父はなぜ、息子のクローンを作ったのか――。二人芝居で描く、人間の尊厳と価値観に鋭く切り込む話題作

父はなぜ、息子のクローンを作ったのか――。二人芝居で描く、人間の尊厳と価値観に鋭く切り込む話題作

クローン技術が進んだ近未来。あるとき息子は父から自分はクローンだと告げられる。なぜ父は息子のクローンを作ったのか、自分がクローンだと知った息子はこの先どう生きるのか――。

 現代英国を代表する劇作家キャリル・チャーチルの戯曲『A・NUMBER』をこの秋、益岡徹×戸次重幸の二人芝居で上演。父と息子の確執を通し、人間の尊厳に鋭く切り込む話題作だ。

 「益岡さんとご一緒できるということにまずは至上の喜びを感じています」と言うのは、息子役を演じる戸次重幸。憧れの役者との二人芝居と聞き、2つ返事でオファーを受けたという。

 「以前益岡さんが出演した『巌流島』を観て、まさに神演技だと圧倒されて。その“神”と二人芝居で濃密なやり取りができる。凄くワクワクしています」

 本作で益岡はクローンを作った父を、戸次は姿が同じ3人の息子を演じわける。

「クローンなので見た目は全く同じだけれど、性格は3人ともそれぞれ全く違う。クローンだからといって何か似たところを表現しようとすると逆にマイナスになると思うので、全く違う3人の人間を演じていくつもりです。それがまたこの作品の本質とも合致するような気がしています」

 2人で70分の芝居を演じ抜く。台詞量はとてつもなく膨大だが、「台詞覚えはかなりいい方だと思います(笑)」と自信をのぞかせる。

 「台詞量もそうですが、お客様にとってはちょっと頭を使う作品なので、言葉の意味をきちんと伝えていく必要がある。演じる僕ら自身が一つひとつ台詞の意味をしっかり掴んだ上でやり取りをしないと観ていただく方にも届かない。まず台詞の理解を深めていく作業が必要で、稽古が進んでからが本当の勝負だと考えています」

 10月の東京公演を皮切りに、全国5カ所で上演を予定。開幕を前に、現在の心境を聞いた。

 「今回はいろいろな意味で挑戦作だと感じています。芝居というのは演者が減れば減るほど大変で、二人芝居となると責任も大きい。もちろん緊張はするし、益岡さんと初共演ということでよりその想いは強くあります。作品に隠された真実を胸に秘めつつ、どこまで行きつけるか。最初から最後までずっと神経をすり減らすような芝居をすることになる。だからこそ千秋楽まで毎回新鮮な気持ちで演じられると思うし、お客様にも新鮮な感覚で3人のキャラクターを観ていただけたらと思っています」

(取材・文:小野寺悦子 撮影:福岡諒祠(株式会社GEKKO))

プロフィール

戸次重幸(とつぎ・しげゆき)
1973年生まれ、北海道札幌市出身。演劇ユニット「TEAM NACS」メンバー。舞台・映画・ドラマ・バラエティ番組など幅広く活動。近年の主な出演作に、ドラマ『監察医 朝顔』、『ファイトソング』、『仮面ライダーリバイス』、連続テレビ小説『ちむどんどん』、舞台『奇人たちの晩餐会』など。NHK総合『SONGS』にナレーションでレギュラー出演中。

公演情報

A・NUMBER

日:2022年10月7日(金)~16日(日)※他、名古屋・仙台・札幌・兵庫公演あり
場:紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
料:7,500円 U25[25歳以下]チケット3,500円 ※要身分証明書提示(全席指定・税込)
HP:https://anumber2022.srptokyo.com/
問:サンライズプロモーション東京 tel.0570-00-3337(平日12:00~15:00)

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