【稽古場レポート】呑んで、歌って、笑って、泣いて。バー「Joie」をめぐる兄妹たちの“ノンストップパーティー”という名の人生讃歌

【稽古場レポート】呑んで、歌って、笑って、泣いて。バー「Joie」をめぐる兄妹たちの“ノンストップパーティー”という名の人生讃歌

大部恭平主宰団体「おぶちゃ」の、7周年記念公演「Joie!」が2月7日(水)から東京芸術劇場シアターウエストで開催される。
バー「Joie(ジョア)」のオーナー須永小次郎と、その妹、あゆみ、そしてバーに集まる様々な人たちの人間模様を通じて、生きることの喜びや悲しみ、運命に対して抗えない思い、大切な人との別れなど、人生の喜怒哀楽全てがバーという小さな空間から飛躍して繰り広げられる。

バー「Joie」のオーナー・小次郎(橋本真一)は、事故死した両親が遺したお店を若くして引き継いだ。たくさんの人の助けもあり経営は順調だったが、小次郎は突如、閉業を決める。常連客たちが閉店パーティーの準備に追われる3日前、妹のあゆみ(茜屋日海夏)が婚約者の川崎晃輔(石渡真修)を連れて約10年ぶりに帰省する。が、あゆみは、小次郎が店を閉めることを知らされていなかった。

「両親が遺したバーを簡単に閉めるはずがない」「何か言えないことでもしてるの?」と、真相を問うあゆみ。小次郎は、密かにそうせざるを得ない秘密を抱えていた。

稽古場は、日差しの差し込むビルのワンフロア。椅子やテーブルや小道具などが並べられている。総勢17名のキャストたちが代わるがわる舞台上で会話を交わすその空間は、活気に満ち溢れていた。

左から、主演・須永小次郎役の橋本真一とヒロイン・須永あゆみ役の茜屋日海夏

オープニングは静寂の中1人現れる、小次郎のモノローグから始まった。
「このパーティーは、だいたい◯◯分くらい、途中休憩はございません。ノンストップパーティーです」とパーティーを分かち合う観客に向けて語りかける小次郎。
いつの間にか舞台上には全員が登場するも、役柄ではなさそうな、まるで舞台に紛れ込んだ観客のようにも見え、まるで舞台上と客席の境目が曖昧になるようだ。
小次郎の語りにつられるように全員が一体になったその時、小次郎が「それではJoie!始まります!」と宣言。「Joie!」の意味でもある喜び=歓喜の声が舞台上に湧き上がる。

冒頭、舞台上には主人公を囲むように、俳優全員が登場

シーンが紡がれる中、モノローグを続ける小次郎の「店、閉めたくねえ〜!」と自身の回想をする際の本音が心に刺さる。時は遡って、小次郎が20歳の時。バー「Joie」は小次郎が引き継いで営業を続けることになった。オーナー就任パーティーでは、2人の両親の友人たちが集まり、彼らの成長を見届ける。その頃、妹のあゆみは高校生だった。

中央はMOEKO。小次郎たちを世話してきた近所のスナックのママ後藤芳子役(過去)

左から藤田雅史役、小谷嘉一と橋本真一

バーで笑って、泣いて、歌って。おぶちゃが織りなす小さな小さな人讃歌。

親しい人たちとのささやかなパーティー。「Joie!」とはフランス語で「喜び」の意味を持つ。その名の通り、バー「Joie」の中には喜びが溢れていた。

左から安彦明美役の真田真帆、MOEKO、大竹京子役の酒井比那、槇原直美役の板野成美

母、はるかの友人や元仕事仲間も集まり、遺影を手に、しみじみ酒を飲む。

酒を飲み、笑い、未来のことや思い出話、互いの結婚観などの話に花が咲く。兄妹は当たり前の時間がずっと続くと思っていた。そう感じさせる和やかなワンシーンが終わり、さらに場面転換。

恋の始まりもJoie!からだった

営業も順調に進み10年近くが経過したある日、小次郎はカウンター席に一人で座る岸田奈々(イトウハルヒ)と出会う。港区女子のことを指して「ソクラテス」だと言い、「奢ってもらって嬉しいという感覚が分からない」と熱弁する、ちょっと風変わりな女の子。そんな奈々の話に関心を持った小次郎は、お礼にお酒を一杯ご馳走する。
自分でも不思議がりながら、心のままに喜ぶ奈々。恋の始まりはここからだった。このシーンの二人は、本当に初々しくて目が離せない。注目してほしい。

左から岸田奈々役のイトウハルヒと橋本真一

それから数年後、妹のあゆみから彼氏を連れて帰宅するとの電話がかかってきた。
驚くそぶりを感じない小次郎だが、自身も奈々との交際を順調に進めていた。
そしてさらに時間が経過した閉店3日前の店には、梅原ゆう子(未菜)や、雅史、後藤芳子(現代/関口ふで)、店員の鴨志田友哉(河合健太郎)が閉店パーティーの準備に勤しむ。

梅原ゆう子役・未菜が弾くギター演奏にも注目だ

友哉の腐れ縁で店に入り浸っている大学生、梅原ゆう子は、ギターを抱え鼻歌を歌っている。芳子は閉店パーティーではサプライズで歌を歌おうと提案するが、そこには小次郎もいる。そこに小次郎の妹、あゆみと、その婚約者・川崎晃輔が帰ってくる。

パーティーを軸に過去と現在が交錯する物語

その後、時代は小次郎とあゆみの両親が店を始める前の時代にさかのぼる。
若い頃の両親にも夢があり、店への想いがあった。事故に遭った状況も語られる。
その上で、さらに小次郎が隠している閉店を決めた本当の理由とは?
小さなバーで、親子二代とその仲間達が笑って、歌って、泣いた。
これは、小次郎を中心に17名のキャストたちで綴られるノンストップパーティーという名の人生讃歌だ。

(取材・撮影/新井鏡子)

左から須永小太郎役の高士幸也、須永(星丘)はるか役の花房里枝

花房里枝

高士幸也と新井佑典

イトウハルヒ

公演情報

おぶちゃ7周年記念公演
「Joie!」
作・演出:大部恭平

<会場> 東京芸術劇場シアターウエスト

<期間> 2024年2月7日 (水) ~2024年2月11日 (日・祝)

<公演日・開演時間>
02月07日(水) 19:00
02月08日(木) 14:00
02月09日(金) 19:00
02月10日(土) 13:00 / 17:00
02月11日(日・祝) 12:00 / 16:00
※受付は開演の60分前・開場は開演の30分前。

<出演>
橋本真一/茜屋日海夏
石渡真修/小谷嘉一/未菜/河合健太郎/イトウハルヒ
新井佑典/大部恭平
板野成美/真田真帆/酒井比那/笹田伶/MOEKO/関口ふで
花房里枝(elfin’)/高士幸也

<チケット>
前売 SS席:9,900円 S席:8,800円 A席:5,500円 学割:2,200円
当日 SS席:10,500円 S席:9,500円 A席:6,000円 学割:2,500円
(全席指定・税込)
※3次販売 (12/2~開始) は席種を問わず特典はございません。

<カンフェティ取扱チケット>
SS席:9,900円 S席:8,800円 A席:5,500円 学割:2,200円
(全席指定・税込)
※席種を問わず特典はございません。

◎特設サイト:https://ofcha.biz/Joie2024

企画・製作:おぶちゃ
HP:https://ofcha.biz/
Mail:info@ofcha.biz
X:https://twitter.com/ofchachacha
Instagram:http://instagram.com/ofcha2017/
YouTube:https://www.youtube.com/@ofcha2017/

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