出演者は全員男性 「男女で演じる場合とはまた違う楽しさも見えてくる」 3度目の、そして最後のハーミアのために――

出演者は全員男性 「男女で演じる場合とはまた違う楽しさも見えてくる」 3度目の、そして最後のハーミアのために――

 シェイクスピアの喜劇といえば本作を思い浮かべる人は少なくないだろう。森に迷い込んだ4人の男女が、妖精のいたずらによって大騒動を繰り広げる、400年にわたって親しまれてきた戯曲だ。許嫁との結婚を強制され、恋人との破局か死刑かを迫られる、うら若き女性ハーミアを演じるのは山本一慶。これまで2度演じ、一昨年は演出として携わった。

 「演出を経験して俯瞰的な視点も手に入れ、自分の中でのハーミアはやり切っていたので『最後にもう一度だけやらないか』とお話をいただいた時には凄く悩みました。けれどこれまでに得たものを活かして、ハーミアを1から構築し直すのは面白い経験になると思ったんです」

 本作には不思議な魅力があると、山本は言う。

 「祝福を祈り、結婚式の余興として上演されたという説があり、また災害や悪天候で不安定な自然現象を妖精の喧嘩のせいとして描いています。シェイクスピアは不安な時こそ、芝居を通して安心感を観る人に届けたかったのかと。上演され続けているところに魅力を感じますし何度も挑戦したいと思う作品です」

 さらに古典作品であることに身構えず気軽に楽しんでほしいと語る。

 「若者4人の恋模様が妖精によってぐちゃぐちゃにされちゃう。シェイクスピアの台詞回しで本気で罵り合うシーンは面白いですよね。またタイテーニアが強くて押し負けてしまうオーベロン。そのパワーバランスの構図はオールメールだからこそ良い意味で滑稽と言いますか、男女で演じる場合とはまた違う楽しさが見えてくると思います。

 出演者も濃い! これは収拾がつくのかな?(笑) 成弥との共演は久しぶりで、当時から共に変わりましたが、ベースの部分はお互い知っているから紡いでいけるものがあると思っています。演出の今井さんは歌舞伎の演出を手掛けている方で、音楽や衣裳も和のテイストを取り入れています。きっと役者として成長できるはず」

 演じる心構えを尋ねると。

 「以前の感覚からどれだけ初心に戻って柔軟にできるかが課題になりそうです。僕のハーミアは僕が可愛いと思う女の子。6年を経てどう変化するのか!? この作品は混乱の末にほっこりできる物語です。お友達と気軽に観ていただいて、観終わったあと食事をしながら感想を語り合ってもらえたら嬉しいです」

(取材・文:いつか床子 撮影:山本一人(平賀スクエア))

レトロブームなどと言いますが、再熱して欲しい流行はありますか?

「パズルかな! ブームというか自分がハマっていて、昔はよく1人でパズルをしていたのですが、最近は出来ていません。自分の中でまた火がつくのを待っています! なかなかまとまった時間がないですが、今度大きなパズルを完成させたいと思います♪」

プロフィール

山本一慶(やまもと・いっけい)
1989年6月1日生まれ、東京都出身。2009年、『毛皮のマリー』で初舞台を踏む。2012年、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズン 大石秀一郎役で注目を集める。以後、2.5次元舞台からストレートプレイまで幅広く活動。主な出演舞台に、『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』シリーズ、ミュージカル『憂国のモリアーティ』シリーズ、ミュージカル・コメディ『ラヴ』など。ハーミア役は2016年、2017年の上演に引続き3度目。2021年には、自身の演出家としての本格デビュー作として本作に取り組んでいる。2023年6月には、主演舞台『吸血鬼すぐ死ぬ』に出演予定。

公演情報

夏の夜の夢

日:2023年4月19日(水)~23日(日)
場:東京芸術劇場 シアターウエスト
料:S席9,500円 A席[バルコニー席]8,500円(全席指定・税込)
HP:https://artistjapan.co.jp/
問:アーティストジャパン tel.03-6820-3500(平日11:00~18:00)

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