主人公の少年メル役に、今大注目されている2人を起用! 沢山の楽曲に彩られた生と死をみつめるミュージカル座の代表作

主人公の少年メル役に、今大注目されている2人を起用! 沢山の楽曲に彩られた生と死をみつめるミュージカル座の代表作

 良質な国産ミュージカルを数多く送り出しているミュージカル座。その定番レパートリーの中でも何度も上演され、劇団のワークショップなどの教材としても取り上げられているが『ゴーストミュージカル』だ。
 本作は劇団主宰でもあるハマナカトオルと、数々の受賞歴を持つ作曲家の山口琇也のコンビによる作品。生と死を取り扱いつつも、ユーモアを交えることで軽妙に仕上げられた物語だが、今回の上演では主人公の少年メル役に、既に多くの作品で活躍している矢山鈴と鳥羽瀬璃音花がWキャストで務めることとなった。
 この2人と、座員であり月組にてハトおばさん役を演じる藤澤知佳に話を聞く。

―――主人公・メル役のお二人は、大人のキャストに交じって作品に挑むわけですが、主役に決まったときの気持ちを教えてください。

鳥羽瀬「ドキドキとワクワクで一杯でした。そして今までお世話になってきた方に、ようやく恩返しができると想い、嬉しくてしかたない気分です」

矢山「凄く嬉しかったのですが、この役は以前(女優の)伊東えりさんをはじめとするたくさんの方々が演じていらした役だし、周囲が皆さん大人なので、その中で1人立つことは、ちょっと不安な部分もありました。でも役と年齢が近いからこそ伝えられることがあれば良いなと思っています」

―――この『ゴーストミュージカル』はミュージカル座で何度も上演されて、代表作ともいえる作品ですが、主人公のメルを大人のキャストでは無く、リアルに年齢が近いキャストが演じるのは?

藤澤「今回が初めてですね。他の作品も含めて以前は子供の役も大人が演じていましたが、最近ではジュニアキャストを使うことが増えてきました」

―――ミュージカル座の作品について、大きな特徴はありますか。

藤澤『この作品だけでなく、生と死を取り扱う作品が多いですね。『ゴーストミュージカル』は特にその要素が強いですが。なんといっても最初からみんな死んじゃってますから。
 あと歌う場面はとても多いです。登場するキャラクターが13~4人いるんですが、その一人ひとりが自分の境遇を歌う場面があります。1キャラクターに1曲。さらにそこに他のキャストがハーモニーやコーラスをつけますから』

矢山「結局全曲歌っているみたいなものです」

藤澤「ミュージカル座にはキャストがずっと舞台に居る『スター誕生』シリーズがあるのですが、この作品もメインキャストは舞台上にずっといますね」

―――主役のお二人はミュージカル座の舞台への出演経験は?

矢山「これまでにたくさんの作品に参加させて頂きました。初舞台がミュージカル座で小4の時でした」

鳥羽瀬「私は一昨年だったと思います。だから中1の時ですね」

―――そもそもキャリアが長い気がしますが、矢山さんはダンスもされているそうですね。

矢山「はじめはチアダンス、今はジャズ・バレエ・タップです。チアダンスでは全国大会に出たことがありました」

鳥羽瀬「私はうたを5歳くらいから。その頃から作品にも参加しています」

―――藤澤さんは?

藤澤「舞台芸術学院のミュージカル専攻を出たんです。卒業後にテーマパークで踊っていたんですが、オーディションの話を聞いて受験して加入しました。

―――今回はWキャストですが、お二人はお互いを見てどんな印象を持っていますか?

鳥羽瀬「尊敬できるところしか無いですね。いつもそう思ってます」

矢山「璃音花ちゃんは私とはキャラクターが違うんですが、ともかくプロ意識が高いんです。お互い中学生ですが、大人に紛れて1人なので、いろいろ話をして共有できれば良いなと思っています」

藤澤「本当に2人とも大人顔負けなんですよ。むしろ大人の方が引っ張って貰っていますね。振りや歌も憶えが早いから、大人達の方が間違えてます(笑)」

―――お二人は将来の目標、目指すところはありますか?

鳥羽瀬「神田沙也加さんみたいに沢山の人から愛され、皆さんを幸せにできるようになりたいです」

矢山「今、英語を勉強しています。海外でも活動できる女優さんを目指していますが、まずは日本で頑張りたいと思っています。まだ目標は見つかっていませんが、市村正親さんを尊敬しています」

―――演じたい役を選んでください、と聞かれたら?

鳥羽瀬「『マイ・フェア・レディ』のイライザ役ですね」

矢山「『レ・ミゼラブル』のエポニーヌです」

―――では作品に参加するにあたっての抱負を聞かせてください。

鳥羽瀬「私の歌やダンス、お芝居は世界中の皆さんを必ず幸せにできると信じています。後悔はさせませんから是非劇場においで下さい」

矢山「沢山の歌で気持ちを伝えることも多い作品ですが、主人公・メルの気持ちをまっすぐに伝えたいと思います」

藤澤「生死をテーマにしているので、重い作品と思われがちですが、意外に底抜けに楽しくて、もう大笑いしたりホロリと泣けたりもする作品です。もちろん子供向けというわけでは無いですが、大人から子供まで幅広く楽しめますから、是非お越し下さい」

(取材・文&撮影:渡部晋也)

プロフィール

矢山 鈴(ややま・りん)
幼い頃から演技やダンスを学び、多くの舞台を経験。ミュージカル座作品では『ジュニア』、『クリスマスに唄えば』などに出演。ミュージカル『ミルコとカギロイの森』、ミュージカル座8月公演『ファミリア!』では主演を務める。LINE NEWS VISIONで配信中の、岩井俊二監督による縦型ドラマ『檸檬色の夢』にて、ユリカ役として出演。

鳥羽瀬璃音花(とばせ・りあな)
埼玉県出身。くまのがっこうミュージカル『おにいちゃんたちのゆめ』主役・ロイ役をはじめ、『プーラ・ルークス 〜ほんとうの光〜』サコ役、『マダガスカルJR.』ダンスターズリーダーなど、数多くのミュージカル作品に出演。ミュージカル座作品では『東京ミュージカル』松尾緑・加藤和役、『ファミリア!』リコ・マオ役、『ジュニア』瀬戸キララ役を務める。昨年12月には、ACTMENT PARK『あの鐘の音と共に-THE BELL-』にて、天使・サラ役を務め大好評を得た。今年10月には、同団体の『Moon of Ruined Castle~クランベリー・ムーン~』に出演予定。

藤澤知佳(ふじさわ・ちか)
広島県出身。舞台芸術学院ミュージカル部本科卒業。ミュージカル女優であり、日本舞踊若駒流名取、ヨガインストラクターの顔も持つ。ミュージカル座の中心女優として、数々の舞台で常に主要な役どころにて出演を続けている。ダンス講師として後進の指導にも積極的に当たっている。

公演情報

ミュージカル座7月公演
『ゴーストミュージカル』

日:2023年7月5日(水)~9日(日)
場:あうるすぽっと
料:OEN席[特典付]9,500円
  S席7,500円 A席6,000円(全席指定・税込)
HP:https://musical-za.co.jp
問:ミュージカル座 tel.048-825-7460

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