近代日本を代表する詩人の生涯を三人芝居の音楽劇で描く 縁と直感が呼び寄せた“中原中也”への挑戦

近代日本を代表する詩人の生涯を三人芝居の音楽劇で描く 縁と直感が呼び寄せた“中原中也”への挑戦

 劇団スタジオライフの看板俳優の1人・山本芳樹が主宰するpetit bijou(プティビジュー)が、音楽劇『中原中也』を9月に上演する。山本といえば、ソロミュージカル『ロートレック』での名演も記憶に新しい。そんな山本が中原中也に取り組むとあっては注目しないわけにいかない。企画は『ロートレック』にも参加している音楽家・後藤浩明とのやりとりからだったという。

山本「もう何年も前から『何かオリジナルの作品を作りたいですね』という話をしていたんです。『いよいよやりましょう』となったときに、後藤さんから脚本家のオノマリコさんを紹介していただきました。3人で何度か打ち合わせをする中で、リコさんから『中原中也どうですか?』という意見が出て、ビビッときました。ワクワクが止まらなかったのを思い出します。その打ち合わせの帰り道、リコさんと2人で歩いていると『私、前に中也書いたことあるんです……リベンジします』と仰っていたのも凄く印象的で、この作品へのワクワクが増したのも覚えています。
 演出家の平戸麻衣さんはリコさんに紹介していただきました。良いご縁がつながっていって素敵なキャストにも恵まれました」

 そのキャストは、中原中也を演じる多田直人と、妻・上野孝子を演じる小林風花。2人も強い思いをもって今作に臨む。

多田「中原中也のように言葉を使う表現者は、独自の世界を持っていると考えられます。それを理解するとまではいかなくても、自分の中にどれだけ取り入れられるか。自分と向き合う稽古にしたいですね。共演者とのやり取りの中で、まだ見ぬ自分の一面を見いだせることを期待しています。作品を彩る音楽もとても楽しみです」

小林「上野孝子は明るく聡明な方だったという記録を参考に、多田さん演じる中原中也に寄り添ってつくっていけたらと思っています。アナログな時代の生活の中にある温度や質感を丁寧に、リアリティを持って繊細に向き合っていきたいです。日本語の美しさを楽しめる作品になるのではと期待しています」

 そして山本は、中也夫婦の旧友に扮する。3人による濃密な時空間が生まれることだろう。

山本「おふたりとも今回の役にぴったりで、みなさまを魅了すること間違いなしです。どのような作品になるかは観てのお楽しみ。どうぞご期待ください!」

(取材・文:西本 勲 撮影:宮坂浩見)

プロフィール

山本芳樹(やまもと・よしき)
1996年、劇団スタジオライフに入団。主要メンバーの1人として年齢・性別を超えた幅広い役柄を演じる。外部出演も多く、翻訳劇・ミュージカル・ダンスパフォーマンス公演・音楽ライブなど活躍は多岐にわたる。元劇団四季 沢木順から引き継ぎソロミュージカル『ロートレック』を上演している。同作のさらなる飛躍を目指し、任意団体petit bijou を旗揚げした。

多田直人(ただ・なおと)
2004年、演劇集団キャラメルボックスに入団。舞台作品を中心に活動する他、ライブ・落語・ラジオドラマ・ナレーションなど多方面で活躍。近年の主な出演に、日本の劇団『第十七捕虜収容所』、『ブンナよ木からおりてこい』、ミュージカル座『すずらん通りの青い鳥』など。

小林風花(こばやし・さやか)
幼少の頃よりバレエを学び、2004年にデビュー。以後、ミュージカルを中心に30作品以上に出演。近年は桜美林大学で非常勤講師を務めるなど、歌唱指導も行う。主な出演に、ミュージカル『レ・ミゼラブル』、『ミス・サイゴン』など。

公演情報

petit bijou produce 音楽劇『中原中也』

日:2024年9月18日(水)~22日(日・祝)
場:浅草九劇
料:7,500円(全席指定・税込)
HP:https://yypetitbijou.com
問:プティビジュー tel.080-1254-8890

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