松井周×白石加代子がこどもたちと“ともに”創り上げる、天国と地獄の分かれ道で「生きていた頃の記憶」を探す物語

松井周×白石加代子がこどもたちと“ともに”創り上げる、天国と地獄の分かれ道で「生きていた頃の記憶」を探す物語

KAATキッズ・プログラム2023
『さいごの1つ前』
日程:2023年7月21日(金)~24日(月)
会場:KAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>
主催・企画制作:KAAT神奈川芸術劇場

2022年初演より 撮影:宮川舞子

新たな劇空間の中で魅せる松井周×白石加代子の世界

 KAAT神奈川芸術劇場では、2011年の開館以来、現代の舞台芸術シーンを先導するアーティストとの新作創作や、良質な海外作品の招聘等、おとなもこどもも楽しめるキッズ・プログラムを上演し、多くのお客様から好評をいただいてまいりました。
 今年の「KAATキッズ・プログラム2023」は、プレシーズンの7月~8月に、ダンス・演劇・音楽劇という、新作2作を含むバラエティー豊かな3作品をお届けします。
 キッズ・プログラム2作目として7月下旬に上演するのは、劇作家・演出家 松井周×俳優 白石加代子という、キッズ・プログラムとしては異色の顔合わせで22年8月に初演し、好評を博した『さいごの1つ前』の再演です。
 個人ユニット「サンプル」での活動のほか、国内外で様々な作品を手掛け、現代演劇界をけん引する松井周ですが、意外にもキッズ・プログラムへの参加は本作が初となりました。松井が描いたのは、天国と地獄の分かれ道で、なくした記憶を探す物語。松井が創り出した物語を観劇したこどもたちは、集中して舞台を見つめ、劇中にちりばめられたしかけに笑ったり驚いたり様々な反応を見せてくれました。こどもだけでなくおとなからも、観劇後、それぞれに思いや考えを巡らせることができたという感想が多く寄せられ、幅広い年齢層の方から高い評価を得ました。
 また、4人の個性的なキャストは今年も続投。令和4年度日本芸術院の新会員にも選出され、芸歴50年を超えてなお、その活躍の場を広げる俳優・白石加代子は記憶をなくしたカオル役を演じます。本作がキッズ・プログラム初参加となった白石ですが、変幻自在な演技と、客席との掛け合いで、観客を魅了しました。
 地獄の案内人アキオ役をパワフルに演じた久保井研、こどもたちの注目を一身に集めたミチロウ役の薬丸翔、陰のある少女マリン役を印象的に演じた湯川ひなは、今年はどんな姿を見せてくれるでしょうか。
 今年はKAATを飛び出し神奈川県内は座間逗子、県外は久留米(福岡県)、松本(長野県)、美濃加茂(岐阜県)の計5か所を回ります。初演とはひと味異なる劇空間を創出し、単なる再演に留まらず、魅力を増しておくる本作にご期待ください。

こどもたち、観客と“ともに”創り上げる作品

 「こどもたちと一緒に楽しめる、遊べる作品を創りたい」という松井の想いから、上演中のコミュニケーションや事前ワークショップを用いて、こどもたち、観客とともに、作品を創り上げます。
 劇中、出演者が舞台上から客席へ様々な問いを投げかけ、拍手や足踏みで答えてもらい、観客の反応からヒントを得て物語が進むという演出は本作の特徴のひとつ。観客にも積極的に作品に参加してもらう生の舞台ならではのアプローチを採り入れています。昨年の公演では、こどもたちが楽しそうに俳優からのリクエストに応えている姿がとても印象的でした。
 また、上演に先駆けて、松井と美術・衣裳の長峰麻貴がファシリテーターを務め、地域の小学生を対象とした創作ワークショップを行います。参加者それぞれの“地獄”や“天国”のイメージを伝えあい、発想を転換して考えてみるウォーミングアップの後、物語に登場する「すてきな地獄」「人気のない天国」を、各々が絵やコラージュ等で表現し、大きな1枚の絵を創ります。完成した作品は、劇中、舞台上に登場します。今年はKAAT神奈川芸術劇場の他、ハーモニーホール座間、逗子文化プラザホールでもワークショップを実施し、地域ごとのオリジナル作品を創作します。

2022年初演より 撮影:宮川舞子

あらすじ

ここは天国と地獄の分かれ道。カオルはそこで忘れ物をして困っています。
天国に行くには「生きていた頃の記憶」がいるらしく…カオルの忘れ物はその記憶です。
集まった人間たちはカオルのためにあれこれ考えますが、そこに怪しいだれかが現れて…
カオルは無事天国へ旅立つことができるのでしょうか?

コメント

 今回、『さいごの1つ前』という作品を上演します。これは去年の夏休みに、白石さんが今まで演じたことのない役を演じ、こどもたちと一緒に何かを創れるような作品をやってみたいという想いから生まれました。
 コロナ禍でできることは限られましたが、こどもたちと一緒に創っていくシーンを考えたり、ワークショップをしてできた作品を上演中にも登場させたりと、こどもたちと一緒に楽しめる、遊べる作品を創りました。
 今年も「遊べる作品」にしたいと思っています。劇場に来てくださった方との間で生まれることをできる限り採り入れて、楽しい作品にしたいと思います。

作・演出 松井周

 昨年の再演ということで、皆様との再会に胸を躍らせています。
本作に登場する「地獄」などという禍々しい言葉はもちろん、年齢と共に輪郭がなくなっていく記憶や近づいてくる死というものは、やはり深刻で、暗くて、恐ろしいものとして目を背けたくなるものですが、私個人としては、根っからの楽観主義者ということもありますので、楽しく演じ、松井さんの優しい世界観に再び身を委ねるつもりでいます。
 『さいごの1つ前』は、お子さんをはじめとする、客席にいらっしゃる皆さん全員と創りあげる作品ですので、今回もどんな素敵な世界にいけるのかしらと、とても楽しみです。

出演 白石加代子

作・演出プロフィール

松井周(まつい・しゅう)

©平岩 亨

劇作家・演出家・俳優
1972年生まれ、東京都出身。1996年劇団「青年団」に俳優として入団、2007年に劇団サンプルを結成。作家・演出家としての活動を本格化させる。2011年『自慢の息子』で第55回岸田國士戯曲賞を受賞。2016年『離陸』で2016Kuandu Arts Festival(台湾)に、2018年『自慢の息子』でフェスティバル・ドートンヌ・パリ(仏)に参加した。主な脚本提供として2011年さいたまゴールド・シアター『聖地』、2014年新国立劇場『十九歳のジェイコブ』、2016年KAAT 神奈川芸術劇場『ルーツ』、2020年ホリプロ『てにあまる』など。近作ではKAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『ビビを見た!』の上演台本・演出、inseparable『変半身(かわりみ)』の原案・脚本・演出、彩の国さいたま芸術劇場ジャンル・クロスII 近藤良平×松井周『導かれるように間違う』など。2023年6月「松井周の標本室×三重県文化会館『なりかわり標本会議』」、10月に北九州芸術劇場クリエイション・シリーズ「新作(タイトル未定)」が控える。

出演者プロフィール

白石加代子 (しらいし・かよこ)
1941年生まれ、東京都出身。1967年に早稲田小劇場(現SCOT)へ入団後、鈴木忠志氏演出の『劇的なるものをめぐってII』、『トロイアの女』などで世界80都市を巡演し、ピーター・ブルックに『火を噴くドラゴン』と称賛される。1989年にSCOT退団後は、蜷川幸雄氏演出作品に多く出演し、映画やTVなどでも幅広く活躍。1992年からスタートした鴨下信一氏演出による「百物語」の公演はライフワークとなっている。

久保井研 (くぼい・けん)
1962年生まれ、福岡県出身。1989年に劇団唐組入団。1990年『透明人間』で演出助手を務め、1997年の再演では初めて演出を担当。2012年より座長代行として唐組全作品の演出を務め、俳優として主演も務める劇団の顔である。外部演出では2010年『少女仮面』、2021年『受付』(作:別役実)などがある。また庭劇団ペニノやサンプルなど他劇団への出演、2017年『夜空はいつも再高密度の青色だ』(監督:石井裕也)の映画出演など、演出家、俳優として幅広く活躍している。

薬丸翔 (やくまる・しょう)
1990年生まれ、東京都出身。2005年デビュー。2006年、映画『炬燵猫』(監督:小川王子)で映画初出演、以後、舞台・映画・ドラマと活躍の幅を広げている。近年の主な舞台出演作に、2022年『A LA MARGE 外の道』パリ公演(演出:前川知大)、『さいごの1つ前』(演出:松井周)、『ひび割れの鼓動-hidden world code-』(演出:平原慎太郎)、2021年『外の道』(演出:前川知大)、2019年『獣の柱』(演出:前川知大)、映画出演作に、2021年「聖地X」(監督:入江悠)、2019年「ユンヒヘ」(監督:イム・デヒョン)、ドラマ出演作に、2022年「昭和歌謡ミュージカル また逢う日まで」、2020年「微笑む人」などがある。

湯川ひな (ゆかわ・ひな)
2001年生まれ、東京都出身。2014年TVCM「ミサワホーム」でデビュー。2015年公開の映画「あえかなる部屋-内藤礼と、光たち」で映画初出演。主演を務めた「そうして私たちはプールに金魚を、」は、第33回サンダンス映画祭短編部門に正式招待、日本作品初のグランプリを受賞した。近年の主な活動に、舞台『スカパン』(演出:串田和美)、『BLINK』(演出:荒井遼)、ピンク・リバティ『とりわけ眺めの悪い部屋』(演出:山西竜矢)、WOWOW「FM999 999WOMEN’S SONGS」、映画「子供はわかってあげない」(監督:沖田修一)など。公開待機作に主演映画「誰が為に花は咲く」(監督:藤原知之)がある。

公演情報

KAATキッズ・プログラム2023
『さいごの1つ前』

作・演出:松井周
出演:白石加代子、久保井研、薬丸翔、湯川ひな

スタッフ
美術・衣裳:長峰麻貴 照明:鳥海咲 音響:徳久礼子 ヘアメイク:谷口ユリエ 舞台監督:横沢紅太郎

[横浜公演]
日程:2023年7月21日(金)~24日(月)
会場:KAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>
主催・企画制作:KAAT神奈川芸術劇場 後援:神奈川県教育委員会 横浜市教育委員会 助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会
一般財団法人地域創造

お問合せ:チケットかながわ0570-015-415(10:00‐18:00) https://www.kaat.jp
公式サイト:https://www.kaat.jp/d/saigono_hitotsumae2023

神奈川県内ツアー

[座間公演]
日程:2023年7月30日(日) 14:00
会場:ハーモニーホール座間 小ホール
企画制作:KAAT神奈川芸術劇場
主催:KAAT神奈川芸術劇場/(公財)座間市スポーツ・文化振興財団

お問合せ:チケットかながわ0570-015-415(10:00‐18:00) https://www.kaat.jp
公式サイト:https://www.kaat.jp/d/saigono_hitotsumae2023_zama

[逗子公演]
日程:2023年8月6日(日) 14:00
会場:逗子文化プラザ なぎさホール
主催・企画制作:KAAT神奈川芸術劇場
共催:逗子文化プラザホール(指定管理者:逗子文化プラザパートナーズ)

お問合せ:チケットかながわ0570-015-415(10:00‐18:00) https://www.kaat.jp
公式サイト:https://www.kaat.jp/d/saigono_hitotsumae2023_zushi

全国ツアー

[久留米公演(福岡県)]
日程:2023年8月13日(日)
会場:久留米シティプラザ 久留米座
お問合せ:久留米シティプラザ(久留米市) 0942-36-3000
主催:久留米シティプラザ(久留米市)
https://kurumecityplaza.jp/

[松本公演(長野県)]
日程:2023年8月19日(土)・20日(日)
会場:まつもと市民芸術館 小ホール
お問合せ:まつもと市民芸術館チケットセンター(10:00-18:00) 0263-33-2200
主催:一般財団法人松本市芸術文化振興財団
https://www.mpac.jp/

[美濃加茂公演(岐阜県)] 美濃加茂市文化会館(かも~る) ホール
日程:2023年8月26日(土)
会場:美濃加茂市文化会館(かも~る) ホール
お問合せ:みのかも文化の森 美濃加茂市民ミュージアム 0574-28-1110
主催:美濃加茂市
http://www.forest.minokamo.gifu.jp/bunkakaikan/ (会場HP)
http://www.forest.minokamo.gifu.jp/index.cfm (主催者HP)

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