赤星ユウ、初の続編となる「ゼロテラ」新作 『クラド 弐心協奏』千葉瑞己×大久保樹が初共演

赤星ユウ、初の続編となる「ゼロテラ」新作 『クラド 弐心協奏』千葉瑞己×大久保樹が初共演

 華美な衣裳に白塗りの化粧が印象的な「レティクル東京座」の主宰・脚本家・演出家として活躍してきた赤星ユウが、劇団解散後に立ち上げた個人団体「ゼロテラ」。そのマインドは変わらず、“刺さる”エンタメをテーマに、独自の世界観を生み出している。
 そんな「ゼロテラ」の旗揚げ公演作品となった『クラド』の続編、『クラド 弐心協奏(ふたごころきょうそう)』が2023年6月1日(木)から6月4日(日)まで、六行会ホールにて公演される。出雲を舞台とした任侠たちの抗争を表のテーマにしながらも、複雑に【日本神話をアレンジ&モチーフとした神秘性を秘めた作品】として公演された初演。今作ではその2~3年後の世界が描かれる。
 マンガ、アニメ、ゲームの世界を舞台化する「2.5次元」の逆転の発想=「逆2.5次元」を目指し、3次元の演劇を起点としたメディアミックス展開を目論む本シリーズ。主人公の新國(にっくに)アラト、通称:ニックは声優・2.5次元舞台を中心に活躍する千葉瑞己が続投。そして新キャラクター・鹿喰(ししばみ)エル、通称:シカクを大久保樹が演じる。脚本・演出、そしてプロジェクトの総指揮を務める赤星ユウとともに、キャスト2人の意気込みを聞いた。

―――今回のサブタイトル「弐心協奏(ふたごころきょうそう)」というタイトルに込められた意味は?

赤星「長いこと演劇をやっていますが、実は同じタイトルの続編を作るのは今作が初めてになります。『クラド』というタイトルは残して、シリーズとしてやっていくことを決めた後に、漢字の『弐』をつけて続編であることを分かりやすく示したいなと思ったのですが、ただ『弐』とつけるだけでは寂しいなと思って、色々な言葉を調べました。
 その中で“弐心”という単語が目に留まったんです。これは、ある種の“浮気心”という意味なんですが、今回の内容にマッチしていて……。そこに2つの調べを奏でる“協奏”をつけたらとても語感がよく、このサブタイトルが生まれました」

―――前作は「ゼロテラ」の旗揚げ公演でしたが、今作は「ゼロテラ」としては3作目、『クラド』としても2作目ということで、赤星さん、主演の千葉さんのこんなことに挑戦したいという意気込みは?

赤星「沢山あります(笑)!
 今作は『クラド』初演の2~3年後の世界を描くのですが、普通は続編となったら前作の雰囲気や演出プランは踏襲することが多い印象ですが、私はあえて作品ごとにそれらをガラッと変えるのも面白いな!と思っていて。
 『クラド』初演はリアル路線と言うか、静かにドラマを前面に押し出す作りだったのですが、今回は路線や雰囲気をガラッと変えるつもりです。前作を観てくださった方には、今作はまた違った印象を抱いていただけるのではないかなと思います」

千葉「前作の終わりが、引きがある、続編があるのかなというのを感じさせるものだったので、シリーズものとして続いて、そして続投させていただけてありがたいです。
 ニックは初演でも不器用というか、気持ちを拗らせているキャラクターだったのですが……続編でも、より拗らせていく彼と上手く向き合えたらなと(笑)。
 新キャラクターが入ってきて、演出の方針も変わるということで、前回の出雲水都とはガラッと変わって、派手な展開もありそうですよね。ニックは陰か陽かで言えば、圧倒的に陰側の人間なので……。その展開に乗っかっていくのか、巻き込まれていくのか、はたまた俯瞰して見ているのか(笑)、僕自身も楽しみにしています」

―――大久保さんは今作からの参加になりますが、赤星さんの作品の印象は?

大久保「独自の世界観が構成されていて、本当に凄いなと思います。今回、オーディションで出演させていただくことが決まったのですが、その段階から惹きつけられるものがあったので、合格できて本当に嬉しいです。ビジュアル撮影もしてきたんですが、他の方とはまたちょっと雰囲気が違いましたね」

赤星「シカクは『山陰警ら学府』に通う学生という設定なので、ビジュアルもひと際かわいらしく作りました。海上自衛隊っぽさもある衣裳になっています」

千葉「僕も写真だけ見せてもらいましたが、衝撃の若々しさでした(笑)」

大久保「ありがとうございます(笑)」

赤星「『クラド』初演で、ニックは真っ黒な衣裳、テネシー(天正ユキ)は真っ白な衣裳で対照的になっていたのですが、シカクはどこかテネシーを思わせるビジュアルで作られているので、全体的に白っぽい感じです。だからこそ、ニックは時折シカクにテネシーを重ねて見てしまうけれど、2人は全然違う人物で……という」

千葉「うわ……“弐心”ですね(笑)」

赤星「そう(笑)! 初演を観てくださった方はそういう見方もできます。でも観ていない方も楽しめる独立したお話でもあるので、そこは心配せずに観に来ていただけたらと思います」

―――逆2.5次元ということで、今作のビジュアルもイラストになるのでしょうか?

赤星「なります! ぜひ楽しみにしていただけたらと思います」

―――初演では、新國アラトがテネシー(天正ユキ)に”ニック”とあだ名をつけられ、今度は鹿喰エルがニックに“シカク”とあだ名をつけられることにも因果を感じますが……。
 本日、千葉さんと大久保さんが初対面ということで、今後の稽古に向けて、ここであだ名をつけ合うというのはいかがでしょうか。

千葉・大久保「やりましょう(笑)」

千葉「大久保さんは普段何て呼ばれることが多いんですか?」

大久保「僕は樹(たつき)なので『つ』を小さくして『たっきー』が多いです」

千葉「なるほどね! それに則るか、僕だけのあだ名をつけるか……悩みますね(笑)。
 僕は千葉ちゃん、瑞己くん、『ばーちー』……人によって色々あるので、好きに呼んでもらって大丈夫です!」

大久保「ええー! どうしよう。迷いますね(笑)。あだ名って意識してつけることって意外とないのかもしれないです」

千葉「そうだよね。長い名前や珍しい名前の人はあだ名になりがちだけど……」

大久保「……たっきー&みっきーでどうですか?」

千葉・赤星「(笑)」

千葉「版権的に大丈夫かな(笑)。でも確かにたっきーは呼びやすいので、たっきー呼びから始めさせてもらいます! 稽古中のテンションで、途中で変わったらごめんね(笑)」

大久保「いえいえ! それはそれで嬉しいです。じゃあ僕もみっきーさんと呼ばせていただきます!」

千葉「みっきーさんって呼ばれるの初めてだな。なんか……大物になった気分です(笑)」

―――ありがとうございます(笑)! 稽古も頑張ってください。では最後に、観に来てくださるお客様にメッセージをお願いします。

千葉「前作に引き続き、新國アラトを演じさせていただきます。ニックは前作から色々なものを抱えたまま、引きずったまま、今作に挑むことになるので、それが解消されるのか、あるいは解消されないのか、より拗らせていくのか……ぜひお客様にも楽しみにしていただけたら嬉しいです。
 僕以外にも続投のキャスト、キャラクターもいるので、彼らの動向にもぜひ注目していただきつつ、新たなキャストも迎えて、より刺激的な物語をお届けしたいと思います。ぜひ劇場に観に来ていただけたら幸いです。よろしくお願いします!」

大久保「僕は今作から参加させていただきますが、キャスト・スタッフの皆様のお力をお借りしながら、素晴らしい作品を作り上げていきたいと思います。僕がオーディションの時に『すごい!』と感じたこの世界観の壮大さをお客様にもそのまま感じていただけるように、精一杯頑張ります!」

赤星「初の続編ものということで、初演から変わったもの、変わらないものがあえて混在しているといいなと思っていたのですが、先日のビジュアル撮影で、すでに自分の意図が反映されていることを実感して、私自身もより本番が楽しみになっています。
 ニックをはじめ、初演から何名かキャラクターが続投しますが、彼らの中でも変わったもの、変わらないものがある。そしてそこに新たなキャラクターが参戦してくることで、どうなるのか――。それぞれのキャラクターの心情をさらにかき混ぜながら稽古をして、ぐちゃぐちゃに煮詰まったものをお客様に観ていただけたらと思っているので、ぜひ楽しみにしていてください」

(取材・文:通崎千穂(SrotaStage) 撮影:安藤史紘)

プロフィール

千葉瑞己(ちば・みずき)
2月26日生まれ、宮城県出身。主な出演作品に、舞台版『Identity V /第五人格』シリーズ イライ・クラーク役、舞台『滄海天記』カズヤ役、ミュージカル『ピオフィオーレの晩鐘』ニコラ・フランチェスカ役、饗宴『茜さすセカイでキミと詠う ~絆~』高杉晋作役など。ツキプロ所属アイドル「infinit0」の御風呂庵のCVとしても知られ、同役で舞台版にも出演した。

大久保 樹(おおくぼ・たつき)
4月24日生まれ、茨城県出身。主な出演作品に、ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 桃城武役、ジュエルステージ『オンエア!』天神陽人役、DARKNESS HEELS~THE LIVE~2022 ルーク・バセン役、歌劇『桜蘭高校ホスト部』ƒ 銛之塚悟役など。

赤星ユウ(あかほし・ゆう)
11月16日生まれ、埼玉県出身。2012年「レティクル東京座」を旗揚げし、主宰・脚本家・演出家として全ての脚本・演出・作詞を担当。劇団解散後、2022年に個人団体「ゼロテラ」を立ち上げ。1作目として『クラド』初演、2作目として「レティクル東京座」の過去作品『見世物革命ゴウマちゃん』のリメイク版を公演し、本作が「ゼロテラ」としては3作目となる。

公演情報

ゼロテラ /002
『クラド 弐心協奏(ふたごころきょうそう)』

日:2023年6月1日(木) ~6月4日(日)
場:六行会ホール
料:プレミアムS席[1~4列目・特典付]8,500円
  一般席6,500円(全席指定・税込)
HP:https://zeroterra.jp/crud2/
問:ゼロテラ mail:info.crud2023@zeroterra.jp

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