レティクル東京座でカルト的人気を誇った問題作が待望の再演! 鎖國時代の日本。時代の波に抗う思想の申し子が描く「夢」とは!?

レティクル東京座でカルト的人気を誇った問題作が待望の再演! 鎖國時代の日本。時代の波に抗う思想の申し子が描く「夢」とは!?

 ハイスピードな台詞回しと独特のテンポによる唯一無二のエンタメ演劇で熱狂的な人気を誇り、2021年に惜しまれつつも解散した「レティクル東京座」。主宰・脚本・演出を手掛けた赤星ユウが、2022年に満を持して新たに立ち上げた個人団体「ゼロテラ」において、新作公演とは別に、レティクル東京座時代の過去作を大幅にリメイク・ブラッシュアップして上演するシリーズが「星羅胎生(せいらたいせい)公演」だ。
 その記念すべき第1弾として、その独特な世界観とキャラクターからカルト的人気を誇った『見世物革命ゴウマちゃん』が待望の再演となる。
 長らく鎖國が続く混沌の浅草城下で、鎖國を終わらせるべく啓蒙活動に励む思想家のゴウマちゃんが摩訶不思議なサァカス団との出会いを通じて人生の分岐点を迎えるという革命ロック浪漫譚。犬童ゴウマ役には、2.5次元ダンスライブ『ツキウタ。』ステージ【ツキステ。】シリーズ、舞台『青春歌闘劇〜バトリズムステージ〜』シリーズ等で人気を博した縣豪紀が初主演として挑む。
 果たしてあの問題作がどの様に生まれ変わるのか? 縣と赤星の2人に見どころを聞いた。(赤星はインタビューのみの登場)

―――本作が生まれた背景について教えてください。

赤星「2012年から21年まで活動した劇団『レティクル東京座』のあとに、自分の個人団体として『ゼロテラ』という団体を立ち上げ、昨年9月に旗揚げ公演『クラド』を上演しました。
 その『クラド』などの本公演シリーズとは別にレティクル東京座時代の過去作をブラッシュアップして再演するという試みとして『星羅胎生公演』シリーズを企画し、その第1作が本作になります。
 本作は2013年に初演をおこない、当時の劇団の3作目にあたります。シアターグリーンがおこなっている学生芸術祭に出展し、優秀賞をもらったことで、今でも続く熱心なファンの方々を獲得するきっかけとなりました。
 実はレティクル東京座時代を含めて、再演をおこなうのが初めてなんです。思い入れが強い作品なだけに、果たして初演を超えられるのだろうかという不安もあって、ずっと前向きになれなかったのですが、活動する中で縣さんという素晴らしい役者さんと出会って、ゴウマちゃんそのものじゃん!と電流が走ったわけです。初演の俳優さんに共通する部分も多く、縣さんなら初演の良さも残しつつ、新しいゴウマちゃんを生み出してくれると思い、依頼しました。正直、縣さんありきの再演です。
 初演と異なる点としては、メインキャストが男女15人から男性のみ7人に変更になったぐらいで、ストーリーの根本は初演から大きく変わっていません。鎖國時代の日本を舞台に、ゴウマちゃんという優柔不断な革命家の青年が、摩訶不思議なサァカス団との出会いを通じて、人生の分岐点を迎えるという話です。一言で表すと、サブカル好きの学生が情熱のまま創った何でもあり、ハチャメチャエンタメのカオスな作品でしょうか(笑)。
 逆にレティクル東京座時代からのお客さんからすれば、『そうそう! これこれ!』という反応を頂けると思います」

―――初主演作に挑む縣さんは、作品にどんな印象をお持ちですか?

縣「台本を読んだ印象としては、難しかったです(笑)。ゴウマちゃんは感情の起伏が激しいというか、情緒不安定。今まで演じたことがないタイプのキャラクターなので、今回初主演ということも含めて、僕自身とっても大きな挑戦だなと感じています。
 僕の奥底にも人を驚かせよう、人と違うことをしようという意識が強くあるので、共通点もあるのではと思いますが、この激しい感情表現は難しいの一言ですね。加えて、言葉遊びというか、言葉のチョイスもなかなか飛んでいます(笑)。でも過去作品の出演者の方から赤星さんの脚本は独特だという前情報は聞いていたので、形に囚われない世界観はワクワクします。
 初主演作なので勿論、プレッシャーもありますが、今は楽しみの方が強いかな。僕にとっての革命じゃないですけども、今までないテイストの作品に挑戦することで、役者としても進化を遂げたい思いで一杯です。でも稽古がいざ始まったら、落ち込むことになるかもしれませんが…(笑)」

赤星「確かにリズムが独特とは言われますね(笑)。一般的な口語調というよりは、文語調をリズムに乗せて、無理やり口語調にしている感じです。普段使わない言葉をスピーディーにやりとりすることで、音楽のような軽快なテンポが出てくる感じです」

縣「台詞が多い舞台は今まで経験あるのですが、言い回し含めての会話の畳みかけはまた違った感覚でホント、新しくて面白いなと思いました」

―――今回、リメイクする上で注力したポイントは?

赤星「初演での男女15人のキャストが創る世界観も好きでしたが、10年という時間を経て、1人のキャラクターが色んな要素を兼ね備えることができるんじゃないかと思って、7人に変更しつつ、ゼロテラは男性俳優中心の作品を創っているので、それに合わせて男性キャストだけにしました。でも根本的に伝えたいことや表現したいことは初演とほとんど変わっていません。むしろ自分の経験や技量不足で当時出来なかった事を今回の座組に詰め込んだ感覚ですね」

―――縣さんの自分の強みをゴウマちゃんというキャラクターにどう反映したいですか?

縣「それは今、悩んでいる最中なんです。役者としては5年目になりますが、自分の武器を模索しているところです。こういう役柄を頂くのは初なので、この作品の中で新しい自分を見つけられたらなと。そういう意味ではこれ以上ない巡り合わせですよね。
 ゴウマちゃんは周りを巻き込む力はあると思いますが、変化を起こしたことで自分もその変化に飲み込まれてしまうような弱い一面もあると感じました。現代でもこういう人いるよねと思わせるようなキャラクターに出来たらなと。また物語を通してゴウマちゃん自身も変化していくんですね。その変化していく過程もこれまでの経験を生かして表現できたらいいですね」

赤星「それは間違いないです! 私は一方的に縣さんの作品を観させて頂いているのですが、間違いなくこれまでの縣さんとは違った一面をお見せできる作品になると断言できます。縣さん抜きでは今回の再演は無かったと言えるぐらい、ゴウマちゃんの雰囲気にはまっています。舞台上に立っているだけで華があり、繊細さとシャープさというギャップもまた魅力ですし、それらを生かしながら、縣さんのファンの方がまだ観たことない一面をお見せするのも今回のチャレンジだなと」

―――最後に読者にメッセージをお願いします。

赤星「今回、再演をすることの意義や手ごたえをお客さんの反応を通して確認したいですね。恐らく現在の演劇界のどこにもない作品になると思います。実はタイトルも伏線になっているので、是非、そこにも注目して楽しみにしてもらえたら嬉しいです!」

縣「ダンスや殺陣もあるようなので、すごく楽しみです。10年ぶり、初再演という初めてづくしの貴重な機会に僕を抜擢して頂いて光栄の一言です。臆することなく、カンパニー一同で取り組んで、お客さんに言葉にできない衝撃を与えたいです。演劇界に嵐を起こしたいと思います。劇場でお待ちしています!」

(取材・文&撮影:小笠原大介)

プロフィール

縣 豪紀(あがた・ごうき)
1992年1月19日生まれ、静岡県出身。モデルを経て、舞台での活躍と共に、広告・映画などにも出演。主な出演作に、ABEMA TV「恋愛ドラマな恋がしたい」、2.5次元ダンスライブ『ツキウタ。』ステージ【ツキステ。】シリーズ 睦月始役、舞台『ROOKIS』若菜智哉役、『Identity V STAGE』シリーズ 黒無常(笵無咎)役、ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』“最強の挑戦者”銀島結役など。

赤星ユウ(あかほし・ゆう)
1990年11月16日生まれ、埼玉県出身。脚本家・演出家。2012年に「レティクル東京座」を立ち上げ、主宰・脚本・演出として活動。21年の解散後は個人団体「ゼロテラ」を2022年に発足させ、同年9月に旗揚げ公演『クラド』を上演。新作公演とは別にレティクル東京座時代の作品を大幅にリメイク・ブラッシュアップして再演する「星羅胎生公演」シリーズを企画し、第1弾となる『見世物革命ゴウマちゃん』を今年3月シアターグリーン BIG TREE THEATERにて上演。

公演情報

ゼロテラ 星羅胎生(せいらたいせい)公演・壱 『見世物革命ゴウマちゃん』

日:2023年3月2日(木)~5日(日)
場:シアターグリーン BIG TREE THEATER
料:プレミアムS席[1~3列目・特典付]8,000円 
  一般席6,000円(全席指定・税込)
HP:https://zeroterra.jp/gouma2023/
問:ゼロテラ mail:info.gouma@zeroterra.jp

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