板垣恭一、鎌田雅人、藤岡正明がメンターとなってオリジナル作品をアドバイス Musical Next Seeds2026 メンタリングプログラム 初開催

板垣恭一、鎌田雅人、藤岡正明がメンターとなってオリジナル作品をアドバイス Musical Next Seeds2026 メンタリングプログラム 初開催

日本国内のミュージカル発展をめざし、オリジナルのアワードを開催するMusical Awards TOKYO(以下MAT)が5月8日、公益財団法⼈セゾン⽂化財団の助成により、同財団が運営する森下スタジオにて、「Musical Next Seeds 2026メンタリングプログラム」を初開催した。

Musical Next Seeds(ミュージカルネクストシーズ)」とは、MATによるスピンオオフ企画で、ミュージカル界の新進クリエイターによるオリジナル作品育成プロジェクト。2025年の初開催に続き今年も本企画のメインプログラムは5月9日(土)、10日(日)の2日間にわたり、「HIBIYA LIVE FESTIVAL」と連動して、東京ミッドタウン日比谷のステップ広場にてショーケースの形で開催された。

この未完成の新作をショーケース形式でお披露目し、フルサイズの上演にたどり着けるようにバックアップする本プロジェクトの一環として、今年初の試みとして実施したのが「Musical Next Seeds 2026メンタリングプログラム」だ。現在ミュージカル界でプロフェッショナルとして活躍されている3名がメンターとなり、新作の壁打ちをすることで、作品を完成に近づける機会を創出するのがねらい。ミュージカル上演が盛んなニューヨーク、ロンドン、韓国などでは以前からこうした取り組みが行なわれている背景を受け、日本での場づくりの一歩として実施した本プログラムには、今年ショーケース参加者4チームのうち3チームが参加した。

メンターは、演劇界の第一線で活躍する板垣恭一(演出家・脚本家)、鎌田雅人(作曲家)、藤岡正明(音楽家・俳優・演出家)の3名。まずは、広いスタジオで、3名のメンターを前に1チーム約20分間、作品の一部のお披露を含めたプレゼンテーションを実施。
 1チーム目、6月に旗揚げ公演を予定するミュージカル『薔薇族’70』は、2台のピアノで紡ぐ60分のミュージカル。脚本・演出・音楽を担当する外﨑銀河さんが設定やストーリー展開を、ピアノの弾き語りスタイルで披露した。

『薔薇族’70』から

2チーム目は、『Tale of Heroines』。女性4名、男性2名の構成で、グレース・ケリーの伝記に着想を得て創作した、舞台女優をめざす親友同士のエマとグレーシーの物語から数曲を披露した。

『Tale of Heroines』から

3チーム目は、作・渋谷真紀子、音楽・はるきねるによる『劇場玉手箱〜ヒーローミュージカルは生まれるか?〜』。Z世代をターゲットに、シアターゲームを使った参加型の演出など独自性に挑む作品で、構想の解説を加えながら楽曲を披露した。

『劇場玉手箱〜ヒーローミュージカルは生まれるか?〜』から

メンターたちは3組のショーケースを観ながら、時折メモを取る姿も。参加者たちは他チームの発表もスタジオ内で見届けた。
 休憩をはさみ、いよいよメンターによる壁打ち、メンタリングプログラムが行われる。それぞれのメンターが待機するブースで、参加チームが面談スタイルでショーケースに関するフィードバックを受け取る仕組みだ。メンターたちは、作品のねらいや成り立ちに関する質問を重ねながら、感想や具体的なアイディアの種も提供。参加チームはそれぞれのメンターの言葉に熱心に耳を傾けた。メンター一人につき1チーム約40分。計3チームが総当たりするメンタリングプログラムは、参加者にとって想像以上の濃い時間となったことだろう。

プログラムを終えた各チームに話を聞くと、「役者に対するフィードバックはどの現場でもあるが、クリエイターに対するフィードバックはほぼなく、出来上がったものでスタートしてしまう作品が多い中で、初期段階を見つめ直すことが出来る機会は貴重でした」(『薔薇族’70』チーム外崎さん)。「脚本を作る上では自分ひとりだけでクリエイティブすることがほとんどだったので、プロの方からの具体的なアドバイスがとても参考になりました」(『Tale of Heroines』チーム安田さん)。「ショーケース本番を前に、作品を今一度整理する材料をいただくことができました。だからこそ、もうワンチャレンジしたいという思いも膨らんだので、継続的なメンタリングの機会があればいいなと思います」(『劇場玉手箱〜ヒーローミュージカルは生まれるか?〜』チーム渋谷さん)

プログラムを終えたメンターにも話を聞いた。
「こんなにミュージカルが好きな人、作りたい人がいっぱいいるのだなということを知れて嬉しかった。作曲家は孤独な作業ゆえに闇の中にいる人も多いのではないか。そういう意味でも今プログラムのような機会は有意義だと思います」と、作曲家の鎌田雅人さん。

「いい取り組みであるということと共に、やってみたからこそ課題が見えた部分もあった。自身も作品を創る立場として、クリエイターに問題提起をしたり、アドバイスをするということの難しさも同時に感じました」と音楽家・俳優・演出家の藤岡正明さん。

演出家・脚本家の板垣恭一さんは、「物語とは何かという話を3組共にお話ししました。こういう風に考えていけば、あなたのアイディアはこう生かせる、そんなアドバイスをしたので、出来ればこの次(ブラッシュアップされた作品)も観てみたいですね」と語った。

初開催の「Musical Next Seeds 2026メンタリングプログラム」。良質なオリジナル作品育成をめざすプロジェクトとして、クリエイターへの新たな機会を生み出すと同時に、上演までの過程にあるいくつもの壁を乗り越えるためにはどのようなバックアップが必要不可欠なのか。望まれるのは継続性はもちろん、多くの業界関係者が関心を持ってともに育てていくための環境作りと広く周知いく発展性と言えるだろう。

(演劇ライター 栗原晶子)

(撮影 岩田えり)

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