『銀河鉄道の夜』と『The Wizard of OZ』を2作同時上演 役者が身体1つで魅せる、劇団鹿殺しの原点となる公演

『銀河鉄道の夜』と『The Wizard of OZ』を2作同時上演 役者が身体1つで魅せる、劇団鹿殺しの原点となる公演

 2021年に活動20周年を迎え、2021年~2022年を「20周年YEAR」と銘打ち、代表作のリメイク、新作本公演と精力的に活動を行ってきた。劇団の新たな一歩目となる公演は、ザ・ショルダーパッズ『この
身ひとつで』。ショルダーパッズとは、2枚の肩パットのみの男性たちを中心に、シンプルな肉体と想像力のみを武器に芝居をする公演だ。

菜月「身体1つで魅せられる存在でありたいという、鹿殺しのものづくりの原点がこの表現方法です。通常の芝居以上に『お前はどう格好良いんだ?』が役者に突きつけられます。だからこそ、それがお客さんに届いた時、役者は通常以上の達成感を得られると思います。そしてお客さんは、そこから人間力を感じてもらえるのではないでしょうか」

橘「“衣装を着る”ではなく、“衣装を出す”イメージで演じています。全てを曝け出してステージに立っているから、楽しいし、気持ちいいんです」

浅野「僕はショルダーパッズは2回目。恥ずかしい気持ちはありますが、同時に役者としてやってみたいという思いも強くある。演じる上で出てくるものをそのままお見せするのは痺れる体験です」

 今回上演されるのは、『鹿版 銀河鉄道の夜’23』と『鹿版 The Wizard of OZ』の2演目。

菜月「『銀河鉄道の夜』はこれまでも繰り返し上演してきた作品で、ショルダーパッズの面白さを一番表現できる作品です。宇宙を旅して様々な星に行くという、演劇的に説明したくなる物語を身体1つで演じることで生まれる“差”が面白い。役者が全身で体現している姿を観ていると、段々と観えるものが変わってくると思います。お客さんにも“観る力”がついていくんです。お客さんとひとつになれる作品です」

橘「今回、親子チケットや高校生以下のチケットも用意しています。子どもの頃に“演劇を観る”という選択肢が、日々のイベントの1つになってほしい。そんな思いがあります。僕は今作が3年半ぶりの劇団復帰となります。やらなくてはいけないことはしっかりやりつつ、楽しく、責任を持って挑めたらと思います」

浅野「小劇場演劇は商業演劇と比べてニッチな業界。巡り合う回数は少ないかもしれませんが、巡り合った時には特別なものを観たという感覚を持っていただきたい。ですから、期待は絶対に裏切りません。『何も持っていないけれど、何でも持っている』ことを見せる舞台にできたらと思います」

(取材・文:嶋田真己 撮影:間野真由美)

プロフィール

菜月チョビ(なつき・ちょび)
福岡県出身。つかこうへい作品を上演したいがために丸尾丸一郎とともに劇団鹿殺しを旗揚げ。全作品の演出・出演を担う。2005年より東京進出。劇場公演、路上パフォーマンスや渋谷La.mama・O-WEST などを中心としたライブハウスツアーなど、幅広い活動が注目を浴びた他、2013年には文化庁新進芸術家海外派遣制度によりカナダに1年間留学。

橘 輝(たちばな・てかり)
茨城県出身。2007年、入団。劇団公演では小道具も担当。第16回公演『殺 ROCK ME!』以降、2020年の活動休止まで劇団全ての作品に出演。本作で、約3年半ぶりに劇団復帰、活動再開となる。

浅野康之(あさの・やすゆき)
福岡県出身。2010年、入団。俳優・振付家・演出家・脚本家。俳優活動をしながら、舞台・映画・ドラマ・アイドルなどの振付も手掛ける。2020年には、舞台の企画制作や複合エンターテイメントフェスをプロデュースする「トイメン」を立ち上げ、幅広く活躍中。

公演情報

劇団鹿殺し 2023本公演 ザ・ショルダーパッズ
『この身ひとつで』

日:2023年7月13日(木)~18日(火) 
場:下北沢 本多劇場
料:一般席5,900円
  ※他、席種あり。詳細は団体HPにて
  (全席指定・税込)
HP:https://shika564.com/sp2023/
問:劇団鹿殺し mail:ticket@shika564.com

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