加納幸和脚本・演出の源氏物語をシャンソンと踊りで綴る意欲作 第二弾 今の花組芝居だからこそ、やれる。総力戦で挑む『シャンソマニアⅡ ~葵~』

加納幸和脚本・演出の源氏物語をシャンソンと踊りで綴る意欲作 第二弾 今の花組芝居だからこそ、やれる。総力戦で挑む『シャンソマニアⅡ ~葵~』

 『源氏物語』の原文を現代語訳と交互に音読し、シャンソンの生演奏や踊りで物語を表現する意欲的な舞台として評判の高い『シャンソマニア』。2021年11月に続編が上演されることが決定した。
 第二弾で扱うのは、第九帖『葵』。光源氏の正妻、葵の上が懐妊。それを聞いた愛人、六条御息所は心穏やかでなく、生霊となって葵の上を苦しめるように。今回は光源氏を小林大介、葵の上を北沢洋、六条御息所を谷山知宏、生霊を加納幸和が演じる。

小林「俳優人生で、光源氏を演じる日が来るとは(笑)。ただ台本を読んでみると、やはり主役はそれぞれの女性で、光源氏はスーパーサブ的な役割だなと感じたので、僕は流されていくのがいいかなと思っています」

谷山「光源氏役は大変そうだなと思っていたので、自分じゃなくてよかったと思いました(笑)。六条御息所も強烈なイメージのあるキャラクターではありますが、物語にダイナミズムをもたらす面白そうな役どころで、演じるのが楽しみです」

北沢「『桐壺』で演じた源氏の母、桐壺の更衣より、葵のほうが強い女性じゃないかなという印象です。周りの女性連中に負けていないですし、単に悲劇のヒロインでは終わらない女性でいきたいですね。またこの公演を経て、若い世代の可能性も見えるんじゃないかと思っています」

加納「そうだね。若い世代が今、この作品を体験するのは、劇団として有意義なこと。全員で作っていかないと成立しない作品なので、貴重な機会として大事に稽古していきたい」

 多種多様な要素を盛り込んだ本作に臨む意気込みを!

小林「ウチのお客さんは、『よくわからないけれど、なんだか楽しそうで、それがいい』と言ってくださることが多くて。そんなふうに、僕自身が楽しめるところにいけたらいいですね」

谷山「この作品がなければ、シャンソンを歌う機会はなかったと思うので、嬉しいです。シャンソン仕立ての芝居というのも滅多にないですし、皆さんの心に残る面白い公演になれば」

北沢「芝居をきっかけに、源氏物語に近づいてもらえたら。観る人を、日本を代表する魅力的な平安絵巻に引き込みたいです。花組のパッション、花組“力”が出る作品になるはず!」

加納「劇中のシャンソンは、ちょっと変わった曲を多く選んでいます(笑)。我々と演奏者の皆さんとのセッションにも、ぜひご注目ください」


(取材・文:木下千寿 撮影:平賀正明)

近頃日本でも定番イベント化したハロウィン。「一度はやってみたい!」「過去やったこれはハマった!」「これは見ていて面白かった!」という仮装を教えてください。

加納幸和さん
「花組芝居の場合、毎公演ハロウィンの仮装をしているようなものなんで、特にやりたいものはないですね。1992年『薔薇西遊譚(つたえきくベルサイユのものがたり)』では、ベネチアのカーニバル張りに、全員豪華なコスチュームで登場したし……。あえて選ぶなら、昔からの定番“ショッカー”ですね。カッコ良いようで、お惚けで、哀愁まで漂わせるあのキャラクター! 花組芝居総ショッカーで、渋谷でなく銀座辺りで騒ぎたい!」

北沢洋さん
「アラカタ還暦の私としては、クリスマスやバレンタインなら兎も角、ハロウィンは興味津々ですが、まだ入り込めていません。
 仮装の発想の素晴らしさと陳腐さで思い出すのは映画『ベスト・キッド』の中のパーティーシーンで、丸い1m程のリングにカーテンを吊り下げたお手製“シャワールーム”。当然シャワーヘッド付きです。
「いいなあ、バカやりたい」
 思えば役者稼業自体、非日常の仮装パーティーですね。メイクをして衣裳をまとい鬘をかけ小道具を携え音を流し明かりにあたる。そして役どころという鎧を身に付ける。
「ああ朝までパーティーしてたいなあ」」

小林大介さん
「光源氏ではなく光GENJIになってみますか。デニムのノースリーブ、デニムの短パン、長めの鉢巻にローラースケート……そう、1980年代のアイドル光GENJI。小学生の頃ローラースケートを履いて真似したものです。初めて買ったCDは光GENJI。その頃はまだ日本にハロウィンを祝う習慣は無かった。あれから30数年。まさか光源氏を勤めることになろうとは」

谷山知宏さん
「ハロウィンは正直恥ずかしいので、全然やりたくない(笑)。子どもがハロウィンで仮装しているのはカワイイけど、大人の人が仮装して、道にいっぱいいるのはコワイから行きたくない(笑)。もしハロウィンで仮装するとしたら、もういっそ、欽ちゃんの仮装大賞に花組芝居で応募してやりたい。しかもちゃんと稽古して」

プロフィール

加納幸和(かのう・ゆきかず)
1960年1月25日生まれ、兵庫県出身。『ザ・隅田川』にて、花組芝居を旗揚げ。以降、劇団で上演するほぼ全作品の脚本・演出を手掛け、役者としても出演。外部作品にも役者・演出家・脚本家として多く携わる。また、大学・カルチャースクールの講師としても活動。

北沢 洋(きたざわ・よう)
1963年7月9日生まれ、埼玉県出身。1990 年、『いろは四谷怪談』より花組芝居に参加。劇団公演のほか外部作品への出演、アニメーション作品や映画の吹替など、声優・ナレーターとしても活躍。

小林大介(こばやし・だいすけ)
1977年7月29日生まれ、神奈川県出身。2005年、『ゴクネコ』より花組芝居に研修生として参加し、2006年、『ザ・隅田川』より正式に入座。劇団公演では中核として作品を担い、客演も多数。

谷山知宏(たにやま・ともひろ)
1981年11月9日生まれ、大阪府出身。2006年、『ザ・隅田川』より花組芝居に研修生として参加。2007年、『かぶき座の怪人』より正式に入座し、以来、全作品に出演。外部作品への出演も多く、精力的に活動中。

公演情報

花組芝居 『シャンソマニアⅡ ~葵~』

日:2021年11月26日(金)~12月5日(日)
場:あうるすぽっと
料:一般6,500円
  U-25[25歳以下]4,000円 ※要身分証明書提示
  ※他、割引あり。詳細は団体HPにて
 (全席指定・税込)
HP:https://hanagumi.ne.jp/
問:花組芝居 tel.03-3709-9430

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