プッチーニ没後100周年に贈る、この上なくユニークなリーディング公演 柏木ひなたが切り拓く、新たなる歌の世界

プッチーニ没後100周年に贈る、この上なくユニークなリーディング公演 柏木ひなたが切り拓く、新たなる歌の世界

 今年はオペラの名作曲家プッチーニの没後100年にあたり、来年にかけてプッチーニ関連のオペラ公演やリリースなどが、各所で色々と企画されている。その中でも来年3月に上演されるリーディング・オペラop.2『蝶々夫人』は大変ユニークな企画だ。演出をカウンターテナーで演出家の彌勒忠史が務め、出演にミュージカル界で活躍している上原理生、LE VELVETS 宮原浩暢、歌舞伎俳優 市川笑三郎の名が連なった。そして物語の中心となる蝶々夫人に、抜群の歌唱力で注目されている柏木ひなたがキャスティングされた。歌が上手いとはいえ、ポップスシンガーである柏木にオペラ作品のオファー。さぞ本人も驚いたことだろう。

 「“なぜ私なのか”というのが最初の気持ちです。正直、何もわからない状態だったし、オペラにも触れたことがなかったので、自分に出来るか不安です。でも新しい世界に踏み込むいいチャンスであり、新境地が発見できるのではないかと思って挑戦を
決意しました。最初から諦めるのも違いますしね」

 柏木の挑戦を支えるのは前述した面々だが、その中でも演出の彌勒は柏木にとって大きな存在だという。

 「彌勒さんは私を音楽バラエティ番組に“歌が上手いアイドル”として推してくださったご本人なんです。共演の上原さん、宮原さん、笑三郎さんと、素晴らしい方ばかりで、私でいいのか心配しかないです(笑)。でも、経験豊富な皆さんとの共演はきっと勉強になると思います。役者としてもう1段上に上がれれば良いなと思っています。彌勒さんからは歌い方を無理に変えるのではなく、柏木ひなたの“蝶々夫人”ができたらいいと言ってもらっています」

 彼女の歌を支える演奏は、オーケストラでもピアノでもなく、二十五絃箏・二胡・アコーディオンと、西洋と東洋が出会うこれまたユニークな組み合わせだ。

 「この組み合わせも私には未知ですね(笑)。普段はライブや舞台で大音量のバンドをバックにしているわけですから。きっとこの演奏に寄り添える歌い方が生まれると思います」

 不安を連発する柏木だが、その表情はこの上なく明るく、この状況を楽しんでいるとしか思えない。

 「未知な世界ですが、取り組むうちに愛が溢れてくると思います。本番までにどれだけ成長できるか。いいものをお届けしたいと思っています」

(取材・文:渡部晋也 撮影:小山眞一郎)

プロフィール

柏木ひなた(かしわぎ・ひなた)
千葉県出身。スカウトされてスターダストプロモーションに所属し、2010年にアイドルグループ「私立恵比寿中学」のメンバーとして加入。グループでの活動の他に映画やテレビドラマにも出演。2017年からは毎年ソロライブを開催。その歌声は広く知られるようになり、「歌が上手いアイドル」としてバラエティ番組に取り上げられる。2022年にグループを卒業。翌年にはSMEレコーズからメジャーデビューし、2024年には1st アルバム「1/24」をリリース、そして初の全国ツアーを開催するなど音楽活動を中心に展開している。11月13日には現在放送中のアニメ『夏目友人帳 漆』のオープニング
テーマ「Alca」がリリースされる。

公演情報

リーディング・オペラ《op.2》 蝶々夫人 ―プッチーニ没後100年記念―

日:2025年3月4日(火)~6日(木) ※他、神奈川・大阪公演あり
場:イタリア文化会館ホール 
料:S席8,000円 A席7,000円(全席指定・税込)
HP:https://artistjapan.co.jp/ajro_madama-butterfly_2025/
問:アーティストジャパン mail:info@artistjapan.co.jp

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