15人で繰り広げる、女子高生たちの青春と黒歴史 学生寮を舞台にしたオカルティック・エモーショナル・ゲスコメディー

15人で繰り広げる、女子高生たちの青春と黒歴史 学生寮を舞台にしたオカルティック・エモーショナル・ゲスコメディー

 舞台俳優の植野祐美がプロデュースする企画団体・Daisy times produceの最新作『R-20』が8月16日から開幕する。水田琴美が脚本を手掛ける本作は、ある女子校の学生寮「オドロ寮」を舞台に、15名の女性が繰り広げるオカルティック・エモーショナル・ゲスコメディーだ。
 本作に出演する根本流風と玉川来夢、そしてDaisy times produceの植野と山本真夢に公演への意気込みを聞いた。

―――まずは、Daisy times Produceの主宰でもある植野さんから、今作の上演への思いを聞かせてください。

植野「今回の公演では、まず、いつもお願いしている脚本家さんではなく、水田琴美さんに脚本をお願いさせていただきました。彼女は、普段は脚本家として活躍されている方ではないのですが、とてもお話が面白く、私自身がファンだということもあり、ぜひお願いしたいと依頼をして初の長編を書いていただきました。
 8月の公演になりますので、夏らしいことがしたい。それから皆さんに笑っていただき、でも最後にはほろっとしてほしい。そんな断片的なキーワードをお渡しして書いていただいたのが今回の作品です」

―――“オカルティック・エモーショナル・ゲスコメディー”な作品ということですが。

植野「そうなんです、全て入っている感じです(笑)。脚本家の水田さんは言葉選びが破天荒な方で、“ゲス”とつけたのは、そうした言葉選びをしているという意味でもあります。女の子が、ここまでやるんだと感じていただける脚本になると思います。
 同時に、青春もありますし、お化けが出てくるオカルティックな部分もあって、さまざまな要素が混じった作品になると思います」

―――そんな本作に出演が決まった時は、皆さんどんなお気持ちでしたか?

根本「私は主宰の(植野)祐美さんと昨年、別の舞台で共演させていただいていたのですが、その時に祐美さんの演技がすごくかっこよくて憧れていました。舞台後もご飯に行かせていただいて交流させてもらっていたので、『流風ちゃんに出てほしい』と声かけていただいた時はすごく嬉しかったです。すぐにお返事させていただきました」

玉川「私は真夢さんからSNSで出ないかと誘っていただきました。私が高3くらいの時に共演させていただいて以来なので、実は今日8年ぶりくらいにお会いしたんですよ。
 真夢さんは、当時の私のお芝居がすごくよかったという記憶があったみたいで、『芝居要員として入ってほしい』と声をかけてくださいました。どんな台本かもどんな役かも分からない状態でのオファーだったのでプレッシャーまみれですが、久々に舞台に出演できるのは楽しみです」

山本「私も脚本家の水田さんが書く作品が大好きなので、今回の出演はすごく楽しみです。女の子がこんなことして大丈夫かなというくらいパワフルで、清々しい気持ちになれる作品になると思います。それから、演出の津田(幹士)さんとは、以前にご一緒したことがあり、今から楽しみにしています」

―――今回は、オールフィメールの作品です。女性ばかり15人が集まってお芝居をするというのは、それほど多くない機会ではないかなと思います。

植野「Daisy times produceとしてもこれまで男女混合でやってきたのですが、この辺で新しいことがしてみたいという思いがあり、私たちメンバーも女性なので今回の挑戦になりました。
 やっぱり女子が集まると、華やかですよね。それに意外とパワフルなんですよ。ガールズ(オールフィメールの芝居)では、アイドルのようなかわいさを押し出す舞台が多いと思いますが、今回は実力派を集めたので、女子ならではの力強さを出せてたらいいなと思っています」

根本「私もガールズには何回か出させていただいたことあるんですが、やっぱり“かわいい”が基本にある舞台が多いと思います。ですが、今回声をかけていただいた時に『流風ちゃんは面白いのが得意だから』と言っていただきましたし、私のファンの方もそうしたお芝居を期待してくださってる方も多いので、今回私なりに全力で女子だからこそ出せる強さを前に出せていけたらと思ってます」

玉川「ガールズだと、どうしてもお遊戯会のような作品になってしまうこともあるのですが、今回はお芝居を重視して選んだと聞いてすごく楽しみになりました。
 軽い気持ちで観にきた方にすごいと思われたいですし、女子がこれだけ集まって1つのことに向かって作っていったら素晴らしいものができるんだということをお見せしたいと思います」

山本「祐美ちゃんも話したように、初めて私たちの団体でガールズをやります。女子ばかりが集まると、いがみあいが起こるのではないかと思う人もいると思いますが、私たちの団体はすごく平和なのできっとそうしたこともないと思います。まず、主宰の祐美ちゃんがすごくおっとりしていますから。
 平和に、でもやるときはしっかりプロ意識を持って、皆さんが居心地がいい稽古ができるようにサポートしていけたらなと思います」

―――「高校生の学生の青春と黒歴史が交錯する」という本作にちなんで、皆さんの青春エピソードを聞かせてください。

山本「祐美ちゃんがDaisy times produceを立ち上げた当初は、実は私たちはまだそれほど話をしたことがなかったんです。ですが、オファーをいただいて立ち上げ公演に出演させていただいて、コロナ禍でどうやって感染対策をすれば良いのか、どうやって稽古をしたらいいのかも分からないまま、みんながむしゃらに突っ走って、なんとか祐美ちゃんを支えようと全員で気持ちを1つにして上演しました。
 32年間生きてきて、たくさんの舞台に出演してきましたが、あの時の想いは1番熱かったと思います。『これが青春だね』ってみんなで言い合って、大変だったこともたくさんありましたが、すごく楽しくてやりがいがあって。私の人生で1番の青春でした」

玉川「私は中学校2年生の時から活動をしているので、高校3年生の時にアイドリング!!!を卒業するまで忙しすぎて記憶がすっぽりないんですよ。なので、学生時代のことはほとんど覚えてなくて……。
 それで、すごく失礼な話なんですが……流風ちゃんって、中学校一緒だよね?」

根本「そうなんですよ。地元一緒なんですよ。クラスは一緒になったことないですが、目は合ったことがある(笑)」

玉川「友達から『(今回の舞台は)流風ちゃん一緒なんだね』って聞いて、それでようやく気づきました……それくらい中高の記憶がないんですよ(苦笑)。(学生生活での)青春の記憶は全くないですが、アイドルが私の青春なのでYouTubeに全部残っています(笑)。
 あとは、黒歴史はきっと流風ちゃんが私の中学校時代のヤンキー姿を覚えていると思うので(笑)。でも、そんな全部を見ていた流風ちゃんと共演するというのに、ちょっとビクビクしてます(笑)」

根本「来夢ちゃんは中2の時にデビューしていたので、みんな知ってましたよ。でも、きっと覚えてないだろうなと思っていました(笑)。
 私は高1の頃からこうした活動を始めたので、私の青春時代は中学でした。吹奏楽部に入って、部長もやって、部活に没頭してました。大会に向けて頑張ったり、学生ならではの青春があったと思います。
 今は、アイドル活動をしているので、そのグループ活動も青春ですね。今年は後半からツアーも始まるので、毎日、メンバーとリハーサルなどで意見をぶつけ合っていると、今も青春を感じています」

植野「この団体の立ち上げ時の1作目は本当に青春だったと私も思います。
 それ以外でいうと、私は小学生の頃からお芝居が大好きで、舞台にもコンスタントに出演させていただいていたのですが、そうした出演を重ねるたびに出会う人が違って、作るものが違って、意見を交換しあって1本の作品を作り上げるという一連が全て青春だなと思いました。私にとっては、学生時代の青春よりも、学生時代に作った作品に青春を感じています。
 今回の作品も青春を感じるものになっていると思うので、それ自体がエモいですし、私たちがぜひご一緒したい、出演したいと思っていた方たちにお声をかけて集まっていただいているので、自信もあります。またきっと青春を感じられる熱い作品作りができると思います」

―――改めて、本作の見どころと公演への意気込みを聞かせてください。

植野「キャストもスタッフも妥協しない方々が集まってくださっています。信頼できる演出の津田さんとも、キャスト同士でもたくさん話し合って、みんなでやれることを一生懸命やって、分厚い作品を作り上げたいと思います。魅力的な方々ばかりが集まっているので、良い化学反応も生まれると思うので、楽しみにしていただけたらと思います」

根本「今回、こうして祐美さんに声をかけていただけたので、死ぬ気でやろうという気持ちでいっぱいです。初めて共演する方も多いですが、この舞台が皆さんの夏の素敵な思い出になれるように、精一杯頑張りたいなと思ってます。ゲスコメディーなので、ヒロイン感出しつつもゲスさも感じていただけたらと思います」

玉川「頑張ります。もうそれだけですね。楽しみです」

山本「見どころは水田さんの脚本です。可愛らしいキャストたちが、ゲスコメディーを演じたらどうなるのか。きっとファンの方も、今まで見たことないそれぞれのキャストさんが見られるんじゃないかなとも思います。衣装もすごくかわいいので、そこも楽しみにしていてほしいです。
 主催公演ということで、いつも通り祐美ちゃんを支えるのはもちろんですし、出てくださるキャストさんにとって、また出たいと思ってもらえるような舞台になればいいなと思っています」

(取材・文&撮影:嶋田真己)

プロフィール

根本流風(ねもと・るか)
2月10日生まれ。声優・アイドル。女性アイドルユニット「アイオケ」のメンバー(リーダー)。主な作品に、TVアニメ『けものフレンズ』コウテイペンギン役、メディアミックスプロジェクト『VENUS PROJECT』香島夕役ほか。メイホリックシアター11 舞台『メイドランカー!詰り蹴落とし跪け乙女』、劇団バルスキッチン第23回公演『産声フォーユー』など、舞台にも多数出演。

玉川来夢(たまがわ・らむ)
4月30日生まれ。2015年まで「アイドリング!!!」メンバーとして活動。主な出演作に、SANETTY Produce『Over Smile』、ベニバラ兎団 舞台『脳漿炸裂ガール2 〜俗物奇行〜Anarchy in the Journey』、『残念天使と駄目役者』など。

山本真夢(やまもと・まゆ)
11月26日生まれ。「Daisy times produce」のメンバーで、主催公演は全てに出演中。その他、近年では、カラスカ『ざつおん』、放課後ビアタイム 〜14次会〜 鬼はソト、俺はナカください。『初恋ショコラティエール』、疾駆猿 第拾回公演 VAGUENIGMA-Two Detectives Act2-『重圧世代の彼方此方アイデンティティ』など、多数の舞台に出演。

植野祐美(うえの・ゆみ)
8月10日生まれ。「Daisy times produce」主宰を務めつつ、自身も舞台を中心に活躍中。近年の主な出演作品に、ILLUMINUSガールズゴシックシリーズ舞台『赤の女王』フランツィスカ役、舞台『家族のはなし』2022 南沢役など。

公演情報

Daisy times produce『R-20』

日:2023年8月16日(水)~20日(日)
場:萬劇場
料:SS席[最前列・特典付]7,500円
  S席[前方席・特典付]7,000円
  S席[前方席]6,000円
  A席[特典付]6,000円
  A席5,000円(全席指定・税込)
HP:https://daisytimes.amebaownd.com
問:Daisy times produce
  mail:Daisy.times.p@gmail.com

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