バレエやダンス、演劇・ミュージカル、音楽などの舞台公演でビデオ撮影を担当する舞台映像カラーズ。演劇界でも作品への愛情が感じられる撮影をすることで、多くの劇団やプロデューサーに頼られている存在。そんな彼らが公演を打つことになった。撮る側から撮られる側へ、といっても社長以下スタッフやカメラマンが演劇に挑む訳ではなく（まあ、それはそれで面白いかも知れないけれど）、これまでに培ったネットワークで演劇作品をプロデュースするという。
その第1回作品に選ばれたのは、「お客様に声を出して笑ってもらう！」ことを目標とする演劇集団イヌッコロの第2回公演で、2010年に初演された『苦闘のラブリーロバー』。演出は、イヌッコロのメンバーである俳優・牧田雄一。そして主演には、!ll nut up fam（イルナップファム）の藤代海が選ばれた。作品に挑む牧田と藤代に話を聞いた。
―――舞台映像カラーズ主催公演の第1弾ということですが、そもそも代表の松林正登さんが牧田さんに相談されたとか。
牧田「松林さんとは、もともとただの友達として付き合いが始まり、もう長いんです。そのうち松林さんがビデオの仕事を始められて、イヌッコロも何本か撮影してもらっています。そんな付き合いの松林さんから相談を受けました」
―――それが今回の公演に結びつくと思うのですが、何故『苦闘のラブリーロバー』を選んだのでしょう。
牧田「松林さんと話し合って決めましたが、彼も作品を観ていますし、時期とか劇場の規模などを考えてこの作品を選びました。クリスマスが出てくる作品なので、年末の公演には合うんです」
―――キャスティングは？
牧田「キャスティングは松林さんが主導で決めました。出演者は全員初めてなんです。でも不安よりワクワク感が強いですね」
―――ということは藤代さんも“初めまして”ですか？
藤代「ええ、牧田さんには先ほどご挨拶しました（笑）。メンバーもほとんど初めての方ですね。でも僕もワクワクしていますし、台本を読んだら更にその気持ちが高まっています」
―――お二人ともこれまでのキャリアはコメディ中心ですか。
藤代「コメディは多いです。参加している劇団 !ll nut up famがコメディ中心ですし、自分自身も好きですね」
牧田「うちもコメディしかやっていないです。作家の佐野瑞樹がやりたい作品をやろう！と仲間内で始まった劇団なんです。僕は後から入りましたけれど。佐野の作品はシチュエーションコメディ志向でそれしかやっていません」
―――既に台本はある訳ですよね。
牧田「ええ。でも初演は2010年ですから、それ（文化的背景）を2022年にすると無理がでるので、無理に置き換えないことにしました。あと今回、僕にとって初めての演出なんです。松林さんに誘われたのと、丁度コロナ禍で役者の活動を抑えていた時期なので、やってみたくなりました」
―――台本を読んでの印象は？
藤代「率直に面白いです。ワンシチュエーションで、主役の泥棒が巻き込まれていくという。僕自身は振り回す側の役が多いので、こうした振り回される側は挑戦でもあります」
牧田「イヌッコロ作品歴代主役の中でも、結構大変な主役ですよ、これは（笑）。やりがいはありますね。劇場で大汗かいている藤代さんが観られると思います（笑）。シチュエーションコメディの面白さが詰まっている作品なんです。ひとつのセットに演者が入れ替わり立ち回って進んで行く。
僕自身この作品に出会ってイヌッコロに入りたいと思った作品だし、それだけに自分が演出するのは感慨深いですね。僕も主役をやったことがあるからこそいろいろ思う部分もあります。初めて舞台を観る方には凄く見やすいし楽しめると思います。自信を持って言えますね」
藤代「僕がコメディをやる上でとても大切にしているのは、どれだけ真面目にやるか、なんです。笑わせようとするのではなく真剣にやればやるほど滑稽に見える。常にそれを意識していますね」
牧田「真面目に放つ台詞がシチュエーションと相まって面白くなるというのがシチュエーションコメディの醍醐味だと思います。なんだか安心しました」
藤代「後はともかく僕が一生懸命に振り回されて、乱れる姿を観に来て欲しいですね（笑）」
（取材・文＆撮影：渡部晋也）
プロフィール
牧田雄一（まきた・ゆういち）
富山県出身。声優の専門学校を経て、演劇集団イヌッコロに参加。劇団作品のほとんどに出演しているほか、自身がプロデュースするマシン企画でも活動を展開している。
藤代 海（ふじしろ・かい）
北海道出身。ハンドボールの実業団チームで活躍の後、俳優の道へ進む。劇作家・演出家の朱木雀空とともに、!ll nut up fam（イルナップファム）を旗揚げ、現在に至る。
公演情報
BUTAIEIZO COLORS 8TH ANNIVERSARY
COLORS THEATER VOL.1
『苦闘のラブリーロバー』
日：2022年11月22日（火）～27日（日）
場：テアトルBONBON
料：【劇場】前売5,000円
当日5,500円
（全席指定・税込）
【配信】3,300円
※Confetti Streaming Theaterにて
11/24より配信（税込）
HP：http://butaieizocolors.com/
問：舞台映像COLORS
mail：i@butaieizocolors.com
