2007年に本屋大賞を受賞した、佐藤多佳子の長編小説『一瞬の風になれ』。陸上競技にかける高校生たちの青春ストーリーが、漫画化・ドラマ化を経て、この秋初めて舞台化される。主人公は、天才的なサッカーセンスの兄を持つ神谷新二。兄の背中を追いかけてサッカーを続けていた新二だったが、高校に入学し、陸上部に入ることに。だが一緒に入部した幼なじみも実は天才的なスプリンターで……。めったにいるはずのない〝天才〞に囲まれながらも、新二は陸上競技へのひたむきな想いを胸に走り続ける。
そんな新二を演じるのは、今夏、ミュージカル『テニスの王子様』で舞台初出演を果たしたばかりの富本惣昭。今回、初主演を務めるにあたって「舞台経験の浅い自分が主演を務めるのは難しいことだと思うが、置かれた場所でどれだけ成長できるか、ただひたすら考え行動して、上を目指して挑戦していきたい」と、その意気込みを語る。
「僕も高校時代、中学まで続けていたサッカーを辞めてしまい、何かに夢中になったり、打ち込むことがないまま過ごしていました。そんな時、今の事務所からスカウトしてもらい、遂にやりたいことが見つかったんです」
俳優という仕事に夢中になって取り組む富本と、陸上に魅せられ、ただひたすら「速くなりたい」と走り続ける新二。2人の姿勢はどこか重なる。
「でも、プレッシャーで緊張しすぎるところは似てますね(笑)。自分もオーディションや本番前はお腹が痛くなりますから」
そう謙遜しつつも、「凄く楽しみ」、「ワクワクが止まらない」と、緊張やプレッシャーよりも、舞台に立つ喜びが遥かに勝る言葉が飛び出す。
「演じるのではなく、その人物になりきる。富本惣昭のカケラが微塵も見えず“神谷新二がトラックの上にいる!”お客様にそう思ってもらえるように頑張ります。今回は、初めて共演させていただく方もたくさんいらっしゃいますが、舞台をより良くするためにたくさん語り合うことが楽しみの1つです!」
走り続けた先に何があるのか。それは誰にも分からない。それでも、だからこそ、彼らは走り続ける。勝ち負けを超えた、何かを目指して――そんな青春の輝きを体現する富本惣昭の初主演舞台。がむしゃらに上を目指す彼の姿は、見守る観客にもまた走り続ける力、再び走り出す力を与えてくれるに違いない。
(取材・文:前田有貴)
プロフィール
富本惣昭(とみもと・そうしょう)
2002年7月21日生まれ、東京都出身。2021年の夏に、ミュージカル『テニスの王子様』4th シーズン青学vs不動峰にて、青学の菊丸英二役で初舞台を踏む。その他の出演作品に、ドラマ『FAKE MOTION- 卓球の王将-』などがある。今回演じる神谷新二と同じく、自身も小学2年から中学3年までサッカーに打ち込んだ元サッカー少年。
公演情報
舞台『一瞬の風になれ』
日:2021年10月20日(水)~25日(月)
場:かめありリリオホール ※他、相模原公演あり
料:S席 特典付き11,000円 特典無し9,900円
A席7,700円
※他、学生割引あり。詳細は公演HPにて
(全席指定・税込)
HP:https://kaze-stage.com/
問:舞台「一瞬の風になれ」製作委員会
mail:kaze.stage@gmail.com