元宝塚女優 meets 能楽!野々すみ花さんが出会った、謡って、舞って没入する能楽体験

元宝塚女優 meets 能楽!野々すみ花さんが出会った、謡って、舞って没入する能楽体験

銀座・日比谷を中心に、様々なジャンルのアーティストがコラボレーションする「TOKYO ART&LIVE CITY2023」。このプロジェクトの一環「能楽体感 銀座スタイル」が11月9日(木)にGINZA SIX内観世能楽堂で行われます。

馴染みの薄い能楽の世界を、客席で囃子や謡、能狂言の所作を体験したり、能「田村」を鑑賞したりと、多角的に体験できるプログラム。カンフェティ限定で、大人と子供のペア席(5,000円)も販売しています。子どもと一緒に能楽を楽しめる絶好の機会です。

野々すみ花さんと武田宗典さん。武田修能館にて

今回は、この催しに先駆けて、特別ゲストの野々すみ花さんが、能楽の世界を体験しました。
野々さんは、元宝塚歌劇団宙組娘役トップ女優。
卒業後は俳優として、またTV番組のリポーターとしても活躍しています。
先生は、能楽師の武田宗典さん。観世流のシテ(主役)方にして、近年ではクラシック音楽とのコラボや、SNSでの発信など能楽の魅力を伝えるため、積極的な活動をしています。

まずは、能の中でセリフや歌にあたる謡(うたい)から。着座して対面し、実際のお稽古の形で始めます。扇子を前に、一礼。茶道のような仕草も美しいです。今回の演目は「鶴亀」。

武田さん「鶴亀というのは中国のお話です。皇帝がお正月の行事に鶴と亀に舞を舞わせます。それと一緒に皇帝も舞う、というだけのシンプルな話です。なぜ最初のお稽古にこれを謡うのかと言うと、一年の初めとお稽古の初めにかけているんじゃないでしょうか」
それでは私のマネをして謡ってください。

「それ、セイヨオ(青陽)の春になれば〜〜♪・・・はい」

突然の大きく響く声に、野々さんもびっくり。周囲の空気がビリビリするような迫力の音圧です。野々さんも、一瞬緊張して固まった後、思わず笑みが溢れます。

「大きな声っていきなりは出せないですよね。大事なことは呼吸です。吸った息を、ぐっと一回自分の中に溜め込んでから謡いましょう。生徒さんには、そうお伝えしています」
もう一度、お手本をお願いしたあと、いよいよ挑戦です。背筋を伸ばし、呼吸を整え「それ、セイヨオ(青陽)の春になれば〜〜♪」音程もぴったり。

初めてとは思えない程の謡いぶりです。

その後も「四季の節会のこと初め〜〜♪」「光を天子のエイランにて〜〜」と新年に相応しいおめでたい歌詞が続きます。鶴と亀が舞おどる中国王朝の豪華絢爛な宴が目に浮かぶような謡です。

素晴らしいです。初めてとは思えないですね。感情が込められていますし、音をパッととる才能がすごいです」と武田さん。

歌詞のひとつひとつに記号が付いた能楽特有の譜面も、珍しくて見入ってしまいます。「私たち観世流が使っている能楽の本は、実は数学的にできています。能楽師は、これを初見で抑揚をつけて謡えるのです」

次は舞台に立って歩く所作です。

能では歩き方は、それひとつで、老若男女や立場を表し、時には数歩の歩みで長距離を移動する表現をしたりと、とても重要な所作になるとのこと。
頭から糸で釣られているように真っ直ぐに立ち、腕を構えて、すり足で非常にゆっくりと前に歩いて行きます。
気が遠くなりそうな動きに、野々さんは「なんだか、みなさん(取材スタッフ)をお待たせしてしまって申し訳ないというか……みなさん飽きませんか?」と、戸惑い気味。

すかさず「そこなんです!」と武田さん。

自己の中に没入してください。とにかく自分の世界に没入することが大切なです。周りの人は置物だと思ってください」

周囲の雑音をシャットアウトして、自分の内側に没入していく。

まるでヨガや、マインドフルネスのような内なる自分と向き合う体験です。
しん・・・と静まり返った板の間で、ゆっくりと歩みを進める野々さん。能楽とは武士の間では鑑賞するだけではなく、嗜むものでもあったそう。戦乱の世にあって、武士たちは自分の中に何を見たのでしょうか。

終了後、感想を聞いてみました。
「謡の稽古では、普段穏やかに喋っている先生の声が突然変わったので、ちょっとゾクっとしました」すかさず「ギャップ萌えです(笑)」と武田さん。

さらに「見るのとやってみるのとでは180度違うと思いました。今回の『能楽体感 銀座スタイル』でも『えっ?こういうことなの?』と驚くことばかりだと思います。

もしかしたら、今まで敷居が高いと思っていた方には、いい意味で期待を裏切るような体験になると思っています。もっと能楽を知りたくなったら、ぜひ銀座SIXの劇場へ足を運んでください」。

(取材・文・撮影/新井鏡子)

公演情報

「能楽体感 銀座スタイル」

開催日時
2023年11月9日(木) 18:30開場/19:00開演
出演:ナビゲーター:武田宗典/特別ゲスト:野々すみ花

◇トーク:山階 彌右衛門×野々すみ花×武田宗典

◇体感:囃子・謡を体験(熊本 俊太郎 田邊 恭資 亀井 洋佑 林 雄一郎)
    能と狂言 舞・所作くらべ(能:武田 宗典 狂言:山本 則重)
    能と狂言の所作で演じるミニ現代劇

◇鑑賞:能「田村 替装束」(半能)
     シテ  観世 三郎太
     ワキ  村瀬 慧
     笛   熊本 俊太郎
     小鼓  田邊 恭資
     大鼓  亀井 洋佑
     後見  山階 彌右衛門 坂口 貴信
     地謡  清水 義也 坂井 音雅 武田 文志 木月 宣行
         坂井 音晴 武田 宗典 武田 祥照 関根 祥丸

チケット料金・入場料
一般席 4,000円
U25席 2,000円
◆大人子供ペア席(※) 5,000円(全席指定・税込) 

※◆印はカンフェティのみのお取り扱いです。
※U25席は公演当日に25歳以下の方を対象とする優待料金です。
 公演当日、ご年齢を確認できる証明書をご持参ください。
※小学生・中学生のご鑑賞には保護者(成人)のご同伴をお願いします。
※未就学児のご同伴はご遠慮ください。
※大人子供ペア席は、大人と子供(小学生以上25歳以下)のセット券です。

中央区民割引(在住)について
※中央区在住の方は、割引価格にてご鑑賞いただけます。
 事前に定価にてご購入いただき、公演当日、住所を証明できるものをご持参ください。
 差額をご返金致します。(公演当日のみ有効)
●一般席・U25席→各500円引
●大人子供ペア席→1,000円引

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