Noism Company Niigataが、ゲスト振付家に二見一幸を迎え、金森穣との新作ダブルビル「領域」を上演。本公演の開催に際し、国際活動部門芸術監督・井関佐和子自ら二見にお願いしたいと委嘱を決めたという。
井関「今のNoism1にとって何が重要かをまず第一に考えました。二見さんの作品はエネルギッシュで身体的。それを若いメンバーに学んでもらえたらと思って」
二見「Noismの舞台は何度か観ていたので、彼らに作品を作るんだという重圧がありました。振付初日は死ぬほど緊張しましたね(笑)」
二見作品のタイトルは『Floating Field』。創作のため新潟入りし、Noism1に振付を行っている。
二見「メンバーの踊る姿を見たとき、意識や肉体が浮遊している印象を受け、そこからタイトルを決めました。新潟ではまずワークショップを行い、メンバーの動きをじっくり観察するところから始めています。そこで“この人とこの人が接触すると面白いな”と、個々の影響を受けながら作っていった感じです」
井関「二見さんがメンバーを組み合わせるとき、普段のNoismではそうはしないよね、というダンサーがペアになったりもする。それが新鮮で面白いですね」
二見「Noismのみなさんは僕が普段仕事をしているダンサーとはまた違うアプローチの仕方をしてくるので、凄く楽しくて。彼らなりに解釈して動いてくれたとき、こう動くんだ、それも悪くないなと、いろいろ発見があります」
一方、井関は金森穣振付作『Silentium』に出演。金森と井関によるデュエット作だ。
井関「穣さんと完璧な形でデュエットを踊るのはこれが初めて。テーマは“沈黙の言語”で、言葉にならない叫びや内側から出てくるエネルギーが舞踊の根源としてあるのではないかと今2人で模索をしているところです」
二見率いるカレイドスコープは設立27年、Noismは来年20周年を迎える。同時代を切磋琢磨し、共に舞踊界を牽引してきた。
二見「続けるのはやっぱり大変でしたね。自分が作りたいものというより、メンバーを生かす作品作り、グループが伸びていく作品作りを心がけてきました。きっと金森さんもそうではないでしょうか」
井関「社会的・集団的な制約がありつつ、それを乗り越えていける人が素晴らしい芸術家だと私は信じています。若いメンバーにもそれを学んでほしい。二見さんの求める作品のコアな部分を突き詰め、そして最終的に、作品以上のものを受け取ってもらえたらと期待しています」
(取材・文:小野寺悦子)
二見一幸さん
「梅雨の時期も良く考えるとそんなに嫌いではないです。雨が降った時の方が外の景色を眺めている気がします。雨の音は何となく心が落ち着いて、集中力が増す気がするので、雨が降ればその時の雰囲気でクラスの振付を考えたりして気分を上げています」
井関佐和子さん
「梅雨は私たちが生きていくために必要な時期で、新緑の木々が、雨の中生き生きしているのを見るだけで幸せな気持ちになります。新潟のりゅーとぴあの劇場にある欅の木が季節ごとに表情を変えていく中で、特にこの季節は美しい葉が輝いていて大好きです」
プロフィール
二見一幸(ふたみ・かずゆき)
La Danse Compagnie Kaleidoscope / Dance Brick Box主宰。一般社団法人現代舞踊協会理事。舞踊家・庄司裕に師事。1993年文化庁芸術家在外研修員としてフランスで2年間活動。1996年、La Danse Compagnie Kaleidoscope設立。カンパニーでの創作を中心に、外部への作品提供を行なっている。1999年第54回文化庁芸術祭 優秀賞、2013年現代舞踊協会制定江口隆哉賞。2020年大和市文化芸術賞受賞。
井関佐和子(いせき・さわこ)
1978年、高知県生まれ。3歳よりクラシックバレエを一の宮咲子に師事。16歳で渡欧。スイス・チューリッヒ国立バレエ学校を経て、ルードラ・ベジャール・ローザンヌにてモーリス・ベジャールらに師事。NDT2、クルベルグ・バレエを経て、2004年4月、Noism結成メンバー。金森穣作品では常に主要なパートを務め、日本を代表する舞踊家の1人として、各方面から高い評価と注目を集めている。2022年9月よりNoism Company Niigata 国際活動部門芸術監督。第38回ニムラ舞踊賞、第71回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
公演情報
Noism0/Noism1 領域
日:2023年7月14日(金)~16日(日)
場:めぐろパーシモンホール 大ホール
料:6,000円 25歳以下3,000円 ※要身分証明書提示(全席指定・税込)
HP:https://noism.jp/
問:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 tel.025-224-7000(平日10:00~18:00/休館日除く)