豪華キャストと和楽器で浮世の時代を壮大に描く　伝説の絵師・俵屋宗達の半生を全幕ダンス化！

　大和シティー・バレエが、この冬『宗達』を世界初演。国宝『風神雷神』で知られる伝説の絵師・俵屋宗達を題材に用いたダンス作品で、振付を大和シティー・ダンス（YCD）のディレクター・竹内春美が手がけている。

竹内「原作は柳広司さんの小説『風神雷神』で、魅力溢れる人物描写に心動かされるものがありました。全幕化にあたり、まず扇田拓也さんと脚本を作成するところから始めています。私自身この1月にYCDのディレクターに就任したばかりで、全幕の新制作は初めて。とても大きな挑戦ですが、“創作してみたい！”と後先考えず突き動かされた感じです」

　主演の宗達を踊るのはダンサーの中川賢。振付家たっての念願のキャスティングだという。

竹内「中川さんとは20代前半の頃からのお付き合い。宗達役は中川さんしかいない！と思ってアプローチさせてもらいました」

中川「僕自身もともと絵が好きで、宗達など琳派の作品もよく観ていたんです。だからこの作品、そして宗達という役にとても惹かれるものがありました」

竹内「中川さんは稽古をしていても宗達そのもの。身体でいろいろ提示してくれるから、どんどん枠が広がる感じがして、振付しながら興奮してます（笑）」

中川「竹内さんと一緒に踊ったことはあるけれど、振付家としてご一緒するのは初めて。ダンサーから自然と出てきたものや日々の変化を柔軟に受け入れてくれるので、凄く楽しいですね」

　キャストは実に幅広く、ヒロイン役の元新国立劇場バレエ団プリンシパル・本島美和や宗達の指南役を演じる能楽師・辰巳満次郎など一流人がズラリ集結。和楽器とのコラボレーションも見所で、和太鼓に箏、琵琶、尺八の生演奏で壮大な世界を描く。

竹内「楽曲は既存の曲のほか和太鼓奏者の方がオリジナル曲を書いて下さっています。イメージするものを確実に体現してくれる方たちばかりで、この作品にとってベストメンバーです」

中川「生演奏で踊るのが今から楽しみです。コンテンポラリーダンスを和の世界で描くというのは珍しく、そこも面白いところだと思う。太鼓の音で琳派の画家の人生を観る、いつもと違うクリスマス・イブを過ごしてもらえたらいいですよね」

竹内「宗達の絵はユーモアがあって、不吉なものを吹き飛ばしてしまう天性の明るさがある。彼の向日性に凄く憧れていて、私も人が喜ぶものを作りたい。その自分自身の想いを『宗達』に重ねていこうと思っています」

（取材・文：小野寺悦子　撮影：友澤綾乃）

竹内春美さん
「物を増やさないこと。日本とドイツの間を、3回ほど引っ越ししたからでしょうか。その都度必死で断捨離もして、普段からスッキリ暮すべし、となりました。移住の予定は今のところもうないのに、物が増えてくると、癖で心配になったりして（笑）。結果、スッキリした部屋を好んでいます」

中川 賢さん
「自宅のこだわりは、とにかく駅近！です。住めば都派なので、部屋の様子も街も、後からいくらでも慣れるのですが、駅からの距離だけは、近ければ近いほど良いです。なんなら、駅の上に住みたいくらい」

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