
今年で創立52年を迎えた劇団演奏舞台の最新公演『父と暮せば』が、9月26日(金)より演奏舞台アトリエ/九段下GEKIBAにて上演される。
本作は劇作家・井上ひさしの代表作の一つで、こまつ座で1994年9月に初演、以後数多くの団体が上演されている。舞台は原爆投下3年後の広島。奇跡的に生き残ったことによる負い目から「幸せになってはいけない」と恋愛を自ら禁じた図書館で働く娘・美津江の前に、父・竹造の亡霊が現れ「恋の応援団長」を自称し娘を励ます、親子の絆を描いた二人芝居。父・竹造役に、劇団代表で演出も担当する浅井星太郎、娘・美津江役に劇団副代表の池田純美がそれぞれ演じる。
開幕を直前に控え、先日行われたゲネプロの模様をお届けする。

原爆のトラウマで雷に恐れる娘・美津江が家に駆け込むと、亡くなったはずの父・竹造が押し入れの中から現れるところから物語が始まる。父は娘の幸せを願い、何度も美津江の前に現れては、アドバイスを送り続ける。父からの励ましの言葉を拒絶する美津江と、娘の心を解放して幸せになって欲しいと願う竹造との思いが交錯する。
劇団演奏舞台公演の大きな特徴は「生演奏」。今でこそ舞台での生演奏は決して珍しくないが、劇団演奏舞台の生演奏は、効果音も生の楽器で奏でるというスタイルを取り入れている。少しでも演技と効果音がズレると世界観を壊しかねないが、演奏と演者との息はピッタリ。初めて劇団演奏舞台の公演を観劇される方はきっと驚くことに違いない。
また会場の演奏舞台アトリエ/九段下GEKIBAは、稽古場として利用していた空間を改装して作られたこともあり、ステージと客席との距離が非常に近く、演者との一体感を感じれる小劇場演劇ならではの醍醐味を十二分に味わえた。
ゲネプロ直後、浅井星太郎と池田純美に本作の注目ポイントを伺った。
≪浅井星太郎≫
戦後80年。言わずと知れた名作ですので、様々な集団で上演されていますが、今回は、劇団演奏舞台のスタイルを大事にして作り上げました。いつもは私自身が演奏を担当するのですが、キーボードの佐々木多幸詩は僕の音楽の師であり、ギターの松岡信二は幼少の頃から音楽に夢中になっていた僕を可愛がってくれた方です。この二人の奏でる音楽と、芝居のアンサンブルを、ご覧いただければと思います。
≪池田純美≫
劇団演奏舞台という劇団名の由来は、役者自らの身体を楽器とみなし、意識的に『演奏』するという劇団理念をもととしています。そのため、演出・演技・空間の使い方なども独特なところがあり、唯一無二の劇空間をご体感いただけるのでは、と思っています。また、生演奏の効果音は全て“即興”というところにも注目していただきたいです。
≪STORY≫
舞台は原爆投下から三年後の広島。
一人生き残った負い目から、自分が幸せになることを禁じた娘・美津江のもとに、亡き父・竹造が現れる。「恋の応援団長」を名乗って奮闘する陽気な父に励まされ、少しずつ明るさを取り戻す美津江だったが……。
父と娘の姿を通して「ヒロシマ」を描いた二人芝居。
『父と暮せば』は9月28日(日)まで上演。
(撮影・文:冨岡弘行)
公演概要
劇団演奏舞台 公演87/千代田区文化事業助成対象事業
『父と暮せば』
■公演期間:2025年9月26日(金)~2025年9月28日(日)
公演スケジュール
2025年9月
26日(金)19:00
27日(土)14:00/18:00
28日(日)14:00
※開場は、開演の30分前
■会場:演奏舞台アトリエ/九段下GEKIBA(東京都千代田区九段北1-10-2)
■出演者:浅井星太郎、池田純美
■チケット料金
前売:3,000円(全席自由・税込)
■スタッフ
作:井上ひさし
演出:浅井星太郎
音楽:佐々木多幸詩
演奏:Tacoshi&松岡信二
おかげさまで全日程満席となりました。
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劇団演奏舞台 TEL:03-3222-1018 Email:contact@ensoubutai.com