築地・老舗寿司屋の物語、バブル崩壊後の苦難を描く第5作 鳳恵弥と山本圭壱の寿司屋夫妻が、舞台で復活

築地・老舗寿司屋の物語、バブル崩壊後の苦難を描く第5作 鳳恵弥と山本圭壱の寿司屋夫妻が、舞台で復活

 今年100年目を迎えた東京・築地の老舗寿司屋をモデルにした『こと〜築地寿司物語』。第1作目を2017年に発表し、足かけ7年でもう5作目。コロナ禍による危機を乗り越えて幕を開ける今回の新作舞台について、鳳恵弥はこう語る。

鳳「今作はバブル経済と崩壊後の苦難を盛り込みますが、キーとなる言葉は“明日”。この物語も関東大震災や大東亜戦争、東日本大震災、そして昨今のコロナ禍と様々な厄災を乗り越えてきました。振り返ると人が生きる事は生は数々の災厄との戦いの歴史でもあり、私達が今生きる“今日”はその災厄で犠牲になった多くの人が生きたかった“明日”であり、“明日”を迎えられることがどれだけ尊いかが浮かび上がります」

 現代と過去を行き来する物語には、寿司屋の初代店主・栄蔵も登場する。演じるのは、2作目、3作目で栄蔵役を担ってきた山本圭壱。このハマり役を演じる山本は言う。

山本「栄蔵さんはちゃっきちゃきの江戸っ子なので、江戸弁を自分なりに意識していきたいです。上手くできるか不安でいっぱいですが、栄蔵さんによく頑張ったなと言われたいですね」

 栄蔵とことの娘・弥生役には鳳とプライベートでも仲が良い、市川美織。

市川「私の初舞台で、鳳さんとの初共演から10年ぶりの共演がこのシリーズの第1作目でした。思い出を振り返りながら、懐かしさを噛み締めつつ、キャラクターを煮詰めています。原点回帰ですね(笑)」

 そして今作の脚本・演出は鳳が担当する。これまで関わった多くの先輩達から学んだ経験を、存分
に活かした脚本になることだろう。

鳳「総監修として、ポケットモンスターなどの脚本で知られる、園田英樹先生に入って頂きます。私が脚本でこの作品に関わるのは今回が初めてです。今まで関わって下さった皆さんの想いを踏襲してい
きます。今回は時代を駆け抜け、エピソード盛り沢山なので、それをどう演出するか、上手く繋げて
いけたらいいですね」

 最後に意気込みを伺うと。

市川「最近では座組で私が最年少じゃないんです。舞台や映画の主演をするようになり、私にも後輩ができるようになりました。だから伝えることの大切さを実感しています。その責任感を胸に今作に挑みます」

鳳「“明日”のための“今日”を精一杯生きる。その想いを込め、前向きに進みたい。作品を通して“今日”が過ごせる幸せ、“明日”への希望を持って帰って頂ければ良いなと思います」

山本「やるっきゃない! だね」

 最後に山本がキリリと一言で締めてくれた。

(取材・文& 撮影:渡部晋也)

プロフィール

鳳 恵弥(おおとり・えみ)
東京都出身。02年、準ミス・インターナショナル日本代表に選出。04年、★☆北区つかこうへい劇団に13期生として入団。公演プロデュース・執筆活動・指導などマルチに活躍。芸能20周年の19年、演劇ユニット「ACTOR’S TRIBE ZIPANG」を旗揚げし、演出・脚本を手掛ける。22年、劇場都市TOKYO演劇祭 最優秀主演俳優賞を受賞。

市川美織(いちかわ・みおり)
埼玉県出身。10年、AKB48第10期研究生オーディションに合格、翌年正規メンバーに昇格、NHK 紅白歌合戦などにも出場。俳優としては『こと~築地寿司物語~』、『シーボルト父子伝~蒼い目のサムライ』など。また鳳とも共演する主演映画『夢叶えるサウナ』が今秋全国公開予定。モデルをはじめアパレルブランドとのコラボなどクリエイター方面でも活動中。

山本圭壱(やまもと・けいいち)
広島県出身。上京後に在籍した「東京ヴォードヴィルショー」で加藤浩次と出会いコンビを組む。その後、吉本興業に移籍し「極楽とんぼ」を結成。銀座7丁目劇場を中心に活躍する他、テレビの深夜バラエティで人気を高め、「めちゃ×2 イケてるッ!」でその人気を固めた。18年の『こと~築地寿司物語~』で俳優としても本格復帰。舞台の他、テレビ・ラジオなど現在も多くのメディア
で活躍。YouTube『けいちょんちゃんねる』は登録者数50万人を突破。

公演情報

こと〜築地寿司物語〜明日への轍

日:2023年4月27日(木)~30日(日)
場:築地本願寺ブディストホール
料:S席8,000円 A席6,000円(全席指定・税込)
HP:https://twitter.com/koto_sushistory
問:しぃぼるとぷろだくしょん tel.03-3951-7051

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