近未来のディストピアコメディ PUNKな幻の名作コミックを舞台化! 『年金未納者ミャーキ』W主演は武本悠佑×コウガシノブ!

近未来のディストピアコメディ PUNKな幻の名作コミックを舞台化! 『年金未納者ミャーキ』W主演は武本悠佑×コウガシノブ!

 2007年~2008年に「コミックビーム」で連載されていた須田信太郎氏による幻の名作漫画『年金未納者ミャーキ』が、田中大祐の脚本・演出によって舞台化される。国民年金を払わない者には容赦ない仕打ちが待ち受ける近未来のディストピアで、重労働を課せられ、極限まで追い込まれた若者たちが反撃の狼煙を上げる物語だ。本作でW主演を務めるのは、若手俳優の武本悠佑と、ベテラン俳優のコウガシノブ。一見対照的にも見える2人に、脚本・演出の田中大祐も交えて話を聞いた。

―――今作が生まれたきっかけを教えてください。

田中「僕自身が高校生の頃に須田信太郎先生の漫画の大ファンだったんです。コロナ禍が始まった頃、時間があったのでSNSを見ていたら、たまたま須田先生のTwitterを見つけて、舞台化させていただけないかDMを送ってみたのがきっかけです」

コウガ「ええ! そんなことが!」

田中「それでお返事をいただけて、意気投合して、今回の舞台化に至ります。なのですごく思い入れがある作品です」

―――キャストのおふたりは、オファーがあった時の感想は?

武本「初めにオファーをいただいた時に原作が漫画と聞いたので『2.5次元作品なんだな』と思ったのですが、実際に作品に触れてみると社会派な作風で、いい意味で、漫画原作だけれども、よくある2.5次元の演劇っぽくはないと感じられるんじゃないかと思っています。主演を務めさせていただけることにワクワクしています」

―――コウガさんは田中さんの作品には何度も出演されていますが……。

コウガ「おかげさまでほぼレギュラー出演させていただいています。田中さんとは付き合いが長くて色々な作品でご一緒している信頼できる演出・脚本家なので、お話をいただいた時点で面白い作品になるだろうなと思いました。
 原作も読んだのですが、ただ面白いだけじゃなくてメッセージ性もある、ファンタジーな世界観ではあるけれどもどこかリアルで、個人的にすごく好きな作風でした。間違いなく素敵な作品に仕上がると思います!」

―――若返って青春を再度謳歌する富裕層の老人たちと、そんな老人たちを支えるために搾取される年金が払えない若者たちがいるということですが、おふたりの役どころは?

武本「僕が演じるヒロオは年金を納められないがゆえに虐げられ、夢も希望も失ってしまった若者です。お客様視点で、共感してもらいやすい人物なのではないかなと思います。どうしようもないヤツですけど、どこか愛される要素もあるキャラクターです」

コウガ「僕が演じるミャーキも年金を払えずに搾取される側ですね。この世界は年金を払えない者はぞんざいな扱いをされるのですが、その現状をなんとか打破するために革命を起こそうとするキャラクターになります。武本くんが演じるヒロオが成長するのを助けるというか……助けるっていう感じでもないんですけど」

田中「どちらかというと“焚き付ける”に近いかな。分かりやすく言うと、ミャーキがいわば反逆者で、ヒロオがミャーキと出会うことで変わっていく、成長していくというストーリーになります」

―――田中さんが主宰する「気晴らしBOYZ」は「追い詰められた人間の滑稽な状況と、負け犬たちがなけなしの勇気を振り絞る姿をモチーフにしたコメディを得意とする」とホームページにありましたが、まさにその得意なジャンルという感じですね。

田中「まさにそうですね!」

―――そちらにちなんでの質問ですが、武本さん、コウガさんがこれまでに追い詰められた、あの時は苦しかったな……というエピソードはありますか?

武本「僕は大きな2.5次元のタイトルに出演させていただいた時に、自分の実力不足のせいなのですが、思うようにいかなくて……。プレッシャーもあり、どこにぶつけていいか分からない自己嫌悪や焦燥感を爆発させていましたね……。
 ただ、正直当時はそこまで追い詰められていた自覚はなくて。でもその経験があったので、人としても役者としても成長できて、ありがたかったです。沢山支えてくださった現場のキャストさん、スタッフさんに感謝ですね」

コウガ「しっかりした若者だねぇ……! でも気持ち分かりますよ。僕もね、もう毎回田中さんの作品に出ると追い込まれてますから」

田中「嘘!? そんなことないでしょ!?」

コウガ「追い込まれていますよ(笑)。全部楽しかったんですけどね。特に一昨年にやった『サルでも描ける漫画教室』は大変だったな……」

田中「ああ! 『サルまん』も漫画原作で、コウガさんには主役をお願いしました」

コウガ「ありがたい話ではあるんだけども、膨大なセリフ量でね。それを早口でやらないといけなかったので、ものすごくエネルギーを要しました。あれは追い詰められたよ(笑)」

―――“生みの苦しみ”というやつですね。キャスト・スタッフが苦しいほど、お客様はエンターテインメントとしては楽しめている、とも言います。きっとおふたりが追い詰められた作品もお客様はその分楽しめたのではないかと!
 では続いて、『年金未納者ミャーキ』の世界では、富裕層の老人たちが医療科学の力で若返り『もう1回青春ランド』で失われた青春を謳歌する、とのことですが、キャストのおふたりがもし学生時代に戻れるとしたら何がしたいですか?

武本「僕は小学生の頃にもっと苦労しておきたかったなと思っていて……」

田中「ストイックだね〜!」

コウガ「いい子過ぎるでしょ! 何でそう思うの?」

武本「今、役者として色々なお仕事をやらせていただけるようになって、経験値が足りな過ぎて、あの時にもっとこういうことを経験しておけば、もっと子供の頃に苦労しておけば、今こんなにいっぱいいっぱいになっていないだろうに……と思うことが沢山あるんです」

―――武本さんはどんな小学生だったのでしょうか?

武本「両親は何か習い事をしろとは言わなかった半面、やりたいことは自由にやらせてくれたので、のびのび育ててくれたことにはとても感謝をしているのですが、のうのうと生きていた自分に、自分で腹が立ちます」

―――習い事は何をしておきたかったな、と思っていますか?

武本「ダンス、歌、楽器と……。あと最近出演した舞台に影響されていますが、スケボーも(笑)」

コウガ「将来芸能系に役に立つことをもっとやっておきたかった!っていうことね。本当に偉いなぁ」

―――コウガさんはいかがですか?

コウガ「僕は中学2年生に戻りたいです! なんといっても人生で1番のモテ期だったんですよ。それからパッタリなんですけど、当時はアイドルかっていうくらいモテました!
 でもね、シャイだったんです。女の子に話しかけられても目を見て話せなくて、伏し目がちに手で顔を半分隠しながら話したりして……。それがまた良かったのかもしれない(笑)。クールに見えたのかな」

武本「少女漫画のクールなヒーローみたいですね!」

コウガ「そう見えたのかなぁ!? だからモテたけども彼女はいなかった……もったいないよねぇ。戻りたいです。まさに『もう1回青春ランド』したい(笑)」

田中「今からでもクールキャラになったらいいじゃないですか」

コウガ「無理だよ。今のこの顔、見た目だけだとヤクザなんだもん。この顔でクールぶったら、殺し屋の役しかオファーがこなくなっちゃうよ(笑)。これからも明るく振る舞います」

―――ぜひ今の素敵な笑顔のままでいてください(笑)。
 では、最後に観に来てくださるお客様に一言ずついただければと思います。

コウガ「メッセージ性がある作品ではあるんですが『伝えたいことがあるんだ!!』っていう感じでやる作品ではなく、エンターテインメント作品なので頭を空にして観ていただきたいと僕は思っています。
 楽しんでご観劇いただいた後で、この作品が何か問題提起になっていたらそれは嬉しいですし、ただただ面白かったな!って思ってもらえるだけでも、それはそれですごく嬉しいです。肩の力を、脱臼するくらい抜いて(笑)楽しく観てください!」

武本「僕なりに伝えたいことを、作品を通じて皆さんにぶつけていきますが、人によって様々な解釈ができる作品だと思うので、観劇後に感じた感想はきっとどれもが正解だと思います。皆さんの感想を楽しみにしていますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたら幸いです。よろしくお願いします!」

田中「自分が10代の頃にめちゃくちゃ影響を受けた須田信太郎先生の原作です。先生の作品はどれもブルースのような哀愁があるんですけど、この作品はパンクロック。青臭くてストレートな反逆の物語です。自分が初めて先生の作品に触れた時の衝撃を、今の時代の観客の皆さんに少しでも伝えられたらと思っています。
 あと今回、武本くんには劇中で歌も披露してもらう予定なので、そこも皆さん楽しみにしていてください!」

(取材・文&撮影:通崎千穂(SrotaStage))

プロフィール

武本悠佑(たけもと・ゆうすけ)
1998年5月1日生まれ、佐賀県出身。主な出演作品に、ミュージカル『新テニスの王子様』シリーズ ⽩⽯蔵ノ介役、ミュージカル『刀剣乱舞』 ~江水散花雪~ 南泉一文字役、舞台『SK∞ エスケーエイト The Stage』第二部:The Last Part ~俺たちの無限大~ 暦役(主演)など。

コウガシノブ(こうが・しのぶ)
1974年7月13日生まれ、福岡県出身。主な出演作品に、映画『電車を止めるな!』蔵本勝介役(主演)、舞台『新撰組始末記』宮部鼎蔵役、『魁‼男塾』鬼ヒゲ役、『うしおととら』蒼月紫暮役、『サルまん』竹熊健太郎役(主演)など。「気晴らしBOYZ」作品にはレギュラー出演している。

田中大祐(たなか・だいすけ)
1976年11月9日生まれ、東京都出身。2001年より放送作家として活動開始。2011年に劇団「気晴らしBOYZ」を旗揚げ。全作品の脚本・演出を担当。テレビ・演劇・映画など、幅広いジャンルで活動中。近年の主な舞台作品に、舞台『魁‼男塾』、『サルまん』、『ハイスクール!奇面組』シリーズなど。

公演情報

舞台 年金未納者ミャーキ

日:2023年4月19日(水)~23日(日)
場:あうるすぽっと
料:S席8,500円 A席6,500円
  (全席指定・税込)
HP:https://stage-myaaki.studio.site/
問:気晴らしBOYZ
  mail:myaaki.info@gmail.com

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