創立1周年を迎えた演劇企画集団PAT Company  第2弾作品はミュージカルとミステリーでミュステリー!?

創立1周年を迎えた演劇企画集団PAT Company  第2弾作品はミュージカルとミステリーでミュステリー!?

昨年の夏、原田優一、オレノグラフィティ、小柳 心、鯨井康介で立ち上げた演劇プロジェクトチーム「PAT Company」。創立1周年を迎え、早くもオリジナル作品第2弾ミュージカル『眠れぬ森のオーバード』を上演する。「ミュージカル」と「ミステリー」を掛け合わせた「ミュステリ―」という新ジャンルとは!? 作品を代表して、音楽と出演も担うオレノグラフィティと、初参加の椎名鯛造に話を聞いた。


事件が解決した現場の夜から朝まで何をしているのか、を書きたくて

――――パトカン初参加の椎名さん、発表から生放送などに参加され、とても反響があったと思います。パトカンの印象は?

椎名「パトカンの皆さんは各々の才能が突出していると感じています。オレノさんは音楽の才能を遺憾なく発揮して、それぞれがそれぞれの得意分野の才能を大いに引き出し合っているカンパニーですよね。そんな方々と一緒にやっていると俺には一体何があるんだろうとすごく考えさせられて、とても刺激になります。本番までもっともっとたくさんの勉強ができるだろうなあと感じています」

オレノ「何をおっしゃいますか! 鯛ちゃんとはおよそ2年ぶりの共演ですね。もともと『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGEで僕が音楽を担当してからずっと、いつかご一緒したいと思っていた中、劇団鹿殺しでご一緒して。また共演したいと思っていたら今回叶いました。実は僕が名前を上げたのではなく演出の原田さんから椎名くんはどうかと提案があり、プロデューサーの鯨井さんも是非! 鯛ちゃんなら間違いない!と。
座組にひとりいてくださるだけで本当に真ん中をどっしりと埋めてくださって、作品のクオリティー全体を上げてくださり、物語に深みを持たせてくださるし、座組の空気も良くしてくれて、自分では分かってないかもしれないけど、最高の方なんですよ」

椎名「そんなんじゃないですよ。そうなれるように頑張ります!」

――――前作からがらりと雰囲気が変わった本作ですが、脚本の小柳さんの着眼点がとても面白いと思いました。更に「ミュステリー」という新ジャンル。お2人が感じた作品の魅力は?

椎名「僕は最初ミステリーと聞き、怖いのかなぁ、おどろおどろしい音楽があるのかな、と想像していましたが、始まったらポップなところもありつつ歌でこういう表現できるんだと、ミステリーなのにちょっと笑えるんです。歌にのせて面白い感じに仕上がっているところがあって、ミステリーだけどちょっと心があたたまる、難しく考えすぎずに観ることができる作品だなと感じました」

オレノ「ミュステリーって語感もちょっと間抜けですよね。確か配信の中で生まれてきた造語ですね。この作品は前作の楽屋で鯨井さんと心さんと3人で話していた時、心さんが前からあたためていて『事件が解決した現場の夜から朝まで何をしているのか、を書きたくて』と。それは面白い、シチュエーションコメディやいろんな要素が組み込めるんじゃないか、というところから始まりました 。蓋を開けてみたら意外と難しくて、世間の方がやられない理由がわかりましたね(笑)。でもミステリーの難しい部分を音楽で描いていけるので、今うまく噛み合ってきたところです」

――――事件の現場にいなくてはいけない辛さと、解決してホッとした安心感と、色んな感情が入り乱れている場所ですよね。

オレノ「最初は、やることがないから暇を潰すしかないね、と言っていたんですけど。今は、今までのミステリーの王道を覆す瞬間が何度かあるんじゃないかと思っていますね」

ファン目線を大事にしています

――――助手のワトウ役を演じるのは、蝶ネクタイ姿の椎名さん。

 椎名「相方は“ホ”から始まる人で、僕は“ワト”から始まる人。ミステリーと聞くと思い浮かぶキャラクターはひとつ(笑)。ホムロの優秀な助手でありたいと、そこをまず意識して演じていきたいです。ビジュアルは割と可愛いらしくて、そこがどう物語に関わってくるのか。また助手といえば敏腕からポンコツまで色々考えられますので、それは本番までお楽しみにしていてください」

――――そして鯛造さんと言えばアクション、今作では?

椎名「ミュステリーなのでね(笑)。所狭しと動き回るかもしれないですし、これから増える可能性は十分ありますね」

オレノ「パトカンの特徴なのですが、稽古場でどんどん増えていくんですよ。あと配信の時にお客様から頂いた意見も反映されやすいですよ! 社員(ファン)の皆さんとの企画会議ですから、鯛ちゃんのこういう所をもっと見せた方が?とリクエストいただけたら採用されるかもしれないですね」

――――パトカン的に出演者の意見もどんどん吸い上げていく稽古なのですか?

オレノ「なごやかな雰囲気の稽古場で、まずぼくらも楽しむことを一番大切にしているので、自然と、こんなことはできますか?とファン心理的に聞くことはありますね。曲を書いている時もこの人にこういう歌をうたって欲しい!から入って行くことが多いので、こういう鯛ちゃんを観たいとか、ファン目線を大事にしていますね」

――――そしてオレノさんは出演もされます。ミキ役について謎の美女風ですが、どんな役になりそうですか?

オレノ「本当に謎の美女風にやろうと思っています(爆笑)。前作にも同じ名前のミキ役で出演しまして、本編の中でも男性か女性か触れてはいなくて、今回もきっとそうなるのではと思っています。ビジュアル撮影はノリノリでしたね(笑)。スタッフさんが綺麗~綺麗~と、とても上手に乗せてくれました」

――――前作のミキと今作のミキは同一人物なのですか? パトカン作品の名物キャラになりそうです。

オレノ「たぶんパラレルなキャラクターだと思います。いつかスピンオフができたらいいですね!」

――――楽しみにしております! そして椎名さんは、鳥越さんとの共演についても話題です。

椎名「鳥越くんと昔共演した時、ミュージカルではなかったんですけど本編の最後に全員で歌うシーンがありまして、わりと上手い方が多いカンパニーで。地方公演に行った時に若者達でカラオケに行き採点ゲームをしてみんな90点以上を出している中、僕と鳥越くんだけ低めの点数を争っていたんです(笑)。そして時が経って彼も色んなミュージカルに出演して、風の噂ですごく歌が上手くなったと聞いて驚いて。
 そんな低次元のライバルと今回共演することになり、歌稽古がはじまったら本当に上手くなっていて、『そんな高音出てたっけ?』みたいな。ここ数年の彼の成長を凄く感じることができて、またそれが舞台上でお芝居と重なり合ってミュージカルでどうなるのかすごく楽しみですし、刺激ももらえそうです。更に他の共演者の方々もとにかく歌がお上手で素晴らしいので、そこは楽しみですし見どころですね」

楽譜をいっぱいいただき驚きました

――――音楽について伺いますが、前回初めてミュージカルを手掛けることで色々な想いがあったと思います。挑戦や楽しさなど手応えはいかがでしたか?

オレノ「前回の公演は音楽劇とミュージカルの違いをあらためて意識させられる公演でした。前回は1枚のアルバムを作るようなイメージで制作していましたが、今回はさらにもうひとつ前に進んで、一つのおとぎ話を彩るイメージで作っています。
 前回は音楽が入ることによってキャラクターの心情がわかったり、話をブースト(引き上げる盛り上げる)させるイメージでしたが、今回は音楽で話を進めるミュージカルの基本の部分を強く意識しています。心さんとも『この歌詞にこの音で伝わるだろうか、歌詞カードを見ない状態で音で言葉を聞いた時に意味が伝わるだろうか』と綿密にお話ししながら。例えば10ページ分の情報量を1曲で進めてしまうとか、皆様のお力を借りてできそうな気がするので、とても楽しみですね。
 ミュージカルが好きな方が観ても満足していただけるような形に。またミュージカルが苦手な方が観た時には凄くポップな曲で、音楽単体で聞いてもおもしろいなと思ってもらう部分は残ししつつ作っています」

――――上演が終わってからも頭に歌が残って歌いながら帰路につけるのもミュージカルの醍醐味ですよね。

オレノ「覚えて歌いながら帰ってほしい楽曲がいくつかあるので、楽しみにしていてください」

椎名「普通お芝居では相手のセリフを聞いて返すキャッチボールをしていますが、それが今回歌で表現されているんです。例えば『◎◎だろ?』『ちょっと待って!』が歌になっている箇所があって。リズムをとらなければいけないし、ちゃんと感情を乗せなければいけない、それが僕の中では難しくて、でもそう思いつつすごく楽しくて!お客様もきっと楽しめると思いますよ」

――――ワトウの楽曲についてテーマや今言えることは?

オレノ「鳥越さん演じるホムロは椅子に座って動かないイメージですが、ワトウはホムロの代わりに先回りして動いていくような人間と思っていて。どのナンバーにもちょろっと顔出してはキーになる部分をグッと歌って帰っていくようなイメージがあります。結果一番難しいところを鯛ちゃんにお願いしてしまっていますね。
 『ちょっと待って』と入って掛け合ったり、誰かに寄り添ったりすることもあれば、ソロナンバーももちろんあります。鯛ちゃんが持つ“全ての人の士気を上げてくる”ところを随所に使いたいなぁと思っていたので、結果色んな所で唄って全身使ってもらいます」

椎名「楽譜をいっぱい頂きまして驚きました(笑)」

歌の持っている力、人間が発する声のパワーってすごい

――――最後に作品の「朝までどうする?」にちなんで、夜更かしでよくあること、やりがちなことを教えてください。

椎名「俺はダメだなって思いつつポテチとかを食べちゃいますね。この時間に食べていいのかなって思いながら開けちゃっています。そして半分だけと思いながらいつのまにか空に、ありますよね(笑)。夜更かしは小腹が減るんでね、ありがちです」

オレノ「僕は床で寝ることですね」

椎名「え! 疲れ取れなさそう」

オレノ「ずっと作業して、フラッと下にあるクッションにそのまま(倒れ込み)床に寝てる(苦笑)。昔は床が固いからイテテと起きてまた作業してましたが、最近は平気になってきて朝になってることが多いです」

椎名「力尽きてる」

オレノ「(笑)。冗談抜きに怖くなってきたので、改善しないと……とは思っています」

――――お身体にはご自愛ください! ではお誘いのメッセージをお願いします。

オレノ「なかなかお友達を誘って劇場に来にくいご時世ですが、何も考えずに観られるミュージカルになっているので、気楽にフラッと来ていただけたらと。とはいえ、今作ではある種の重いテーマを残しています。いま観て頂きたい、いま自分が観たいものを作っているので、是非皆さんにも観ていただいて、その感覚を共有できたら」

椎名「まさに今、歌の持っている力、人間が発する声のパワーってすごいなぁと感じる日々を過ごしています。劇場でご覧いただける皆様には、この迫力を体感していただきたいと思います。いつか皆様が気軽に劇場に来られるように願っています」

(取材・文&撮影:谷中理音)

プロフィール

椎名鯛造(しいな・たいぞう)
1986年6月17日生まれ、岐阜県出身。
舞台を中心に映画やドラマなど多くの話題作に出演している。代表作に『最遊記歌劇伝』シリーズ、舞台『 刀剣乱舞』シリーズ、『 家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE、斬劇『戦国BASARA』シリーズ、舞台『 弱虫ペダル」』シリーズなどがある。

オレノグラフィティ
1984年12月6日生まれ、兵庫県出身。
俳優、作曲家。2004年劇団鹿殺しに入団、2019年まで全ての劇団鹿殺し本公演に出演。舞台を中心に小劇場から大劇場まで出演し、時には生演奏もこなす。近作に2021年、舞台『容疑者Χの献身』、8月には舞台『One Night Butterfly』(音楽)、9月には『バクマン。』THE STAGE(出演)が控えている。

公演情報

PAT Company ミュージカル『眠れぬ森のオーバード

日:2021年8月19日(木)~29日(日)
場:オルタナティブシアター
料:8,500円(全席指定・税込)
HP:https://www.marv.jp/special/pat_company/
問:公式HP内(マーベラス ユーザーサポート)よりお問合せください

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