ミュージカル座の代表的作品が待望の再演! “死”を通して生きることの大切さを歌い上げる感動ミュージカル

ミュージカル座の代表的作品が待望の再演! “死”を通して生きることの大切さを歌い上げる感動ミュージカル

 1995年の創立以来、国産の新作ミュージカルを数多く手がけてきたミュージカル座の代表的作品『ゴーストミュージカル』。プールで溺れて死んでしまった14歳の少年・メルは、天使に導かれて天国への旅に出る。そこで出会ったのはゴーストとなった様々な人々。死んで分かった人生の真実とは!?
 主演のメル役をダブルキャストで演じる北川理恵・石丸椎菜の2人に本作への意気込みを聞いた。

―――本作への出演が決まった現在のお気持ちを聞かせてください。

北川「今回、出演のお話を頂いた時にそもそも14歳の男の子を演じることができるのか? なんで私に!?という驚きがありました。ミュージカル座さんに出させていただくのは4回目になりますが、それぞれ亡くなった人の役や、命に正面から向き合う役が多かったので、今回、死後の世界を旅する役をオファーして頂いたことは何か不思議なご縁を感じます。
 その時にはWキャストが誰になるかうかがっていなかったので、発表されたときは(石丸)椎菜なの!?ってとても驚きました。約20年前にミュージカル『アニー』で共演していて、それ以来なので。それも含めて私の中では縁に恵まれた特別な作品になる気がします」

石丸「今年1月にミュージカル座さんの『サイト』で主演を務めさせていただいた時に、今回のお話を頂きました。『サイト』では、引きこもりで死にたいけども死ねないという女の子の役どころだったので、死や人生と向き合うという意味では共通している部分もあるなと感じ、またそういうテーマの作品に関われる貴重な機会だと思っています」

―――本作では“死”を通して“生きることとは?”を投げかけます

北川「台本を読み終わったあとに、最初は生きていることへの賛歌なのかなと思いました。でも死後の世界で出会ったゴーストたちが語る、生きている時の後悔などのネガティブな感情にスポットが当てられていて、そういうマイナス面を含めて、生きることが凄く不思議で奇跡的なことなんだというメッセージを感じました。辛い事や罪の意識も含めて、人間は不思議だよね? なんで人間というものが生まれてきたんだろうね?と問いかけてくるミュージカルだと思います。
 ハマナカトオル先生が描かれた『ひめゆり』や『ハートスートラ』にも通じる命の尊さや死生観のようなものが反映された作品です。でも決して難しい話ではなくて、老若男女の視点からそうだよね⁉って思ってもらえるところが随所にちりばめられていて、幅広い世代の方に共感してもらえると思います」

石丸「北川さんがすごい分かりやすく説明してくれたので、私、なんて答えればいいんだろう……(笑)
 私は結構、自分が死ぬ夢を見るんですね。その時に過去に出会った人や思い出が走馬灯のように蘇ってくる感じで。確かに死は怖いですが、いつ死んでも悔いのないように生きようと思うようにしています。だから今回の作品が皆さんに死を意識した上でどう生きるかを考えるきっかけになればと思っています。
 そう言うと重苦しく感じてしまいますが、明るく楽しい音楽とユーモアたっぷりに描かれているので、お子さんもきっと楽しめる内容になっています!」

―――メルは霊界での出会いを通して、どう成長していくと感じましたか?

北川「メルは霊界で様々なゴーストたちと出会い、生前の話を聞かされる中で、少しずつ、人の考え方に寄り添う心を持ち始めるんですね。どんな生き方をしてもいいけれど、自分の人生に責任を持つということを学んで、人生を面白がっていく人になっていくのではないかと。きっとそれはいい意味で考えすぎずに素直に行動できるメルならではの感性があるからだと思いました。
 そして再び生の世界に戻った時に、人間はいつかは死ぬと実感できたからこそ、今まで以上に色んなことにチャレンジできる人になるような気がします」

石丸「14歳のメルは普通に生きていたら、そんなに多くの大人に出会う機会はないと思うんですね。だから霊界で両親以外の大人と初めて向き合うことで、色んな気づきがあったはずです。その時は大人の言っていることが分からなかったとして、大人になっていく過程であの時の言葉が響く時がきっとあるんじゃないかと感じました。
 またミュージカル座さんの素敵なところは、登場人物それぞれにドラマが用意されていて、出会ったゴーストたちの過去は、きっと『これは私だ』と共感してもらえるポイントがつくられていることです」

―――本作を観終わって、どんな感情を持ち帰ってもらいたいですか?

北川「劇中で罪の意識や後悔の念を背負ったまま、死を迎えたゴーストたちを“お疲れ様!”と労うシーンがあるのですが、それってすごい救いだなと感じました。人生って楽しいことも辛い事も帳尻が合うように出来ているんじゃないかと思っていて、辛いこともずっとは続かないし、どん底にいると思っていてもそこから脱したあとは、なんであんなことで悩んでいたんだろうと思うことってよくあるじゃないですか。
 シェイクスピアが人生は悲喜劇だと言うように、長い目で見たら面白い人生、だからもっと気楽に色んなことをしていこう!と本作を観た方に思ってもらえたら嬉しいです」

石丸「辛いことがあった時、もう死んでしまいたいと思ってしまう事があると思うんです。でも人生には楽しいことがいっぱいあって、家族や友人がいる当たり前の日常の尊さを改めて教えてもらえる作品だと思います。
 また、ゴーストたちが吐露する人生での後悔は、きっと観た方に『自分はどうだろう?』とはっとさせられるシーンだと思うので、少しでも前向きに生きていこうという気持ちになってもらえたらいいですね」

―――最後に読者にメッセージをお願いします。

北川「人間はなんで生まれてくるのか、生きるってどういうことなのか、問いかけてくる舞台だと思います。メルとして、出逢う人たちにたくさんのプレゼントをもらうので、それをしっかり抱きしめられるような真っ白なキャンバスでいたいなと思います。皆さんのご来場を心からお待ちしています!」

石丸「死は生きていく上で一番身近にあるものだからこそ、しっかり向き合ってお客様にお届けしたいです。私が大好きな演出家の会川彩子さんの新演出でどんな『ゴーストミュージカル』になるのか是非ご注目ください!」

(取材・文&撮影:小笠原大介)

プロフィール

北川理恵(きたがわ・りえ)
『アニー』ジュライ役でデビュー後、舞台を中心に活躍。アニメ『プリキュア』シリーズでは2015年より主題歌などを歌唱しており、2020年にベストアルバム「MY toybox~Rie Kitagawa プリキュアソングコレクション~」をリリース。また、角松敏生氏のレコーディング等にボーカルで参加。主な出演舞台に、ミュージカル『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』、『ラ・マンチャの男』、『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト』、『オリバー!』、『屋根の上のヴァイオリン弾き』、『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』、こまつ座 第123公演『マンザナ、わが町』など。

石丸椎菜(いしまる・しいな)
千葉県出身。東宝芸能所属。幼少期よりミュージカルを中心に、CMなどで活躍。主な出演作品に、ミュージカル『レ・ミゼラブル』、『デスノート THE MUSICAL』、ミュージカル座『サイト』主演、ACTMENT PARK THEATER Vol.5『Moon of Ruined Castle~クランベリー・ムーン』、ミュージカル『プーラ・ルークス〜ほんとうの光〜』主演、『花より男子 The Musical』、ミュージカル座『ひめゆり』・『クリスマスに歌えば』、『ジャンヌ,またの名を奇跡』、『アニー』、『ライオンキング』など。ミュージカル俳優が働く「Cafe&Diner Offza」スタッフ。イベント構成・振付なども担当している。

公演情報

ミュージカル座6月公演『ゴーストミュージカル』

日:2024年6月26日(水)~30日(日)
場:あうるすぽっと
料:OEN席[特典付]9,500円 S席7,500円
  A席6,000円(全席指定・税込)
HP:https://musical-za.co.jp
問:ミュージカル座 tel.048-825-7460

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