらと思っています」

政本「湧吾は経験を積んで踊るときの表情が豊かになったなと感じます。フレッシュさもあり、ビム役にぴったり!」

山下「絵美さんはいつも全体を俯瞰で見ているイメージで、母役がしっくりきます。絵美さんに対する僕の安心感が、作品を通じてどう表れてくるか楽しみ」

 おなじみの楽曲が、振付や演出によって大きく印象を変えるのも、本作の魅力の1つだ。

山下「クラスレッスンのシーンでは、子どもの頃に自分も感じていた楽しさが表現されているなど、シンプルでありながらよくできた作品だなと思います」

政本「やる度に発見があり、クラシックのくるみだけやっていたら気づかなかったことは多いです。東京バレエ団にいるからこその経験ですし、観客の方にも味わっていただきたいです」

(取材・文:木下千寿 撮影:間野真由美)

プロフィール

政本絵美(まさもと・えみ)
香川県出身。4歳よりバレエを始める。2009年に東京バレエ団に入団。同年、『くるみ割り人形』で初舞台を踏む。2015年にセカンドソリスト、2019年にソリストに昇進。バレエ団の様々な作品を踊る。

山下湧吾(やました・ゆうご)
東京バレエ学校に入校したのち、ワガノワバレエアカデミーに留学。2018年、東京バレエ団に研修生として入団。現在は、セカンドソリストとしてバレエ団の公演に多く出演している。

公演情報

東京バレエ団
ベジャールの『くるみ割り人形』 全2幕

日:2025年2月7日(金)~9日(日)
場:東京文化会館 大ホール
料:S席14,500円 A席12,000円 B席9,000円
  ※他、各席種あり。詳細は下記HPにて
  (全席指定・税込)
HP:https://www.nbs.or.jp
問:NBSチケットセンター
  tel.03-3791-8888
   (月~金10:00~16:00/土日祝休)

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