舞台『私はスター』が10月1日(水)より東京・浅草九劇で上演される。
本作は、山崎洋平が作・演出を務めるエンターテイメント音楽劇で、2014年と2016年に上演され、今回が約9年ぶりの再演となる。閉園寸前の遊園地の従業員たちがアイドルとなって豪華絢爛なレビューショーを披露することで窮地を脱そうと奮闘する物語。主演の彩音星凪、共演の佐藤匠をはじめ、万葉、宮村アキラ、小早川俊輔、川又咲、石森咲妃、中村ほのか、相澤瑠香、山崎洋平、我膳導、鈴木歩己といったキャストが結集する。開幕を約2週間前に控えたタイミングで稽古場取材を行った。


この日行われたのは、アイドルになるべく半ば強制的に集められたメンバーを彩音演じる星が指導する場面、副社長がアイドル候補だという従業員たちの様子を見て見下す場面、そして物語後半に披露する歌唱の計3シーン。

星が指導する場面では、ビシビシと従業員を鍛える姿と不思議なサングラスをかけているギャップが観ていて笑いを誘う。


副社長が従業員たちを見下す場面では、笑いの要素が一切ないこともあり、終始緊張感溢れる空気に。


歌唱の場面では、山崎の描く心を突き動かすような歌詞がメロディと相まってとても印象的だった。レビューショーも含め、稽古着から本番の衣装になった時、どのように変化するのか非常に楽しみに感じた。

稽古場では、演出の山崎洋平が役になりきり演じてみせ、そして細かい指示を出し、時にはユーモアあふれる助言で場を盛り上げる。キャストも山崎の期待に応えようと真剣に取り組んでいる。またシーンごとに山崎から「何か質問や分からないことはありますか?」と演者側に発言しやすい環境を与えていたり、休憩時にも必死に振り付けを覚えようとキャストも多く、この座組で舞台を成功させようという空気が伝わってきた。
稽古終了後、作・演出の山崎洋平、主演の彩音星凪、共演の佐藤匠に意気込みや稽古場のでの雰囲気など伺った。

≪山崎洋平≫
――今回約9年ぶりの再演ですね。
山崎「9年前とお話の骨組みは変わらないですが、今回初めましての方が多いので、顔写真を見ながら、この人ならこういう役にした方がいいかなと思いながら、展開や必然性がうまくいくように、ちょっと台本を書き直しました。9年分成長をしたところをピッピッピッと注入されていればいいなと思いながら稽古を重ねています」
――稽古場の雰囲気はいかがですか。
山崎「稽古序盤はある種“硬さ”的なものがありましたが、時間が経つにつれて明るくなりました。休憩中も役者さん同士おしゃべりをしていたり。幸いにも反抗する方もいません(笑)。お客さんに楽しんでもらおうという作品を仕上げるにあたって、あまりギクシャクし過ぎると良くないですし、楽しいお話を作るためにも、なるべく楽しい雰囲気の稽古場作りを心掛けています」
――本作の見どころを教えていただけますか。
山崎「本当にテンポよくお客さんに楽しんでもらいたいということだけで作っているお話なので、メッセージを伝えたいとか、新しい演劇手法を試したいとか、社会問題について突きつけたいということは全然ありません。エンターテインメントに徹することは、9年前から変わらないことなので、よりお客さんが楽しんでいただければという想いです」
――最後に本作への意気込みをお願いします。
山崎「90分ちょっとのお話になりますが、毒もなく、ひねったようなこともなく、ある意味どなたでも楽しんでいただけるような、分かりやすさを持った物語です。歌や踊りといった音楽要素もありますし、臨場感や迫力、俳優さんのエネルギーを感じるには、劇場に来ていただくことが一番です。近々再演する予定は全くありませんし、今回が最後かもしれませんので、是非劇場へお越しください」

≪彩音星凪≫
――彩音さんが演じられる星というキャラクターはどのような人物だと感じましたか。
彩音「誰しもが経験しないような壮絶な経験をしている女性です。幼心というものは、どこかに置いてきちゃったような、そんな女性ですが、パッションはありますし、踊ることや歌うこと、舞台が好きという心は誰よりも熱く持っていると思います」
――本作ではレビューショーがあるとのことで、そこは宝塚での経験が活かされるではないでしょうか。
彩音「山崎さんから『レビューな感じでショーアップして』と仰られたダンスナンバーなどは、少しですが活かされていたら嬉しいです。この物語でのショーにかける思いなどを観ていただきたいです」
――稽古場の雰囲気はいかがですか。
彩音「宝塚を卒業してからまだまもないので最初はやはり緊張していたのですが、本当に皆さん優しくて、、あと同世代が多くて刺激をもらいます。すごく楽しくて、新鮮です。今回はみんなで一生懸命作り上げる舞台なので、雰囲気がいいことがすごく助けになっていますし、私も頑張らなきゃと思っています」
――本作の見どころを教えていただけますか。
彩音「全部が見どころですね。キャラクター全員が個性的で、
5人の従業員も細かくキャラ設定を山崎さんがしてくださっていますし、可愛らしいキャラクターがたくさんいることも魅力です。ハートが素敵な人たちばかりで目が足りないです!!」
――最後に本作への意気込みをお願いします。
彩音「本当に楽しんで帰っていただけたら嬉しいなと気持ちでいっぱいです。笑いあり、ちょっと涙ありの楽しい作品になっておりますので、皆様ぜひ観にいらしてください」

≪佐藤匠≫
――佐藤さんが演じる役どころを教えていただけますか。
佐藤「過去にちょっとした失敗の経験がありつつ、この遊園地を建て直すことを自分なりに考えて努力をしている。でも努力のしすぎで周りが見えなくなるという役どころです。実は役名が僕と同じ佐藤でして、山崎さんをはじめ、みんな“佐藤”と言うんですけど、僕のことを呼び捨てにして言っているのか、役のことを言っているのか、だんだんわからなくなっています(笑)」
――従業員さん達でアイドルを作るというあらすじですが、アイドル活動をされていた経験が活かされるのではないでしょうか。
佐藤「アイドルをプロデュースする役ですが、結構歌ったり踊ったりします。振り付けをする際、誰が取りまとめるのかが重要になってくるんですけど、ここは『僕が行くしかない!』と一念発起して、振り付けをまとめる担当になってから、みんなで声を上げられるようになりました。これもアイドルの経験が活きているのかと思っています」
――稽古場の雰囲気はいかがですか。
佐藤「楽しい稽古場ですね。主演の彩音さんとは、同じ北海道出身で、趣味や朝のルーティーンも一緒と共通点がめちゃくちゃ多くて、縁を感じながら稽古させていただいています」
――本作の見どころを教えていただけますか。
佐藤「歌に注目です。今回の楽曲に関しては、このお芝居のこのシーンでしか歌えないよねという内容になっているので、きっと観ていて面白いと思いますし、観終わった後も楽しかったなと思い出してもらえるんじゃないかなと思っています」
――最後に本作への意気込みをお願いします。
佐藤「山崎さんの本と山崎さんが示す指標が本当に面白くて、僕は山崎さんが示した座標にどうしても的確にいたいと思いながら稽古を重ねています。山崎さんの表現する面白さを皆さんにお届けしたいなと思っておりますので、是非何度も観に来ていただけると嬉しいです」

本作は10月5日(日)まで上演される。
(写真・文 冨岡 弘行)
公演概要
ジェットラグプロデュース『私はスター』
■公演期間:
2025年10月1日(水)~2025年10月5日(日)
10月1日(水)19時00分
10月2日(木)14時00分/19時00分
10月3日(金)14時00分/19時00分
10月4日(土)13時00分/17時00分
10月5日(日)13時00分/17時00分
※受付開始・当日券販売は開演の40分前、開場は開演の30分前
※10月4日(土)13時00分公演は予定枚数終了
■会場:浅草九劇(東京都台東区浅草2-16-2)
■チケット料金(全席指定・税込)
プレミアムVIP:9,500円
プレミアムS:9,000円
一般:8,000円
※プレミアムVIPは予定枚数終了、プレミアムSもあとわずか
※未就学児童の入場はご遠慮ください
■作・演出:山崎洋平
■出演
彩音星凪
佐藤匠
万葉
宮村アキラ
小早川俊輔
川又咲(劇団PIS★TOL)
石森咲妃(文学座)
中村ほのか
相澤瑠香
山崎洋平
我膳導
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鈴木歩己
■問い合わせ
ジェットラグ
mail:info@jetlag.jp TEL:080-5076-0481