日本劇団協議会による「日本の演劇人を育てるプロジェクト」新進劇団育成公演は、これからの演劇界を牽引すると期待される劇団をバックアップする事業だが、それに選ばれたのが俳優・演出家であり、演技指導なども手掛ける柳本順也主宰の劇団Q+（げきだんきゅー）だ。
順也「旗揚げは2014年ですが、その前身に横浜の社会人劇団があって、もともと僕はそこをお手伝いしていました。それを引き継ぐ形で、本格的に演劇に取り組もうと旗揚げしたのが今の劇団Q+です」
下北沢初進出となる作品『ANGERSWING』は、とある家族を舞台にした物語。
順也「バラバラになっていた家族が、父の訃報をきっかけにもう一度集まる。物語には4人の兄弟姉妹が出てくるんですが、家族だからこその会話やそして生まれる摩擦やエネルギー。そこから家族の姿を再認識する。それを演劇という形で見せたいという気持ちがありました」
ダブルキャストを含めた25名の俳優たちのなかで、広報も担当している佳乃香澄と、衣装担当でもある柳本璃音はシングルキャストとして出演。共に5年前から劇団に参加しているメンバーだ。ちなみに柳本璃音は主宰・柳本順也の娘である。
佳乃「普通の会社員だったのが、野田秀樹さんの『贋作・桜の森の満開の下』を観て感動し、お芝居がしたくなりました。それで探したら劇団Q+に出逢ったんです」
璃音「私の母もミュージカル女優で、両親からの影響もあると思いますし、そういったモノに触れられる環境を作ってくれていたと思います。今は衣装も担当しています」
おそらく劇団にとってターニングポイントとなるこの公演。それぞれの意気込みを聞いてみた。
璃音「初めての下北沢にワクワクしています。ベストのメンバーで挑みますが、単純に上手な芝居ではなく、演劇そのものの面白さが感じられる、演劇のエネルギーを届けられたらと思います」
佳乃「そうですね。もう最強の外部キャストを迎えてますから、初進出にふさわしい作品をお届けできると思ってます。ぜひたくさんの方に観に来ていただきたいです」
順也「しっかりした会話劇になると思うんですけど、それに加えて劇団の特色である衣装にも注目してほしいです。璃音が全部デザインしてますが、その独創的なビジュアルも楽しみにしてもらいたい。普通の会話劇を超える工夫で、よりお客さんが想像してもらえるようなものにしていきます」
（取材・文：渡部晋也 撮影：間野真由美）
佳乃香澄さん
「先日1人で札幌に行ったのですが、夜に行きたいジンギスカンのお店が『めっちゃ並ぶ』とのことで、オープンと同時に行くぞ！と意気込んだのも束の間、ホテルで爆睡をかましてしまった私……。起きたのは18時、お腹はぺこぺこ。この状態で何時間も並べないと、急遽近くの豚丼屋さんで腹ごしらえをし、さぁ並ぶぞと向かったところ、なんと2組待ちでものの10分で入れてしまいました（笑） お腹は満たされていましたが、せっかくなので2人前しっかり平らげてきました♪ でも、私が店を出る時は大行列だったので、これは騙されたではなく“ツイてる”話かもですね（笑）」
柳本璃音さん
「先日かなり気合いの入るオーディションがあったのですが、受付に行き名前を伝えると担当の方々がザワザワしだしました。少々お待ちくださいと言われ、私を追い越して受付を通されていく方々が全員男性なのを見てなんとなく勘付きました。そう……名前と宣材写真を見て男性枠にお呼ばれしちゃったんですね（笑） 担当の方々の申し訳なさそうな顔と言ったら（笑） しかし心の中では『わ！ ダマサれた!!』と思っていたことでしょう！ なんと、私が騙しちゃった方！」
柳本順也さん
「映画の予告編に完璧にダマされました！ 先日、映画館で観た映画の話。魅力的だった全てのシーンは、予告で既に観ていたものがほとんどで……。予告動画、ポイントを押さえるのうまぎる。本編を観終わった後でなんとも言えない空虚感だけが残った。またダマされて観に行っちゃうんだろうな……」
プロフィール
佳乃香澄（かの・かすみ）
兵庫県神戸市出身。関西大学社会学部マス・コミュニケーション専攻を卒業後、サントリーに入社。2018年に舞台に魅了され、同年劇団Q+に参加。以後、役者と両立しながら活動するも、役者活動に専念するため2023年4月に退職しフリーに。会話劇を中心に扱う「スーウェイ」の主宰も務める。特技はバスケットボール。出演作に、スーウェイ『逢いにいくの、雨だけど』、『人の気も知らないで』、ゲキバカ『ごんべい』など。
柳本璃音（やなぎもと・りおん）
東京都出身。早稲田大学国際教養学部在学。カクシンハンスタジオにてシェイクスピアを学ぶ。2018年から劇団Q+に参加、以降劇団本公演と客演を中心に活動。出演作に『リア王〜スマホVSリア王〜』、『シン・タイタス REBORN』（演出：木村龍之介）、『仮面劇・預言者』（演出：串田和美）など。
柳本順也（やなぎもと・じゅんや）
1973年生まれ、宮崎県出身。劇団Q+主宰。演出家・俳優・グラフィックデザイナー。2014年に劇団Q+を結成。Q+全作品の演出・デザインを担当。2017年より劇団の枠を超え様々な立場の方と共に演技力、創造力を高める為の稽古場アクターズスクエアを開始。2018年より中学校演劇部の演劇指導員も勤める。
公演情報
劇団Q+ 「日本の演劇人を育てるプロジェクト」新進劇団育成公演 『ANGERSWING』
日：2024年7月3日（水）～7日（日）
場：下北沢 駅前劇場
料：一般 前売4,500円 当日5,000円
U22［22歳以下］3,000円
※当日枚数限定／要身分証明書提示
（全席指定・税込）
HP：https://www.gekidan-q.com
問：劇団Q+ mail：info@gekidan-q.com
