劇団創立75周年記念の今年も、夏休みファミリー劇場で 自然を愛し、平和を願う心の美しさを伝える、人々の絆が深まる感動の物語

 劇団東少創立75周年記念公演として、ミュージカル『白雪姫』が7月20日から上演される。
 1949年の創立以来、子どもたちの大切な未来と、大切な夢を育む劇団として、愛と涙と笑いと感動を届けてきた劇団東少。今回、上演されるミュージカル『白雪姫』では、自然を愛し、平和を願う心の美しさを伝える。
 白雪姫を演じる込山榛香(AKB48)と王子役の渡辺和貴に公演への意気込みや見どころを聞いた。

―――誰もが知っている『白雪姫』のミュージカルです。最初にお話を聞いたときは、どのようなお気持ちでしたか?

込山「昨年の5月に渡辺さんと舞台『NO TRAVEL,NO LIFE』という作品でご一緒したときに、(本作の)演出家の方が観に来てくださって今回のオファーをいただいたので、とても嬉しかったです。小さい頃から知っている『白雪姫』に出演させていただけるなんて光栄だなと思いました。
 この1年間、ずっと楽しみにしていたので、ようやくポスターが出来上がり、こうして取材をさせていただき、動き出したことがすごく嬉しいです」

渡辺「僕はこれまでにも劇団東少さんの作品に何度も出演させていただいていて、『白雪姫』も5年ほど前にも出演させていただいています。今回は、台本も色々と変わると聞いているので、それもまたすごく楽しみです。
 劇団東少さん、そしてこの作品の好きなところは、やはり小さなお子さんからおじいちゃん・おばあちゃんまで、たくさんの方に見てもらえる作品だということです。毎回、上演するのがすごく楽しいんですよ。子どもの泣き声が聞こえたり、楽しそうな会話が聞こえたり。普段とはまた違った緊張感を楽しみつつ、今回も演じさせていただければと思っています」

―――今の渡辺さんのお話にもありましたが、やはりお子さんから年配の方まで幅広いお客さまがいらっしゃることで、劇場の空気感も違うものですか?

渡辺「そうですね。映像と違って舞台は生を楽しむものだと思いますが、大人向けの作品以上に子どもの素直なリアクションが届くので、それをこちらも楽しみにしています。
 面白いところでは笑い声が普段以上に聞こえたり、誰かが死んでしまうシーンでは『嫌だよー』と素直な反応も聞こえる。子どもたちは本当に純粋で、目の前で繰り広げられているものをそのまま受け取ってもらえるので、率直な感想をもらえて、逆に僕たちが元気をもらえているように思います。僕たちも皆さんにたくさんの元気を与えられるように頑張りたいと思います」

込山「私は東少さんの作品は初めてですし、お子さんがたくさんいらっしゃる舞台の経験はないですが、AKB48の劇場公演では『キッズ公演』という小学生までの子どもたち限定の公演をやったこともあります。そのときに、子どもたちの素直な反応はすごく感じたので、今回も楽しみです。
 それから、昨年の『アルプスの少女ハイジ』も観に行かせていただいたので、子どもたちのリアルな反応を客席から感じることもできました。今回も同じように皆さん楽しんでくれるのかなと思うと、今からワクワクします。きっと生まれて初めて舞台を観るという子もたくさんいるんだろうなと思いますし、そうした作品でお姫さまを演じられるなんて、子どもたちの反応がより楽しみになりました」

―――今回は、それぞれの役柄をどのように演じたいですか?

渡辺「『白雪姫』のストーリーは変わりませんが、王子のシーンはこれまでの台本と少し変わって、より王子の心情が伝わりやすくなると聞いています。なので、王子として姫を助けようとする純愛を大切に頑張りたいと思います。嘘なく芝居をしたいです」

―――幅広い年代のお客さんがいる劇団東少さんだからこその役作りを考えたりはしますか?

渡辺「普段、大事なシーンでお客さんにより想像を働かせてもらえるように、あえて顔を客席に向けないということをすることもあるのですが、東少さんではそうした芝居はしないと思います。素直に演じて、初めて観る子どもたちにもしっかりと伝えられたらと。
 ただ、ファミリーミュージカルだからといって子ども向けに作っているというわけではないんですよ。もちろん子どもたちにも分かるやすいように作ってはいますが、大人の方が観ても共感できるすごく真っ白な作品なんです。僕はそこが好きで毎回出演させていただいているので、あまり東少さんだからこう演じる、ファミリーミュージカルだからこう演じるというのはあまり考えていません」

―――なるほど。込山さんは、白雪姫という誰もが知っているお姫さまを演じるにあたって、考えていることはありますか?

込山「小さい子にとってお姫さまというのは本当に憧れの存在なので、憧れてもらえるような、可愛さを出せたらいいなと思います。それから、今回は渡辺さんとのデュエットをはじめ、歌もたくさんあるんですよ。なので、歌は頑張らないといけないなと思っています」

―――込山さんご自身は、小さい頃にお姫さまに憧れはありましたか?

込山「めちゃくちゃ憧れてました! 将来の夢に『お姫さま』って書いていたくらいです! ドレスも好きで、ハロウィーンの仮装は毎回、ドレスとティアラでした(笑)。
 1月に出演させていただいた舞台でお姫さまに憧れる“お姫”という役を演じたので、今回は白雪姫で姫になれると私のファンの皆さんも喜んでくれていて。なので、頑張ります!」

渡辺「本当に白雪姫にぴったりですよね。演出家の方ともぴったりだねと話していました」

―――昨年、共演したときは、お互いにどんな印象を持ちましたか?

込山「お兄ちゃんです! 私と(同作で共演した)まちゃりん(馬嘉伶)の2人で、後を追ってひっついていって(笑)、いろいろと教えてもらいました。なので、今回もご一緒できるのがとても心強いです」

渡辺「こう言ってますが、(込山は)めちゃくちゃしっかりしているので、ダメ兄貴としっかり者の妹という感じでしたよ(笑)」

―――そのときは、お芝居のアドバイスももらったり?

渡辺「いや、僕は自らアドバイスするタイプではないです。もちろん、聞かれたら答えますが、自由にやってもらいたいのでこちらから何かを言う、というのはないですね。そのときはAKB48のお話とか、僕の普段の舞台のお話とかをしていました」

込山「1度、カンパニーの皆さんでAKB48の公演にもきてくださったんですよ!」

渡辺「すごかったです。輝いていました。普段から本物なんですけど“本物だ!”って(笑)。また舞台とは違って、そこがホームなんだなと。もちろん舞台も輝いていましたが、より一層、遠い存在に感じました(笑)」

―――込山さんは、AKB48としての活動と、こうした舞台などでの俳優業、それぞれどんな思いがあるのですか?

込山「そもそもAKB48は『夢へのステップ』というあり方なので、AKB48の活動をしながら個人のお仕事も頑張っていきたいなと思っています。
 その中で、AKB48としてほぼ毎日、劇場でステージに立っているので、やっぱり歌やダンスにはいい意味で慣れているのだと思います。レッスンよりも本番の方が実力を発揮すると今までずっと言われてきたので、ステージに対する自分のあり方をAKB48で培ったなと思います。今回もきっと、稽古場で白雪姫を演じるのはすごく緊張すると思うのですが、本番は生き生きと演じられると思います!」

渡辺「でも、初めて稽古場で演じるときは、やっぱり緊張するよね。本番は稽古をした後だから、意外に稽古場の方が緊張するのかもしれない」

―――今回は、それぞれどんなところを見てもらいたいですか?

渡辺「王子の感情に1本、筋をしっかりと持って、自分の正義を貫いていきたいと思います。魔女が絶対的に悪いということではないと思うんですよ。魔女には魔女の正義があって、それに基づいてやっていることだと思うので、王子は王子の正義を持って姫を守っていきたいです」

込山「ミュージカルなので、歌もたくさんありますが、どの楽曲もいい曲ばかりなんです。白雪姫が1人で歌う曲も王子と一緒に歌う曲も、小人たちが歌う曲もキャッチーで可愛くて。このミュージカル『白雪姫』でしか聞けない楽曲なので、歌のライブ感も楽しんでいただけたらと思います」

―――この作品で初めて舞台を見るというお客さんがいるとしたら、この作品を通してどんなことを伝えられたらいいなと思っていますか?

渡辺「まずは三越劇場での公演がありますが、その後は全国を回るので、やはり初めて舞台を観るという方も結構いらっしゃると思います。僕のことも、こみちゃん(込山)のことも全く知らないけれども観に来てくださる方もいらっしゃると思うので、そうした方に舞台っていいな、この2時間幸せな時間だったなと感じてもらえるのが1番いいなと思います。
 純粋にこの劇団東少さんの『白雪姫』という作品が“よかった”って、”また(地元に)来たら行きたいね”と思ってもらえる作品をお届けすることを目指して、頑張っていきたいなと思います」

込山「以下同文、という気持ちです(笑)。初めて舞台を観るお子さんたちは、映画とはまた違う生のものを感じてもらえるのかなと思います。
 毎回、同じことを、同じ完成度でお届けしたいと思ってお芝居をしていますが、やっぱり、そのときにしか生まれない化学反応もあると思いますし、そのときの会場の空気感や観客の皆さんの純粋な反応も合わさっての舞台だと思うので、目の前にある非日常を楽しんでいただけたらと思います。
 それから、私のファンの皆さんで『子どもたちが来るだろうから、おじさんは行かないほうがいいのかな』と心配されている方もたくさんいらっしゃいますが、大人も絶対に楽しめる内容ですから! 実際に会場には子どもだけでなく、たくさんの大人の方もいらっしゃいますし、大人の方には白雪姫の純粋さが刺さると思うので、ぜひ大きいお友達もお待ちしています」

(取材・文&撮影:嶋田真己)

プロフィール

込山榛香(こみやま・はるか)
1998年、千葉県出身。AKB48のメンバーとして、CMやドラマ・映画・舞台など幅広く活躍中。近作に、ILLUMINUS 舞台『純血の王女』2022主演、『星よ女王に堕つ』主演など。2024年2月公開の映画『鈍色ショコラヴィレ ビエンナーレ』出演中。

渡辺和貴(わたなべ・かずき)
1985年、三重県出身。主な作品に、ミュージカル『忍たま乱太郎』第12弾 潮江文次郎役、舞台『NO TRAVEL,NO LIFE』主役・須田誠役、ノサカラボ 朗読劇『モルグ街の殺人~最初の探偵デュパンの物語~』主役 C・オーギュスト・デュパン役、『ROAD59 -新時代任侠特区』アンソニー・チェロ役など。劇団東少では『孫悟空』孫悟空役、『シンデレラ』『眠れる森の美女』『白雪姫』『人魚姫』に王子役で出演。

公演情報

劇団東少創立75周年記念公演
ミュージカル『白雪姫』「グリム童話」より

日:2024年7月20日(土)~23日(火)
場:三越劇場
料:プレミアム席[前方席・特典付]5,500円
  4,300円 ※大人・子ども同一料金
  (全席指定・税込)
HP:https://www.tohshou.jp
問:劇団東少
  tel.03-6265-7070(10:00~17:30/土日祝休)

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