宝塚歌劇団宙組トップスターとして人気を集め、トップ就任期間平成以降最長在位となる。退団後もミュージカルやコンサート、さらに主演映画やテレビドラマへも進出。現在では海外を拠点に世界的な活動を展開している和央ようか。その芸能生活35周年を記念するコンサートが開催される。つい先日のコンサートではタンゴにも挑戦した和央。節目を祝うコンサートに向けた抱負を訊いてみた。
―――35年という節目をどう捉えていらっしゃいますか?
「気がついたら35年経っていましたが、これだけ長い間活動できること、変わらず応援してくれる皆さんがいてくれることは幸せです」
―――初めての舞台、その想い出はありますか?
「初舞台は1988年の『キス・ミー・ケイト』です。あの公演は大浦みずきさんのトップお披露目公演であり、なおかつ私達74期生の初舞台でもありました。もう全てがキラキラしていて、楽しかったことしか憶えていません。ただ宝塚名物にラインダンスがありますが、あのお稽古が凄く大変で、もうひどい筋肉痛になってしまい、一体どうやって稽古場まで行ったのか憶えてないくらいでした(笑)。大変だった2年間を一緒に過ごした仲間たちと、励ましながら到達しましたね」
―――宝塚での宙組の創設とトップスターへの就任。そして退団後にも様々な舞台や映画、ドラマなどにトライしてされてきましたね。
「私の歴史というのはそのままファンの皆さんの歴史でもあります。ですのでステージを観ながらご自分のことを振り返ってもらえると思います。そこでデビューから現在までに出逢い、愛した楽曲を詰め込みたいと思っています。宝塚時代の曲も初舞台から振り返って沢山盛り込みたいですし、それにトップ時代の曲であっても今までのコンサートでは歌えなかったものがありますから、それも入れようと思っています。ともかく今回は今までの中で一番欲張っています(笑)。今は限られた上演時間でどうやって入れるかの闘いですね」
―――数多いレパートリーから、特に印象に残る曲や作品を教えてください。
「宝塚時代、私は素敵な作品をたくさんさせていただきました。もうどの作品も好きですが、強いて挙げるなら『ファントム』や『カステル・ミラージュ』。そして最後の『NEVER SAY GOODBYE』ですね。退団後だと『シカゴ』と『ドラキュラ』。あとやっぱり『ディートリッヒ』も……選べませんね」
―――公演では音楽監督の小泉たかしさんのゴージャスなバンドが伴奏につきますし、宝塚の後輩である瀬戸かずやさん、愛月ひかるさんも参加されますね。
「2人ともだいぶ後輩です。でも愛月さんは時代は被っていませんが同じ宙組なので、彼女の舞台を拝見したことはあります。瀬戸さんは今回初めましてです」
―――さらに宝塚時代から深いおつきあいの名倉加代子さんが振り付けされます。
「私は名倉先生が大好きで、下級生の頃には自分の休日に東京まで先生のクラスに通っていたくらいです。退団した後も先生のステージで歌わせて頂いたり。ですので先生の振付で少し踊りたいですし、さらに先生とのコラボもできないかとお願いしているところです」
―――ものすごく充実したコンサートになりそうですね。
「宝塚時代も恵まれていましたが、今はさらにアメリカを拠点にしてそこから世界中を訪れています。そこで国内外問わず素晴らしいアーティストに出会うとこができています。あらためて35年の年月を経た私の魅力が出せたら良いなと思っています」
(取材・文&撮影:渡部晋也)
「台本と譜面。宝塚在団中すべての台本と譜面。そして、退団してから現在までの全てです。莫大な量と重さですが、その時に感じた想いなどが詰まっている大切な物です」
プロフィール
和央ようか(わお・ようか)
1988年、宝塚音楽学校を卒業し、74期生として宝塚歌劇団に入団。雪組に配属され、翌年に行われた新人公演では『ベルサイユのばら』のオスカル役に研究科2年目で選ばれる。1998年に創設された宙組に異動し、2000 年にはトップスターに就任。その圧倒的なパフォーマンス力で人気を集め、2006 年の『NEVER SAY GOODBYE』を最後に退団。退団後はミュージカルやコンサートの他、映画やドラマでも活躍。現在、海外を拠点に「TAKAKO」名義で活動を展開している。
公演情報
和央ようか芸能生活35周年記念コンサート
日:2023年10月28日(土)・29日(日)
場:イイノホール
料:12,000円(全席指定・税込)
HP:https://crescmusic.jp/
問:アルマムジカ
tel.070-1260-6333(平日11:00~17:00)