オリジナル主題歌あり、本格的な殺陣もあり! 再始動した劇団ラパン雑貨ゝが挑む、エンタメ演劇

オリジナル主題歌あり、本格的な殺陣もあり! 再始動した劇団ラパン雑貨ゝが挑む、エンタメ演劇

 脚本・演出の山下哲平を中心とし、2014年に結成された劇団ラパン雑貨ゝ。休止を経て、2020年に活動を再開し、2022年の『黄金コメディフェスティバル』では優秀演出賞などを受賞している。第9回公演のタイトルは『Reduce:Reuse:Restart ~瓦礫のヒーロー再び~』。どんな舞台になるのか、主宰の山下ほか、劇団員の柏木佑太、真野未華、そして今回主題歌にて関わる石原慎一に話を聞いた。

―――今回はどのような舞台になりそうですか?

山下「劇団ラパン雑貨ゝは今までコメディーをやってきましたが、これまでと少しテイストが異なり、エンタメ寄りのお芝居になるかなと思います。特に今回は、縁が繋がって、ATTの根本太樹さんという殺陣師をお招きし、素敵な殺陣をつけていただけることに。客席と舞台が近い小劇場空間で、迫力のある舞台を作れたらなと思っています」

―――まだプロット段階ではありますが、みなさんはどんなところが楽しみですか?

柏木「僕は前回の本公演でメインキャストをやらせていただいたので、今回はのんびりしようかなと思っていたのですが、どうやら主演に近い立場だと聞いて……殺陣に関しては経験もあるので、ぺろぺろっと頑張ります(笑)。どちらかというと、僕はセリフ覚えが悪いので、そちらを頑張らないといけないかな。今の気持ちとしては楽しみ半分、怖さ半分ですね」

真野「まだ台本はできていないんですけど、劇団ラパン雑貨ゝは、トリックというか、言葉遊びというか、仕掛けの多い脚本が特徴なんですよ。1回だけでももちろん楽しめるとは思うのですが、全部を理解するのは難しいかもしれないので、2回3回と観ていただいて考察をしてもらえると、より楽しんでいただけるのかなと思います」

柏木「そうそう。2回目からは視点を変えて観ることができるので『今回はこの人を追って観よう』とか『このために動いていたんだな』とか発見があって、さらに面白くなるんですよね」

真野「役名にも意味を持たせるんですよ。過去の本公演では、全員のキャストの名前がちょっと独特な名前だったのですが、繋げてみると作品のキーワードになる短歌の一部が名前に入っていたという仕掛けがあって。今度はどういう仕掛けがあるのか、出演者としても楽しみです」

山下「僕はキャストが決まってから『この人だったらこういうやり取りをするかな』と想像しながら脚本を書くタイプ。なので、再演はほぼできないんです。そのメンバーだからこそ書ける脚本なので、その点も楽しみにしていただければと思います」

―――今回は石原さんが主題歌を担当されるそうですね。オファーを受けたときはどんなお気持ちでしたか?

石原「僕は仕事を始めて、今年で40周年なんです。今まで自慢できることはスケジュール以外でお断りした仕事がないということ。年齢を考えるとそろそろ仕事を選んでもいいんじゃないのと思うんですけどね(笑)。僕の師匠である千葉繁さんに『できることはすべてやりなさい』と若い頃から教わってきたから。前に1度プロデュース公演でご一緒して、今回は主題歌を作ってくださいということだったから、『はい』とすぐにお返事しました」

山下「いや、本当にお願いするのはドキドキしましたよ! 『ご飯行きませんか? ご相談したいことがあるんですけど』とお誘いして、少しお話しした後に石原さんから『今日はどうしたの?』と本題を振られたので『実はですね〜』と(笑)」

石原「僕としては『これからどうやって生きていこう』みたいな人生相談されるのかと思っていたら、曲を作ってほしいということだったんだよね(笑)」

―――なぜ石原さんに主題歌をオファーされたのですか?

山下「今回は“瓦礫のヒーロー”というテーマがあるので、ヒーローが出てくるならば主題歌が欲しいなと思ったんです。戦うヒーローの主題歌と言ったら石原さんでしょう! 『仮面ライダーアギト』も『救急戦隊ゴーゴーファイブ』も手掛けられた石原さんのお力をぜひ……と思っています。ちなみに歌詞は柏木が書きます」

柏木「僕単独というよりは山下と一緒に書きました。それも『今日時間ある?』と誘われたので、僕も人生相談かなと思って行ってみたら『歌詞どうしよう……』みたいに切り出されて(笑)」

山下「用件を文面で送って断られたら寂しいじゃない。断られるなら会って断られたいタイプなんです(笑)」

―――ところで今回の作品、もともとは『RRR』というタイトルだったそうですね。

山下「はい。資源を再生させる“「Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)”を文字って、最後を“Restart(リスタート)”として、『RRR』としていたんです。ヒーローといえばレッドだから“Red”の“R”を使いたかったし、瓦礫は英語で“Rubble”といって“R”が出てくるし……と思ったんですけどね。たまたま同名タイトルのインド映画がヒットしてしまいまして……舞台『RRR』としても、あの映画を舞台化したと思われてしまいそうで、今の『Reduce:Reuse:Restart』ということにしました。

石原「確かに『RRR』人気にあやかっていると思われてしまうのも、なんか悔しいものね(笑)」

―――劇団ラパン雑貨ゝの魅力を教えてください。

石原「前回ご一緒したのはプロデュース公演でしたが、作品は面白かったし、その頃から山下さんの才能を確信していました。劇団としては今回が初めてのお付き合いなので、本当に楽しみですね。僕は普段、歌を教える仕事もしているのですが、若い人たちには本当にポテンシャルがある。このコロナ禍で会えないままお別れしなくてはいけないこともありましたが、やはり一期一会なんですよね。とにかく出会ったからには、いろいろと関わっていきたいし、きっと頭の中にたくさんあるであろうアイデアを形にするお手伝いがしたいと思っています」

真野「劇団ラパン雑貨ゝの魅力は、個性豊かな劇団員ですね。劇団メンバーに、照明や音響、制作の方がいて、そこは強みだと思います。それに役者陣が4人いるんですけど、柏木さんはもうバリバリ殺陣をやられてた方だし、羽根川洸太は自分で小道具を作れるし、吉田菜都実ちゃんは声楽科出身で歌も上手だし、振付もしている。そして私は……この魅力的な見た目(笑)! また、主宰の哲平さんは引き出しがたくさんある。そんな魅力たっぷりの劇団員たちこそが劇団の魅力です!」

柏木「劇団ラパン雑貨ゝは、休止を経て、メンバー総入れ替えで再スタートをした劇団です。僕はその中でも最後に入ったんですけど、再スタートということもあって、勢いがあるなと思うんです。会議をしていても、どんどんアイディアが出てきて、なかなかまとまらないぐらい(笑)。でもそれは決してネガティブな話ではなくて、まだまだやりたいことがいっぱいあって、伸びしろがあるということだと思うんですよね。まるでおもちゃ箱のような劇団です。
 しかもキャストだけではなくて、スタッフ陣もすごく情熱を持っていて! 公演を重ねるごとに公演グッズが増えていくんです(笑)。もう劇団名の通り“ラパン雑貨ゝ”ですし、もうちょっとしたら舞台上で本当に雑貨店を開ける気がしています(笑)」

山下「今みなさんが言ってくれましたが、劇団ラパン雑貨ゝの劇団員って、個性が被っていないんですよね。各々が各々の強みを持っている。だからときどき主宰としても知らないイベントが行われたり、把握していない公演グッズが生まれたりしているんですが(笑)、その自由奔放さというか、勢いというかは劇団ラパン雑貨ゝの魅力ではないかなと。
 休止を経て、再スタートして、『黄金のコメディフェスティバル』で賞をいただいたこともあって、いろいろなご縁がつながっているなという実感があります。今回もご縁がつながっての作品。ぜひ劇場で多くの方に観ていただきたいです。お待ちしています!」

(取材・文:五月女菜穂 撮影:山本一人(平賀スクエア))

プロフィール

真野未華(まの・みか)
2月14日生まれ、東京都出身。黄金のコメディフェスティバル2022にて優秀俳優賞を受賞。近年の主な出演に、劇団6番シード『火消しの辰と瓦版屋の娘』など。

柏木佑太(かしわぎ・ゆうた)
2月6日生まれ、神奈川県出身。近年の主な出演に、ENG第17回公演『missing~混血のハッシュタグ~』など。

山下哲平(やました・てっぺい)
10月6日生まれ。劇団ラパン雑貨ゝ代表。黄金のコメディフェスティバル2022にて、『コマドリのコマドリ』が優秀演出賞、スクウェア・エニックス賞を受賞。

石原慎一(いしはら・しんいち)
5月26日生まれ、山梨県出身。歌手として『仮面ライダーアギト』、『救急戦隊ゴーゴーファイブ』をはじめとしたテレビ番組の主題歌や、ゲーム音楽などを多数手掛け、これまでに10,000曲を越えるレコーディングに参加。俳優としてもBreakthrough Musical『RENT』、ブロードウェイミュージカル『アプローズ』、音楽座ミュージカル『星の王子さま』など、ミュージカルを中心に100タイトル以上の作品に出演。

公演情報

劇団ラパン雑貨ゝ 第9回公演『Reduce:Reuse:Restart ~瓦礫のヒーロー再び~』

日:2023年4月19日(水)~23日(日)
場:シアターKASSAI
料:最前2列指定席[特典付]10,000円 後列指定席5,000円(全席指定・税込)
HP:https://lapin-zakkaten.wixsite.com/lapin
問:劇団ラパン雑貨ゝ mail:lapinzakkaten@gmail.com

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