アンデルセン童話の代表作が今を生きる私達に伝える大切なこと 「自分の命より愛した人の幸せを願う心」これは国境のない純粋な愛の物語

アンデルセン童話の代表作が今を生きる私達に伝える大切なこと 「自分の命より愛した人の幸せを願う心」これは国境のない純粋な愛の物語

 70年以上の歴史を持つ児童演劇専門の劇団東少による毎年夏と冬の定期公演・三越ファミリー劇場。現代に通じる愛をメルヘンタッチで描き、笑顔や涙で彩った名作ミュージカルは多くの子供達の豊かな心を育んできた。2022年夏の公演はアンデルセン童話の代表作『人魚姫』。
 自らの命よりも愛する人の幸せを願った人魚姫の悲恋を通して、現代を生きる子供達に大切なメッセージを伝えてくれる。人魚姫マリーナ役にはモーニング娘。卒業後、幅広い舞台で活躍する小川麻琴。そして劇団東少の王子役として欠かせない渡辺和貴。隣国の王女を劇団東少初出演となる元AKB48の多田愛佳が演じる。3人に舞台に向けた意気込みを聞いた。

―――2022年夏休みファミリー劇場劇団東少公演(三越劇場)出演について

小川「劇団東少さんの舞台は3年前の『アルプスの少女ハイジ』で6歳児のハイジを演じさせてもらった以来になります。これまで3作品に関わらせて頂いていて、東少さんの作品は各国の名作童話を題材にしたファミリー向けミュージカルなので、シンプルだけど心にささるメッセージがいつも入っているなぁと思いながら演じさせてもらっています。そして、スタッフの方や出演者の方も揃ってアットホームに接してくださるので、自分自身もリラックスしながら毎回作品作りに取り組ませてもらってます。
 生きていく上で大切なことを作品を通して考えさせてもらえるので、子供達は勿論ですが大人の方々にもそのメッセージが伝わればいいなと思っています。
 それから、子供達はとても正直です。面白くなかったり集中力が切れると泣き出したり騒ぎ出したり、でも逆に楽しければ純粋な笑い声や歓声が素直に飛んでくるので、今回も子供達にしっかり楽しんでもらえるよう丁寧に一生懸命演じたいです」

渡辺「僕の中では毎年恒例の夏休みファミリー劇場です。今回の『人魚姫』で東少さんすべての王子役をコンプリートすることになります。
 東少さんは心が温かくなる作品に加えて、出演者も“みんなで舞台を創る”というすごくアットホームな雰囲気なので、団体に所属したことがない自分にとってはホーム的な居場所と言えますね。
 普段は女性向けの舞台出演が多い自分にとっては、幅広い世代のお客様に来てもらえる機会ですし、コロナ禍以前は公演後に握手会など、直接お客様と触れあう機会もあって、毎年夏は楽しみにしていました。
 『人魚姫』は劇団東少さんには珍しく、悲しい結末が待っていますが、決して悲しいだけではない大切な事や前向きな気持ちを教えてくれる舞台だと言えます。
 コロナ禍や戦争もあり、心がすさみがちな世情の中で、せめて舞台を観ている間は肩の力を抜いて楽しんでもらって、“今日観に来て良かったね”と思ってもらえたらなと思います」

多田「以前、劇団東少さんの『眠れる森の美女』を観劇させてもらって、すごく素敵な作品だと感じました。
 個人的にはこういう幸せが溢れる物語の作品に関わる機会がなくて、死ぬ役や殺伐としたダークな物語のヒロインが多かったので、こんなに輝かしくてファミリー向けの温かい作品に携われることで、新しい自分を発見できそうな気がします。演出の源紀さん始め、全員で公演を創り上げる劇団東少さんならではのカラーの中に自分がどう溶け込めるかが今から楽しみです」

―――本作はアンデルセン童話の代表作であり、子供だけでなく大人の心も揺さぶる人魚姫の純愛を描いた作品です。それぞれの役にどんな思いを込めて演じたいですか?

小川「人魚姫のマリーナは、最期は王子の幸せを願って自ら泡となって消えていく運命ですが、これは愛する人のことを想うが為の自己犠牲愛であり、東少さんの他の作品ではあまりないのかなぁと思います。
 子供達には少し難しいかもしれませんが、見に来てくれた子供達が成長していく中でいつか“こういう事だったのかな?”と思ってもらえるように、自分なりに作品のメッセージを伝えられたらなと思っています。また人魚姫が海の中を泳いでいるように見せるために、ローラーシューズや波を表現する波布を使った演出も見どころです。
 ただ、これまでローラーシューズを履いてステージに上がったことはなかったので、転んだりして折角の良いシーンが台無しにならないようにしっかり練習したいと思います!」

渡辺「東少さんで多くの王子役を演じさせてもらっていますが、今回は特にマリーナや王女と真っすぐに向き合うことが求められると思います。去年の『眠れる森の美女』では、割と大人な王子でしっかり考えることが求められましたが、今回の王子はすごく純粋で優しい男なので、とにかく裏が見えないように、台本を読んで感じた事を真っすぐ役に投影できればと思います。
 また演出の源紀さんが伝えたいメッセージとして、『海の中は国境がなく、誰でもどこにでも行ける自由があり、そこには争いもない』という事があります。人間のエゴによってできてしまった“境界”をすんなりと超えていく人魚姫マリーナの対極的な姿に大人も色んな事を考えさせられると感じました」

多田「ストーリーとしてはバッドエンドですが、王子が王女を選べば結果的にはハッピーエンド。王子が修道女に扮していた隣国の王女のことを自分の命を助けてくれた恩人(マリーナ)と勘違いをしてくれた幸運をただ喜ぶだけの悪い女には見えないように演じたいですね。
 この3人に共通する言葉が純粋、純愛だと思うので、自分の中の真っすぐな気持ちを貫き通したいです」

―――最後に読者にメッセージをお願いします。

小川「このご時世で皆さんが生のエンターテインメントに触れる機会が少なくなっていて、私達もなかなか大きな声で劇場にいらして下さいとは言いづらい状況が続いていますが、私達が出来ることはエンターテインメントを通して皆さんに笑顔や元気を届けることなので、観に来て下さった方にはきちんとエネルギー、メッセージを持ち帰ってもらえるようにカンパニー全体で頑張りたいと思っています。是非、ご友人やご家族みんなで見に来て頂けたら嬉しいです。劇場でお待ちしております!」

渡辺「3日間7公演ですが、全力でその時間を楽しんでもらえるように全力で取り組みます。舞台という文化を途絶えさせたくないし、東少さんという70年以上の歴史のある劇団さんなので、きちんと看板を背負って演じます。絶対に後悔させない時間にするので、是非お越しください」

多田「舞台はオンライン配信も増えていますが、やはり生で観ないと伝わらないことがあるので、リアルの素晴らしさや感動をもう一度皆様に思い出してもらえるように、私達も全力で演じさせて頂きます。皆様のご来場をお待ちしています」

(取材・文&撮影:小笠原大介)

プロフィール

小川麻琴(おがわ・まこと)
1987年10月29日生まれ。新潟県出身。2001年、モーニング娘。に5期メンバーとして加入。2006年に卒業後、ニュージーランドへ語学留学。帰国後は舞台を中心に、TV、ラジオ、イベント等様々な分野で活動。東洋大学での講師や、スマートフォンアプリのプロデュースも務める。2013年TOEIC800点取得し「小川麻琴のドラマチック・イングリッシュ」を出版。劇団東少では、『シンデレラ』『アルプスの少女ハイジ』で主演している。

渡辺和貴(わたなべ・かずき)
1985年9月13日生まれ。三重県出身。ミュージカル『忍たま乱太郎』第12弾 潮江文次郎役。『誰ガ為のアルケミスト』Last Blue 漆黒から、君ニ、ワギナオ役。『ROAD59~新時代任侠特区~』アンソニー・チェロ役他。劇団東少では、『シンデレラ』『眠れる森の美女』『白雪姫』で王子役、『孫悟空』の孫悟空役で出演している。

多田愛佳(おおた・あいか)
1994年12月8日生まれ。埼玉県出身。2006年、AKB48 第3期生オーディション合格。2009年渡り廊下走り隊デビュー。2012年HKT48に移籍。2017年HKT48卒業。2020年明治座『恋、燃ゆる』、2021年草月ホール『おおばかもの~メレンゲとわすれもの~』、浅草花劇場『ダルマ』に出演。舞台、TV、映画で活躍中。

公演情報

2022年 夏休みファミリー劇場 劇団東少公演
ミュージカル『人魚姫』

日:2022年7月23日(土)~25日(月)
場:三越劇場
料:プレミアム席[前方席・特典付]5,500円
  4,300円 ※大人・子ども同一料金
  (全席指定・税込)
HP:https://www.tohshou.jp/
問:劇団東少
  tel.03-6265-7070(平日10:00~17:30)

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