[ゲネプロレポート]儚くも美しい生を謳歌する蟲たちの饗宴。呼華歌劇団の「天の蟲は空を飛ばず」

[ゲネプロレポート]儚くも美しい生を謳歌する蟲たちの饗宴。呼華歌劇団の「天の蟲は空を飛ばず」

両国シアターXで、呼華歌劇団の音楽劇「天の蟲は空を飛ばず」のゲネプロを観た。
本作は2024年にザムザ阿佐ヶ谷で初演され、全席満席の大好評を得た作品の再演だ。
今回は、さらに四幕のオムニバス作品としてパワーアップ。
前作の「海神別荘」が深海なら、今回の舞台は虫たちが住む深い森。
シアターXの正方形の舞台には昇降式の紗幕が張り巡らされ、その中には幻想的な森の世界が広がっていた。

生演奏の臨場感とダンスやアクションのエンタメ満載

前作と同じくオリジナルのミュージカルナンバーのほか、シャンソンやロック、ラップ、昭和歌謡調の楽曲もあり、さらにキーボードとバイオリン、フルートの生演奏も加わっていた。
ダンスもジャズやモダンダンス、アクロバティックな動きに目を奪われるものから、しっとりとした日舞まで。アクションシーンもあり、まさにエンターテイメントのフルコースで2時間飽きさせない。

第一幕はタイトルの「天の蟲は空を飛ばず」。
白く美しいカイコの周りを茶色い蛾のクワコたちが囲んでいる。それを狙うツバメ。クワコたちはツバメに怯えるが、カイコは絹を作る貴重な虫として人の手によって守られているので命の危険はない。そのかわり空も飛べず、外の世界も知らない。
クワコたちはカイコを「奴隷のようだ」と嘲笑う。
果たしてそんなカイコの生は不幸なのか?カイコが紡いだ繭は絹糸になり、その布はシルクロードをわたり、現代では宇宙服にも使われ遥か彼方を旅している。囚われの虫、飛べない蛾と蔑まれても、自分の生を誇り高いものと歌うカイコは眩しかった。

第二幕は「セミピアフ」。長い時間を暗い地中で過ごし、短い成虫の期間を歌と恋に費やすセミの生態。そんなセミの生き様を、苛烈に生きたシャンソン歌手エディット・ピアフになぞらえて歌う。その周りでは、彼女を翻弄するかように男が踊っている。なぜか二人は赤い紐で繋がれている。後でパンフレットを読むとこの男は彼女(セミ)に寄生した冬虫夏草なのだそう…狂気を感じるほど恋に生きる女の歌が胸に迫る。

第三幕は「蝶の道行」。舞台の四方に紗幕が降ろされ、和服を着た二人が踊っている。やがて煙幕と共に紗幕が上がり、白い衣装を着た二人が、時に激しく、つがいの蝶のように舞い踊る。息を呑むほど美しい、歌舞伎の一幕のような演目だ。

そして第四幕はメインとなる長編ストーリー「MU DU DU 蟲の王国」。
本作品では虫の世界から一転、子役が演じる人間の子どもが登場する。
虫の声が聞こえるという、まるで「虫愛ずる姫」やナウシカのような少年「キコ」と狩人の娘でおてんばな少女「ミルバ」。

このふたりが行方不明になったカイコの姫を探しに森の奥深く「蟲の国」へと出かけていく冒険譚。道先案内のてんとう虫も子役で、さっきまでのアダルトな世界観とは一転、昔ばなしのような雰囲気に心和む。
ミルバとキコのセリフも少年少女ならではの純粋さで、ふたりの歌声も美しいので、ぜひ注目して聞いてほしい。

しかし二人を待ち受ける虫たちは曲者揃い。ホストのようなカマキリとその身重の女房、花魁のような女郎蜘蛛、なぜかツバメを慕うスズメバチに極彩色の玉虫や色とりどりの蝶たち。カブトムシやクワガタは昆虫大戦争まで繰り広げる。
花魁衣装を着た女郎蜘蛛とその男が繰り広げる世界観は、まるで時代劇のようだ。

ミルバはそんな虫の世界に囚われてしまい、自分が人間なのかもわからなくなってしまう。「蟲の国」は訪れた人を小さくして、知らないうちに虫と同化させてしまう恐ろしい国でもあったのだ。キコも虫たちが持つ価値観や生きる意味に戸惑い、人間としてのアイデンティティも揺らいでしまう。

さあ、キコは無事にカイコの姫を取り戻し、再びミルバと人間の世界に帰ってこられるのか?虫たちは長年の宿敵、鳥との最終決戦に挑む。

劇中では様々な虫の生態を改めて知ることができ、昔々に虫に親しんだ人は懐かしい気持ちにもなる。子どもと観ても楽しめると思える舞台だった。公演時間、約120分。

(写真・文・取材/新井鏡子)

公演概要

呼華歌劇団 第二四回公演
音楽劇『天の蟲は空を飛ばず』

公演期間: 2026年10月30日(金)~11月3日(火・祝)
会場:東京・両国シアターXカイ(東京都墨田区両国2-10-14 両国シティコア1階)

■出演者
鳳あづま
月華まきな
剣颯天
春瑠りお
横山めぐみ
鞠花ねね
奥田桜織
川井優樹
岸田美紀
東雲大空
柚月涼香
真羽沙依
渥美こあ
芹澤奈夏
谷妃菜
林穂乃佳
中西咲結
松尾茉樹
伊藤舞
神里まつり
神社沙耶佳
菊入詩乃
木村光
倉元結衣
小林亜美
菅なつ美

富山悠里
比嘉翼
堀江美菜
阿部晴華
綾部菜津子
磯村花
架山結花
川尻智琉
久保こころ
小林紅葉
小林佑樹
詩絵
樋田彩乃
ヘッセルアレクサンドラキャロライン
星野桜大
細川さやか
松尾玲奈
松橋芽生

高部さち
HAYATE
ちえ美

【演奏】
Keyboard:海老根晃
Violin:倉石篤志
flute:中島恵

■スタッフ
芸術監督・演出:鳳あづま
脚本:祭鈴
振付:猿若清三郎(猿若流九世家元)
作曲・演奏・歌唱指導:海老根晃

アクション監修:HAYATE
キャラクターデザイン:SEKI SARA
舞台監督:林大介
照明:柳田充
音響:高岡凱
衣装:呼華歌劇団

小道具/まきな工房
かつら:momi
宣伝美術:天
宣伝ビジュアル写真:都筑淳

協力:椿紅鼓、埼華リンゴ、ジュエリーキッズプロモーション、セブンプロモーション、ハヤテ企画、他

制作:目々澤誠(FreshStarEntertainment)
主催:株式会社呼華

■公演スケジュール
2026年
10月30日(金)19:00 A
10月31日(土)13:30 A /17:30 B
11月1日(日)13:30 B /17:30 A
11月2日(月)19:00 B
11月3日(火祝)11:30 A /16:00 B
※客席開場は開演45分前、ロビー開場1時間前
※公演時間:休憩なし2時間

■チケット料金
SS席 11,000円(前方列。パンフレット or A4ブロマイド付き)
ULTIMATE むシート 10,000円(公演記念Tシャツ付き)
むシート 7,500円
S席 8,500円
A席 6,000円
B席(見切れ席)3,500円
(全席指定)
Ultimateむシートは公演Tシャツ付き!
※公演Tシャツは劇場販売あり
※サイズはLサイズのみ

<リピート特典>
チケット半券(葉っぱ)を集めて景品と交換。
500円割引券
限定舞台写真一枚
舞台写真セット
良席チケット一枚&舞台写真セット
※劇場内のみで交換可。
※複数回使用不可。
※割引券は同日時公演に使用不可。 

<お客様へのご案内>
・面会はございません。
・出演者本人のもとに届くまで時間を要するため、なま物の差し入れはご遠慮願います。
・スタンド花は劇場規定によりお受け致しかねます。
・お客様都合でのチケットキャンセルの返金は致しかねます。
・未就学児のお子様は、お一人で座ってご観劇いただける方のみ可能でございます。クッション等の用意はございません。

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