第11回せんがわ劇場演劇コンクール 受賞公演が決定! 演劇ユニット「オパンポン創造社」と演劇カンパニー「ほろびて」が新作を発表

第11回せんがわ劇場演劇コンクール 受賞公演が決定! 演劇ユニット「オパンポン創造社」と演劇カンパニー「ほろびて」が新作を発表

 せんがわ劇場演劇コンクールは、東京・調布市の次世代の舞台芸術活動者育成支援プログラムとして2010年にスタート。全国から選出された団体から、専門審査員選考によるグランプリと、一般審査員や観客投票によるオーディエンス賞などが選出される演劇コンクールとして知られている。
 この度、2021年に開催された第11回よりグランプリ受賞の演劇カンパニー「ほろびて」(東京都)と、オーディエンス賞受賞の演劇ユニット「オパンポン創造社」(大阪府)が新作を上演。5月に開催される第12回せんがわ劇場演劇コンクールと同時期に楽しめるという。ほろびて主宰・細川洋平とオパンポン創造社の主宰・野村有志に話を聞いた。

2年越しの作品上演にかける想い

――第11回はコロナ禍で1年延期になり、昨年配信中心でコンクールが開催されたとのこと、大変なこともあったと思いますが振り返っていかがですか?

細川「演劇で賞を頂いたのは初めてだったので、こういう気持ちになるんだなと自分でも驚きました。俳優賞に出演者の吉増裕士さんが選ばれたのもすごく嬉しかったですね。コンクールでは感染対策のために団体同士が直接会わないようなスケジュールを組んでいただいていました。野村さんとリアルにお会いするのは今日が初めてなんです。同じ日に上演しているのに全く顔を合わせないままだったので今日こうして会えているのが感慨深いです。他のファイナリストのみなさんともお会いしてもっとお話したかったですね。今年のコンクールは少し変わりそうなので羨ましいです」

野村「コロナ禍で中止延期などのリスクを抱えることがひとり劇団では難しい中、演劇コンクールがありました。皆さんとお会いできない環境でしたが、それはコロナへの配慮ですし、あの情勢の中では致し方ないことだったと思います。それより、ご来場下さる皆様はじめ誰もが安心して楽しめるコンクールを目指し尽力下さった関係者の皆様に感謝ですね。非常にありがたい公演でした。そのおかげで、5月のせんがわ劇場を含む東京・大阪2都市公演を打てるチャンスを頂けました。コンクールから今回の受賞公演、ありがたいです」

――色々乗り越えた本公演として、ほろびて『心白』とはどんな作品になるのでしょうか?

細川「思考停止になっている人たちのお話をコラージュ的に描けたらいいなと思っています。いろんな状況・段階の思考停止を紐解きながらじっくり覗き込むような。出演者の皆さんにはイメージをお伝えしていて、これから具体的な形にしていく所です」(※インタビューは3月上旬に実施)

――昨年のインタビューでは、外国籍の方のお話を書きたいとありました。

細川「実は昨年10月に上演した作品で描いてしまいました。それもあって今回は全面に出さないつもりではいますが、今後も扱っていきたいことでもあるので、どういう風に描くのがいいか試行錯誤しながら、国籍や思考停止、普段目に入れないようなものを、ほじくり返すじゃないけど、ああこういうものもあるよな、そういう可能性はあるよなと思える演目にしたいです。
 ウィリアム・サローヤンの『わが心高原に』という作品が今ふと思い浮かんだのですが、もしかしたらそういう方向なのかも知れません。ひとつの太い“物語”というより、普通の人々が生活していく描写を点で描きながら、見終わった時に”もしかしたらこういう事だったのかな?”と浮かび上がるような作品になるといいなって、タイトルを決めた時は思っていました(笑)。もし本番で変わっていたらすみません」

(一同笑)

――野村さんは受賞時のインタビューで思い切った作品を作ってみたいと話していらっしゃいました。『贅沢と幸福』はどんな作品に?

野村「このコロナや戦争で僕の中で幸せという価値観が変わっていきまして、それまで僕が抱いていた幸せというものの脆さ、極論言えば幻想だったという気もして。それは自己肯定感の低さからの他人と比べてみただけの幸せだったのか、みたいなものもあったり。幸せって答えはないですし、ひとつではないですよね。最終的に自分と向き合って、自分が大切だと思える物って何だろうと考えたら“家族”だったんです。さらに幸せについて考えると、子供の頃の幸せがあんなにも綺麗で、何の損得勘定なしに貰えたものは家族からの思い出が多い。家族を通して自分と向き合うお話が出来ればと思っております」

――いつもよりも出演者が多いように感じます。

野村「そうですね、7人はオパンポン創造社では最多になります。細川さんがおっしゃったように、長編と言いつつもそれぞれの家族をスケッチのよう描いていけたら。ただオパンポン創造社なので笑いのある作品にはしたいと思っています」

受賞公演は新作長編をお届け

――今回挑戦だと思っていることは?

細川「小さな、お客様がすぐそばにいるようなスペースで何作も発表してきたのでせんがわ劇場でどう届くのか、どう作品を観てもらえるのかを考えることは、ひとつの大きな挑戦かなと思っています。(ステージの)タッパの高さを活かした、身体表現も入れていきたいです。コンクールで上演した『あるこくはく』では暴力を受けている描写を象徴的な動きで表現しました。身体性はもう少し踏み込んで考えていきたいという想いはありますね」

――照明やセットなど考えることも多くなりそうです。

細川「そうですよね、スタッフさんにお任せできたらと(笑)。野村さんにうかがってみたいのですが、自分の考えをそれぞれの人に伝える時はどうしていますか。自分を中心にした線が人の数だけ増えるというか。どのくらいの曲線までは受け容れているのかなとか、純粋に好奇心で他の方にも聞いてみたくて」

野村「どうやっているのか……僕は線と捉えてないのかもしれないですね。僕は中継点なので、みんながフリーに通れるような、決定権が自分にあれば大丈夫だと思います。とは言え僕は素舞台でやるタイプなので参考にならないかもしれないです。セットや美術を組むのではなく、どれだけ引き算でできるか、なので」

細川「なるほど」

――人数が増えるとお任せが増えて分担でき、ひとりが軽くなるのでは?

細川「そうですね、そうありたいと思っています」

野村「ほろびてさんの公演でしたら、細川さんがしたいことを皆さんがくみ取って動いてくださると思います」

細川「ありがとうございます」

――野村さんにとって挑戦やこだわりは?

野村「演劇祭に出る時は短編が多くて、短編を繋げてオムニバスでリンクさせて長編として上演したことは有りましたが、1本の作品で長編を上演することが一番大きな挑戦です。もちろん外部の作演出で長編を書いていましたが、自分が出演する長編はいつぶりかと思い返したら10年以上してなかったことに気が付きました。外部に提供する時は、こういう物を書いてくださいとオーダーがあった上での作品作りですが、今回は自身の表現なので、長編に向き合うことが挑戦だと思います。
 あと、自身が表現者として成長する為に、10年ぶり長編に挑むのも勿論ですが、オパンポン創造社の本公演に初めて出演して下さる方ばかりの座組になっています。物語を書く上でこれまで出演してくれていた方々を思い浮かべる方が筆は進むでしょうけれど、そうではないことをやってみたくて。
 僕の作品に出演してくださる方は、僕がいつか自分の作品に出ていただきたい、ご一緒したい魅力をお持ちの方ばかりで、こだわったキャスティングができたと思っています。その方々と家族の話を作ることは僕の中では新鮮なのかなと」

――ご自身も出演されるので稽古は大変そうです。

野村「もともとオパンポン創造社の成り立ちが、前の事務所を辞めて仕事が無いので”無ければ自分で作るしかない”と立ち上げたので、”こんな役もできます、あんな役もできます”というプロモーションの側面もあったんです。その名残もあってか作・演出だけでなく出演することが自然なので、大変さはあまり感じたことはないです」

――では最後に意気込みをお願いいたします。

細川「お客さまは電車などに乗って劇場のドアを開けて椅子に座る……日常に観劇体験があるので、そこを切り離さずに地続きで思考が続くような作品ができたら。せっかくいただいたこの機会を最大限に生かして、驚くような作品をお届けできたらと思っています」

野村「約10年ぶりの長編なので、観に来て下さった皆さんにとって“贅沢と幸福”な時間になればと思っております」

(取材・文&撮影:谷中理音)

プロフィール

野村有志(のむら・ゆうじ)
1月17日生まれ、京都府出身。一人演劇ユニット「オパンポン創造社」の主宰・脚本・演出・役者・劇作。2004年8月、オパンポン創造社を旗揚げ。全作品の脚本・演出を務め、ペーソスと笑いを融合させ泥臭い人間模様を描くのを得意とし、会話劇を主としたストレートプレイで魅せる作品が支持されている。役者としても全作品出演。外部への出演や作演出、作品提供も多数。
 CoR ich舞台芸術まつり! グランプリ、門真国際映画祭 舞台映像部門最優秀作品賞、関西演劇祭 優秀脚本賞演出賞など多くの受賞歴がある。

細川洋平(ほそかわ・ようへい)
1978年2月14日生まれ、埼玉県出身。演劇カンパニー「ほろびて」主宰・劇作家・演出家・俳優。早大演劇俱楽部を経て作・演出を務める演劇ユニット「水性音楽」を結成し2006年まで活動。また劇団「演劇弁当猫ニャー」に役者として2000~2004年の解散までの全ての公演に参加。その後、ほろびてを設立し、演劇公演のほか音楽活動なども行っている。2021年第11回せんがわ劇場演劇コンクールにて、ほろびて『あるこくはく』がグランプリと劇作家賞を受賞。近作に、ほろびて『苗をうえる』などがある。

公演情報

オパンポン創造社 『贅沢と幸福』

日:2022年5月27日(金)~29日(日)
場:調布市せんがわ劇場
料:4,000円 ※他、各種割引・当日券あり(全席自由・税込)
HP:http://www.opanpon.jp/2022/
問:オパンポン創造社 tel. 050-5240-3066

5名限定! オリジナルグッズ(Tシャツ)プレゼント!
<申込方法>受付にて「カンフェティを見た」と申告。※チケット購入者対象・先着順

ほろびて 『心白(こはく)』

日:2022年6月1日(水)~5日(日)
場:調布市せんがわ劇場 
料:3,500円 ※他、各種割引・当日券あり(全席指定・税込)
HP:https://horobite.com/
問:ほろびて mail:hrbtooie@gmail.com

5名限定! オリジナルグッズ(ステッカー)プレゼント!
<申込方法>受付にて「カンフェティを見た」と申告。※チケット購入者対象・先着順

【共催】(公財)調布市文化・コミュニティ振興財団

調布市せんがわ劇場HP
https://www.chofu-culture-community.org/

第12回せんがわ劇場演劇コンクール
https://www.chofu-culture-community.org/events/archives/8686

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