若い才能が集結した劇団ラパン雑貨ゝ 前作からストーリーを引き継いだ新作 闇堕ちした主人公2人はいったいどこに向かうのか? その先に希望はあるのか?

若い才能が集結した劇団ラパン雑貨ゝ 前作からストーリーを引き継いだ新作 闇堕ちした主人公2人はいったいどこに向かうのか? その先に希望はあるのか?

 劇作家・演出家の山下哲平が主宰する劇団ラパン雑貨ゝ。コメディを基調にした作品で観客の支持を高めてきたが、前作『Reduce:Reuse:Restart ~瓦礫のヒーロー再び~』では近未来の東京を舞台に、アクション要素も盛り込んだ作品で新機軸を提示して見せた。
 それから1年経って送り出すのは、前作の最後から始まる続編だという。13人の俳優たちによる絶望と希望が交錯する物語になるのか? 作・演出の山下哲平と、看板俳優である真野未華・吉田菜都実の2人に話を聞いた。

―――何作目になりますか?

山下「今回が丁度10回目の公演です。新作なのですが、昨年上演した作品の続編になっています」

―――第9回公演の『Reduce:Reuse:Restart ~瓦礫のヒーロー再び~』のことですね。

山下「タイトルは同じでサブタイトルが異なっています。前作ではここに居る2人が闇堕ちしているところで終わりました。1人は希望溢れる少年で、もう1人はヒーローを助ける人間だったのですが、ある事件がきっかけでこの世界に嫌気がさしているという。ですから2人とも悪者側にいるところから始まります。

―――ウェブサイトには「コメディをメインに」とありますが、前作、そして今作は街を舞台にした、シティ・サスペンス、といったところですかね。

山下「あ、それ格好いいですね(笑)。そんな感じです」

―――山下さんはどんな経緯で作・演出を始められたんですか?

山下「もともとは僕自身も役者でした。声優志望でもあって通っていた専門学校ですが、当時の先生が声優を目指すなら舞台もやるべきだと言うので、始めてみたら楽しくなったんです。そして当時の仲間と初期のラパン雑貨ゝを立ち上げました。
 その後、一時休止があって再始動したのが今のラパン雑貨ゝになります」

―――真野さんと吉田さんは初期のラパン雑貨ゝには?

真野「参加していません。再始動したタイミングで入ったんです。もともと山下さんがプロデュースしている舞台に呼んでもらったのがきっかけですが、脚本は読んでいましたし、人柄とか作品が良くて、一緒に面白いことをしたいと思ったんです」

吉田「私はその1年後くらいに参加しました。山下さんとはやはり共演をきっかけに知り合って、お誘いは受けていたのですが、ちょっと遅れての参加になりました」

―――プロフィールを拝見していると、これまでに参加した作品や劇団が全く違うのが面白いですね。真野さんは、ガールズ演劇系ですか?

真野「アリスインプロジェクトさんにも参加していますからね。最近だと6番シードさんの作品に出演しています。
 高校が芸能学校で、文学座所属の方や現役で役者をやられている方々、演劇に関わる多方面の方々が講師に来られて演劇について学びました。卒業後はオーディションを受け続けてきました。
 もともと中学2年生の頃に園子温監督の『ヒミズ』で、二階堂ふみさんと染谷将太さんのお芝居を観て、人の心を動かす仕事がしたいなと思いまして。最初に受けたオーディションが舞台だったので、そこから舞台中心になっているんです」

―――吉田さんは音大の声楽科だそうですね。

吉田「東京音楽大学で声楽を学びましたが、もともとミュージカルが好きでそれを志望していたんです。中学・高校とミュージカル部がある学校で、そこで活動をしていました。
 バレエとかはもう子供の頃からやらないと追いつかないので、歌を基礎からやろうと思って音楽大学に進んだんです。きっかけになったのは劇団四季の『ウィキッド』ですね。中学生の頃でした。今でもミュージカルの機会があれば挑んでいます」

―――山下さんはどうですか?

山下「一切やってないです(笑)。実は大学にも行ってたんです。それも有機化学で。卒業してから専門学校へ。もともとものづくりが好きなこともあったのですが、ちょうど就職氷河期でもあったので、それならと思って。
 ともかく舞台は全部ゼロから作っているのを観て感動して、そっちに興味を持ちました。小道具・大道具、諸々手を出してます。それに小学生の頃から声優さんは好きでしたし」

―――まだ執筆中なので、役者のおふたりには詳しく知らされていないとは思いますが、続編ということでどんな作品を期待しますか。

吉田「どうやら新しいキャラクターが増えるらしいんです。お父さんが突然出てくるという話も聞いたし」

真野「救いがあるのかどうかが気になりますね。さらに3作目があるのかどうか。あとゲストも豪華なようだからそれも楽しみですね。でもまだ決まらない?(笑)」

山下「さすがにこのインタビューが載る頃には決まっていますから大丈夫。スクエアエニックスのゲームクリエーターの時田貴司さんとかね」

真野「山下さんの台本は徐々に来ますからねえ。『週間山下』みたいなペースで(笑)」

吉田「デアゴスティーニみたい(笑)」

山下「きっと創刊号(初回)は少し多いんだよね。まあ改善していきます。
 台本を書くときに時にやりたいシーンはまず決めておきますし、結末も大体決まっています。そこから書いてくこともあるので。今回で言えばこの2人の希望は残ります。続編はまだわかりません。続編を臭わすとその舞台は未完で終わってしまうので、今回は1回完結します。でもキャラクターはまだ居るので、そっちにスポットを当てたアナザーストーリ-ができる可能性はありますね」

―――これから煮詰まっていく前ですが、皆さんの意気込みを聞かせてください。

真野「10回公演ということで、もう私達を知っている方も、そうではない方も楽しめる作品にしたいと思います。山下作品の中でも新しい部分が出ればいいと思うし、新生“ラパン”となってからまだ間もないので、毎回新鮮な気持ちで届けられればと思います」

吉田「ラパン雑貨ゝで続編という形は初めてです。前作をご覧頂いた方には引き続いて楽しんで貰いたいし、まだ私達の舞台に触れていない方にも楽しんでもらえる舞台にしたいと思います」

山下「実は真野さんから再演禁止令が出てまして(笑)。毎回新作を書くことにしているんですが、続編というのは更に新しい挑戦です。新しい表現を盛り込んだり、まだ試していない演出もありますから、そこも楽しんでほしいですね。
 まだ観ていないお客さんを最初にどこまで入り込めるようにできるか。冒頭5分でどこまでできるかが勝負かと考えています」

(取材・文&撮影:渡部晋也)

プロフィール

山下哲平(やました・てっぺい)
大学で有機化学を専攻し、卒業の後に声優を目指して入った日本工学院で俳優として始動。2021年以降、俳優として劇団ブルーベリーパイファミリー、劇団6番シード、バンタムクラスステージ、劇団皇帝ケチャップ、天幕旅団などの作品に出演。並行して脚本も手がけるようになる。また物作りが好きで大道具から小道具製作まで幅広く手がける。2014年に劇団ラパン雑貨ゝを結成。第6回公演を終えたところで一時活動を休止し、2020年に再結成。現在に至る。

真野未華(まの・みか)
東京都出身。高校卒業後にアリスインプロジェクト、しまぁ~ん共和国、劇団ドリームプリンセス、劇団わ組、UDA☆MAP、放課後ビアタイム、劇団6番シード、バンタムクラスステージ等の作品に出演。

吉田菜都実(よしだ・なつみ)
東京都出身。子供の頃に観た劇団四季『ウィキッド』に魅せられ、ミュージカルの道へ。東京音楽大学声楽科を卒業後、劇団ズッキュン娘、演技家ミュージカル、樫物語、ソラリネ、朝倉薫演劇団、マルガリータ企画、劇団わ、放課後ビアタイム、劇団皇帝ケチャップ、おぶちゃ等の作品に出演。ミュージカルからコメディ、ストレートプレイまで幅広くこなす。

公演情報

劇団ラパン雑貨ゝ 第10回本公演
『Reduce:Reuse:Restart 2ndstory
 ~静止した時を再び~

日:2024年4月17日(水)~21日(日)
場:上野ストアハウス
料:前列S席[特典付]5,500円
  A席4,500円(全席指定・税込)
HP:https://twitter.com/lapinzakkaten
問:劇団ラパン雑貨ゝ
  mail:lapinzakkaten@gmail.com

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