小島聖と田代万里生が初共演。ピューリッツァー賞受賞の話題作に挑む 最愛の息子を失った夫婦。同じ痛みを持ちながら二人の心はすれ違いーー

小島聖と田代万里生が初共演。ピューリッツァー賞受賞の話題作に挑む 最愛の息子を失った夫婦。同じ痛みを持ちながら二人の心はすれ違いーー

 ピューリッツァー賞戯曲部門での受賞作として注目を集めた『ラビット・ホール』が、この冬、KAAT神奈川芸術劇場で上演される。最愛の一人息子を事故で失ったベッカとハウイー夫妻。悲しみを抱えつつ前へ進もうとするハウイーに対し、ベッカは息子の面影に囚われ続けていた――。

 本公演ではベッカに小島聖、ハウイーに田代万里生が扮し、篠﨑絵里子による上演台本と小山ゆうなの演出で、すれ違う夫婦の心情を描き出す。

小島「痛みを乗り越えようとする人たちの価値観の違いが現実味をもって描かれている。私も子どもがいるので、台本を読んでドキっとしました」

田代「台詞のみの純粋なストレートプレイも初めてなら、ハウイーのような役を演じるのも初めて。小島さんとはまた違う意味でドキドキしています(笑)」

 二人は今回が初共演。夫婦の関係性を現場で一から築き上げていく。

小島「私は事前に役を作り込むというより、わりと人任せ(笑)。万里生さんの雰囲気や声のトーンを受けて、やっと自分も動き出す感じです」

田代「僕も相手の様子を見て動き出す方なので、お互い同じタイプの場合はどうすればいいんでしょうね(笑)。でも演出によってもまた変わるので、稽古場で作っていきたいと思います」

 舞台での確かなキャリアを持つ二人に、新たな作品と出会う醍醐味を聞いた。

田代「作品との出会いで大事にしているのが今の自分の年でやる意味。ミュージカルは劇的な部分がまず描かれるけど、この話は息子が亡くなった後の静けさから始まる。自分と同年代の役でもあり、等身大で日常の微妙な揺らぎを演じるのは大きな挑戦です」

小島「物語の中の一行でもいい、一つでも何かいいなと思える作品に惹かれます。この物語は単なる悲劇ではなく、喪失が人生の一つの出来事として日常に落とし込まれていく。決して重苦しくなく淡々と時間が過ぎていて、そこに魅力を感じます」

 同じ痛みを抱えつつ、綻び始める夫婦の絆。その先に待つ結末は――

田代「ミュージカルでは絶対にないラストシーンで、どうやって時を過ごしたらあそこに辿り付けるかが今の課題。お客様と同じ空間で、あの結末を迎えられたらと思っています」

小島「生きていれば色々なことがあり、それをどう共有していくか。力を抜いて、何でも吸収できるような柔らかさで舞台に臨みたいと思います。是非劇場にいらしてください」

(取材・文:小野寺悦子 撮影:久家靖秀)

プロフィール

小島 聖(こじま・ひじり)
 東京都出身。1989年、NHK大河ドラマ『春日局』でデビュー。1999年、映画『あつもの』で第54回毎日映画コンクール女優助演賞を受賞。コンスタントに映像作品に出演する一方、舞台女優としての評価も高く、話題作に多数出演し新たな魅力を発揮している。
 主な出演作として、ドラマ『ファーストクラス』、『FOLLOWERS』、映画『シーサイド・モーテル』、『続・深夜食堂』、舞台『GS近松商店』、『海の風景』、『DISGRACED/ディスグレイスト―恥辱』、『この熱き私の激情』、『誤解』、『往転』、『もしも命が描けたら』などがある。

田代万里生(たしろ・まりお)
 東京藝術大学音楽学部声楽科テノール専攻卒業。3歳からピアノを学び、7歳でヴァイオリン、13歳でトランペット、15歳からテノール歌手の父より声楽を学ぶ。2003年『欲望という名の電車』で本格的にオペラデビュー。その後2009年『マルグリット』でミュージカルデビューを果たし、数々の舞台で活躍。第39回菊田一夫演劇賞受賞。
 近年の主な出演作に『ジャック・ザ・リッパー』、『マタ・ハリ』、『スリル・ミー』、『マリー・アントワネット』、『Op.110 ベートーヴェン「不滅の恋人」への手紙』、『エリザベート』、『ラブ・ネバー・ダイ』など。12月『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』に出演。

公演情報

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
『ラビット・ホール』

日:2022年2月18日(金)~3月6日(日)
場:KAAT神奈川芸術劇場 〈大スタジオ〉
料:【一般】6,800円 平日夜割6,000円
  【U24[24歳以下]】3,400円 平日夜割3,000円 ※要証明書提示
  ※他、各種割引あり。詳細は下記HPにて
  (全席指定・税込)
HP:https://www.kaat.jp/d/rabbithole2022
問:チケットかながわ tel.0570-015-415
 (10:00~18:00/年末年始を除く)

※12月18日(土)11:00より発売開始予定

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