「この先の活動に希望が持てる自由な作品作りを」 結成20周年! 劇団鹿殺しはランボルギーニに乗り込む

「この先の活動に希望が持てる自由な作品作りを」 結成20周年! 劇団鹿殺しはランボルギーニに乗り込む

 劇団鹿殺しの20周年記念公演にして3年ぶりの新作は、現実と妄想の世界が混ざり合う異色作だ。

 「少し前に、(松島)庄汰が『丸さんが描くしっかりした家族物を観てみたい』とLINEをくれたんです。それで、昔のことや家族のことを思い出すうちにこの物語が生まれました」と丸尾丸一郎は語る。

 主人公のテルオは、自分を守るために“明後日”と呼ばれる妄想の世界に引きこもってしまう少年だ。友人の水死体を発見したことを機に、彼は“明後日”の世界でランボルギーニに乗り込む。

 テルオを演じる松島は「20周年という記念の場に混ざって、みなさんと芝居ができることが楽しみです。丸さんとがっつり絡むのも初めてで非常にわくわくしています!」と顔を輝かせる。

松島「テルオという不完全な人間が成長する姿をしっかり見せることが大事なのかなと思っています。もともと僕はネガティブで、ひとりで考え込んで役作りをするタイプ。でも今回は大好きな鹿殺しさんの舞台なので、固くならずに稽古場で感じたものを表現していきたいと思っています。良い意味で適当な演技ができるように、成長したいです」

 一方、「本当、よく20年も続いているな」と笑うのは、座長の菜月チョビだ。

菜月「私と丸さんがやりたいことはどれもすごく大変です。『まだ鹿殺しを必要としているか?』とお互い見つめ合いながら、1年、1年、信じてきた感じです。だから10周年や15周年のときはつい気合が入って、お客さんに鹿殺しの集大成をお見せしなければと自分でプレッシャーを与えすぎていました。今回はこの先21年、22年と続けることに希望が持てるような、自由な作品作りができれば面白いなと思っています」

 20年を経てもなお勢いの止まらない劇団鹿殺し。その新たな一歩を、そしてランボルギーニの行方を、ぜひ劇場で目撃したい。

丸尾「プロットには『不完全な人間』という言葉があります。最近はミスが許されない時代になりすぎている印象ですが、人間というのはどうしても足りない動物。そのことを認め合うための道を自分たちでも感じられたらいいなと思っています」

菜月「“暗いヤツだな”と思う人の頭の中にもすごく自由な世界が広がっていて、その世界にしかない翼があるんだと思えたら、一緒に飛べるかもしれない。そんな救いあるポジティブな妄想をしたいです」

(取材・文:いつか床子)

プロフィール

菜月チョビ(なつき・ちょび)
劇団鹿殺し座長・演出家・女優。2000年1月、関西学院大学在学中に丸尾丸一郎と劇団鹿殺しを旗揚げし、全作品で演出と出演を担う。2021年~2022年を「劇団鹿殺し20 周年YEAR」と銘打ち、昨年『キルミー
アゲイン’21』を上演。外部作品の演出にも精力的に携わる。近作に歌劇『桜蘭高校ホスト部』など。

丸尾丸一郎(まるお・まるいちろう)
劇団鹿殺し代表・作家・演出家・俳優。劇団鹿殺しのオリジナル作品の全脚本を担う。2010年、10周年記念公演『スーパースター』が第55回岸田國士戯曲賞にノミネート。外部活動も多く、近作に『家庭教師ヒットマンREBORN! the STAGE』など。小説の執筆など多岐に渡り活動中。

松島庄汰(まつしま・しょうた)
2009年に上京し俳優活動を開始。2014年夏、中国で話題の連続ドラマ『武則天-The Empress-』出演を皮切りに、2015年タイの一大プロジェクトドラマ『kimono 秘伝』に出演するなど活躍の幅を広げた。近作に、浪花節シェイクスピア『富美男と夕莉子』。丸尾との創作活動は本作で4度目となる。

公演情報

劇団鹿殺し 活動20周年記念公演 vol.2『ランボルギーニに乗って』

日:2022年7月8日(金)~18日(月・祝) ※他、大阪公演あり
場:あうるすぽっと
料:パンフ・台本付 9,000円 パンフレット付 7,900円 台本付 7,900円 前売券6,500円
  ヤング券[22歳以下] 4,000円 ※他、プレミアムシートあり。詳細は団体HPにて(全席指定・税込)
HP:https://shika564.com/20th/
問:株式会社オフィス鹿 tel.03-6265-8518

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