Noismが、『鬼』をこの冬再演。初演は2022年夏で、佐渡の太鼓芸能集団 鼓童との初共演を果たした話題作だ。
すみれ「佐渡の遊女たちがいつしか鬼に変わり、妖艶な踊りから力強くなっていく。初演時は入団1年目でNoismらしい力強い動きができず、かなり苦戦しました。だから2度目のチャンスがいただけたのは凄く嬉しいですね」
樋浦「男性は修験道の山伏や、黄金を追い求める鉱山労働者がモチーフになっています。女性は、遊郭で働く者たちが清音尼に導かれていきます。そして、次第に人間の持っている狂気的な欲求や欲望が鬼として現れていきます。力強く躍動する場面や、艶やかな雰囲気の中で相手と駆け引きしながら踊る場面など、様々な音色のなかでその質感を体現できるよう意識したいです」
生演奏する鼓童の太鼓との共演は本作の醍醐味であり、同時に高いハードルでもあるという。
糸川「初演の際に穣さんから“生の音に敏感になれ”と事ある毎に言われました。音の出るタイミング、強さ、速さが毎回違っていて、それに合わせて身体の使い方や踊り方も変わってくるので、本当に生演奏ならではだと感じます」
さくら「生演奏なので瞬間瞬間で少しずつ音が違って、私たちもそれにより踊りの表現が違ってくる。楽しくもあり、難しくもあり、学ぶことが沢山あります」
樋浦「初演時は、録音の音源での稽古の後いざ劇場に入り、鼓童の皆さんと合わせると、音が右からも左からも飛んできて、最初は戸惑いもありました。今改めて立体的な音の中で踊っているという感覚を大切に稽古に臨んでいます」
本作はNoism20周年の幕開けを飾る作品で、メンバーは新たなカンパニーの歴史を担う。その想いを聞いた。
糸川「毎日朝から晩まで稽古ができ、定期的に公演を行なえる、この環境が当たり前ではないのだと最近改めて思います。そのことに感謝の気持ちを忘れず、自分に足りないもの全てを吸収して舞踊家としても人間としても成長したいです。観に来ていただいたお客様全員の心に残るような舞台をお届けしたいと思っています」
すみれ「20周年という節目に在籍できているのは嬉しいです。まだまだ自分の未熟さを感じますが、日々の練習で吸収しているものを公演で生かせたらと思っています。沢山の方々に公演を観てもらい、Noismをもっと知ってもらいたいです」
さくら「これまでのNoismの歴史、今までのメンバーが築き上げてきたものを受け継いでいく。そこで私たちができるのは、いい公演をしていくことだと思います。『鬼』の公演では、鼓童の皆さんとのコラボで従来とは違う、Noismをあまり知らないお客様も観に来て下さるかもしれない。そういう機会があるのはとても嬉しいですし、沢山の方にNoismの公演にお越しいただきたいです」
(取材・文:小野寺悦子)
庄島さくらさん
「私の部屋のこだわりは「香り」です。お家ではリラックスして過ごしたいので癒される香りのディフューザーを玄関とリビングに置いています。アロマオイルは昔から収集していて、お休みの日はお家で過ごす時間が多いので、その日の気分に合わせて好きな香りのアロマを焚くこともあります」
庄島すみれさん
「私の部屋のこだわりは写真や絵、ポストカードを額に入れて飾っていることです。ヨーロッパにいた時にスイスやスロバキア、オーストリアなどで買い集めたものです。見ていると、その国の事での出来事などの思い出が蘇ってきて、懐かしい気持ちになります」
樋浦 瞳さん
「わが家のこだわりポイントは、学生の時トルコに行った際に一目惚れした絨毯です。小ぶりなサイズの絨毯で、うちでは床に敷かずに、窓際にかけてあります。植物の模様が入っていて、その部分だけ日光が通ってきれいに光って見えます。旅先の美しい風景を思い出すこともできるので、とても気に入っています」
糸川祐希さん
「夏休み中に引っ越しをして新しい部屋になったので、今まで置いてなかった観葉植物を置いてみました。部屋の中に緑があると新鮮な気持ちになります」
プロフィール
庄島さくら(しょうじま・さくら)
1990年生まれ、福岡県出身。6歳より須貝りさ クラシックバレエスタジオにてバレエを学ぶ。2008年よりBallettschule für das Opernhaus Zürichへ留学。2011年よりSlovak national balletに在籍。2014年デミソリスト、2020年ソリストとして活動。2021年9月よりNoism1に所属。
庄島すみれ(しょうじま・すみれ)
1990年生まれ、福岡県出身。6 歳より須貝りさ クラシックバレエスタジオにてバレエを学ぶ。2008年よりBallettschule für das Opernhaus Zürichへ留学。2011年よりSlovak national balletに在籍。2014年デミソリスト、2020年ソリストとして活動。2021年9月よりNoism1に所属。
樋浦 瞳(ひうら・あきら)
1995年生まれ、新潟県出身。筑波大学体育専門学群にて平山素子に、卒業後、天使館にて笠井叡に師事。これまでに池田扶美代、梅田宏明、黒田育世、山田うん、島地保武、柿崎麻莉子らの振付作品に出演。2020年9月よりNoism1準メンバー、2021年9月よりNoism1に所属。
糸川祐希(いとかわ・ゆうき)
2002年生まれ、神奈川県出身。2015年より東京バレエ学校にて学ぶ。第14回ジャパングランプリ コンテンポラリーBの部 第4位。2018年、アメリカIdyllwild Artsに留学。帰国後、服部彩子に師事。2021年9月よりNoism2、2022年9月よりNoism1に所属。
(撮影:松崎典樹)
公演情報
Noism×鼓童 鬼
日:2024年1月13日(土)・14日(日)
※他、地方公演あり
場:KAAT 神奈川芸術劇場〈ホール〉
料:6,000円
25歳以下3,000円 ※要身分証明書提示
(全席指定・税込)
HP:https://noism.jp/noismxkodo2023/
問:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
tel.025-224-5521
(平日11:00~19:00/休館日除く)