複数の時代の東京で生きる人々のドラマを描く新作ミュージカル 絶望と再生を繰り返してきた東京。過去と未来の物語

複数の時代の東京で生きる人々のドラマを描く新作ミュージカル 絶望と再生を繰り返してきた東京。過去と未来の物語

 脚本・演出家のハマナカトオルによって、新しい国産ミュージカルの創造と普及を目的に1995年に創立され、数々の名作を生み出してきたミュージカル座。本作は過去と現代の東京に生きる人々のドラマを全編音楽で綴る新作ミュージカルだ。震災、戦争、コロナ禍とそれぞれの時代の荒波の中で、断たれ
た夢や希望。その中で育まれた愛と希望は時代を超え、未来へと繋がっていく。主演にダブルキャストとなる小林風花と宮下舞花。40年以上のキャリアを持つ森田浩平らが壮大な物語を彩る。

小林「登場人物が生まれ変わりではないけども、過去と現在が不思議な縁でリンクしていて、物語の構成としてとても新鮮だなと。それぞれが悩んで葛藤して、様々な境遇の中で大切なものをどのように守っていくのかという所が見どころになると感じました」

宮下「時代の荒波の中でこんな思いで生きた人達がいたに違いないというリアルな感覚を大切にしたいです。目の前やこの先の幸せをどう見つめていくべきか。改めて考え直してもらえるようなきっかけを届けられるように演じていきたいです」

森田「本作はどんな事があっても、困難は乗り越えられるというヒューマンドラマだと思っています。災害や戦争だけにクローズアップするのではなく、常に先にある光を感じて生きているというテーマを感じました。色んな苦難を乗り越えて、最後に歓喜の歌につながっていく。絶対先はあるんだよ。明日に向かって生きていこうという作品にしたいです」

 本作でもう1つの見どころが、初めてハマナカとコンビを組む若手作曲家の石渡裕貴の音楽だ。ベートーベンの『交響曲第9番』の構成をモデルに、全体を4つの楽章に分け、「歓喜の歌」をモチーフにした壮大な合唱で幕を降ろすラストは必見だ。

石渡「今回初めてミュージカル座さんで、作曲をさせていただいていますがハマナカさんをはじめ、劇団員の方、スタッフの方、キャストの皆様の力をお借りし、試行錯誤を繰り返しながら、挑戦をさせていただいています。関東大震災や第二次世界大戦、今ではコロナ禍という、それぞれの時代の困難に対して希望を持ち、乗り越えていくという姿勢を音楽で表現できたらと思います。言葉では表せない感情や思い、景色や匂いまでも音に乗せることで表現できると思っていて、それが音楽の素晴らしさだと思います。聴いた方にそういう感情や景色を想起させるような音楽を作りたいと思っています」

(取材・文:小笠原大介 撮影:佐藤雄哉(平賀スクエア))

異世界転生!? 架空の世界で生きられるならば、どんな世界に住んでみたいですか?

小林風花さん
「なんか小さくてかわいいやつになって、歌ったり踊ったり、美味しいものを食べながら暮らしたいです。と思ったけれど、彼らもいろいろな苦労をしているので(笑)。私も日々のちょっとした幸せを楽しみながら、まだまだ今世で頑張りたいと思います!」

森田浩平さん
「ありふれていますが、やっぱり未来世界かな。子供の頃によくテレビでみて憧れていたのは、ほとんどが近未来で活躍するヒーロー。ただ、もう自在に空を飛びまわったり戦いまくったりする歳でもないので、ちょっと楽に動けるように、少しだけ重力の小さい未来世界に住んでみたいですね」

宮下舞花さん
「音楽に溢れた世界。自然がいっぱいの中で、そよ風もメロディに聞こえたり、木々たちが合唱していたり、鳥の鳴き声も歌に聴こえるような……そんな世界に行ってみたいです。人同士お話する時も音楽、歌。ポップオペラの世界が好きなのも、そういう憧れがあるのかもしれないです。そんな異世界に行けたらどれほど楽しいかしら……と思うだけで笑顔になってしまいました」

石渡裕貴さん
「僕はハリーポッターシリーズなど、ファンタジーな物語が好きで、願いが叶うのであれば、魔法が使える世界に行ってみたいです! 杖を使って物を動かしたり、魔法生物と触れ合ったり、空飛ぶ車に乗ったり、やってみたいことは沢山です(笑)」

プロフィール

小林風花(こばやし・さやか)
1991年生まれ、埼玉県出身。2004年のデビュー以来ミュージカルを中心に30作品以上に出演、近年は歌唱指導としても活動。『レ・ミゼラブル』、『ミス・サイゴン』、『ナイツ・テイル-騎士物語-』他多数出演。

宮下舞花(みやした・まいか)
1993年生まれ、神奈川県出身。2015年、アイドルグループ「放課後プリンセス」のメインボーカルとして活動。2021年3月よりソロ活動に専念。同年7月、ミュージカル『ひめゆり』に、ふみ役で出演。

森田浩平(もりた・こうへい)
1959年生まれ、福岡県出身。ストレートプレイからミュージカル、ポップオペラ作品などの舞台に幅広く出演。今回、物語の要となる染谷家の主・染谷上史郎を演じる。主な出演作品『レ・ミゼラブル』、『エリザベート』、『モーツァルト!』など。

石渡裕貴(いしわた・ひろき)
1992年生まれ、群馬県出身。5歳よりヤマハ音楽教室にてエレクトーンを学ぶ。国立音楽大学演奏学科鍵盤楽器専修(電子オルガン)を卒業。テレビ朝日「サンデー!スクランブル」のオープニングテーマやショー音楽を手掛けるほか、鍵盤奏者としてライブ活動も行う。

公演情報

ミュージカル座 3月公演『東京ミュージカル』

日:2023年3月8日(水)~12日(日)
場:IMAホール
料:OEN席[プログラム付応援席]11,000円 SS席8,500円 S席7,000円(全席指定・税込)
HP:https://musical-za.co.jp/
問:ミュージカル座 tel.048-825-7460

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